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- 貿易統計25年3月-1-3月期の外需寄与度は前期比▲0.6%程度のマイナス、4月以降の輸出の落ち込みは不可避
2025年04月17日
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1.貿易収支(季節調整値)は2ヵ月ぶりの赤字
財務省が4月17日に公表した貿易統計によると、25年3月の貿易収支は5,441円の黒字となり、黒字幅は事前の市場予想(QUICK集計:4,609億円、当社予想は6,024億円)を上回った。輸出が前年比3.9%(2月:同11.4%)と前月から伸びが鈍化し、輸入が前年比2.0%(2月:同▲0.7%)と増加に転じたが、輸出の伸びが輸入の伸びを上回ったため、貿易収支は前年に比べ1,942億円の改善となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲0.8%(2月:同2.9%)、輸出価格が前年比4.8%(2月:同8.3%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比5.3%(2月:同▲4.1%)、輸入価格が前年比▲3.2%(2月:同3.5%)であった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲0.8%(2月:同2.9%)、輸出価格が前年比4.8%(2月:同8.3%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比5.3%(2月:同▲4.1%)、輸入価格が前年比▲3.2%(2月:同3.5%)であった。
原数値の貿易収支は黒字となったが、3月は貿易収支が黒字になりやすいという季節性がある。季節調整済の貿易収支は▲2,336億円と2ヵ月ぶりの赤字となった(2月は1,914億円の黒字)。輸入が前月比0.6%の増加となる一方、輸出が同▲3.8%の減少となった。
2.輸出は4月以降、大きく落ち込む公算
25年3月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲4.9%(2月:同▲3.3%)、EU向けが前年比▲0.4%(2月:同▲9.9%)、アジア向けが前年比0.9%(2月:同6.5%)、うち中国向けが前年比▲8.5%(2月:同4.9%)となった。
25年1-3月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比2.3%(10-12月期:同▲2.9%)、EU向けが前期比▲2.2%(10-12月期:同0.4%)、アジア向けが前期比0.0%(10-12月期:同2.6%)、うち中国向けが前期比1.9%(10-12月期:同1.1%)、全体では前期比▲0.8%(10-12月期:同1.7%)となった。
米国向けは2四半期ぶりに増加したが、自動車関税引き上げ前の駆け込みにより押し上げられていることを割り引く必要がある。また、中国向けは2四半期連続で増加したが、24年度前半の大きな落ち込みを踏まえれば、戻りは弱い。輸出は全体として横ばい圏の推移が続いている。
なお、米国向けの自動車輸出(金額ベース)は25年1月に前年比21.8%と急増したが、2月が同13.9%、3月が同4.1%と伸びが大きく鈍化した。すでに自動車関税は引き上げられており、4月以降に輸出が大きく落ち込むことは不可避と考えられる。
25年1-3月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比2.3%(10-12月期:同▲2.9%)、EU向けが前期比▲2.2%(10-12月期:同0.4%)、アジア向けが前期比0.0%(10-12月期:同2.6%)、うち中国向けが前期比1.9%(10-12月期:同1.1%)、全体では前期比▲0.8%(10-12月期:同1.7%)となった。
米国向けは2四半期ぶりに増加したが、自動車関税引き上げ前の駆け込みにより押し上げられていることを割り引く必要がある。また、中国向けは2四半期連続で増加したが、24年度前半の大きな落ち込みを踏まえれば、戻りは弱い。輸出は全体として横ばい圏の推移が続いている。
なお、米国向けの自動車輸出(金額ベース)は25年1月に前年比21.8%と急増したが、2月が同13.9%、3月が同4.1%と伸びが大きく鈍化した。すでに自動車関税は引き上げられており、4月以降に輸出が大きく落ち込むことは不可避と考えられる。
3.1-3月期の外需寄与度は前期比▲0.6%程度のマイナスに
3月までの貿易統計と2月までの国際収支統計の結果を踏まえて、25年1-3月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比▲0.5%程度の減少、輸入が前期比2%台後半の増加となった。輸出が低調に推移する中、輸入が前期の落ち込みの反動で高い伸びとなったことが、外需を押し下げた。この結果、1-3月期の外需寄与度は前期比▲0.6%(10-12月期:同0.7%)と2四半期ぶりのマイナスとなることが予想される。
当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、4/30のweeklyエコノミストレターで25年1-3月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が成長率を大きく押し下げることに加え、民間消費を中心に国内需要も低調に推移することから、実質GDPは前期比年率▲1%台後半と4四半期ぶりのマイナス成長になると予想している。
当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、4/30のweeklyエコノミストレターで25年1-3月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が成長率を大きく押し下げることに加え、民間消費を中心に国内需要も低調に推移することから、実質GDPは前期比年率▲1%台後半と4四半期ぶりのマイナス成長になると予想している。
(2025年04月17日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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