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- 鉱工業生産25年3月-1-3月期は4四半期ぶりの減産、トランプ関税の影響で4月以降も低迷が続く見込み
2025年04月30日
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1.1-3月期は4四半期ぶりの減産
経済産業省が4月30日に公表した鉱工業指数によると、25年3月の鉱工業生産指数は前月比▲1.1%(2月:同2.3%)と2ヵ月ぶりに低下し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲0.3%、当社予想は同▲1.2%)を下回る結果となった。出荷指数は前月比▲2.8%と2ヵ月ぶりの低下、在庫指数は前月比0.9%と2ヵ月ぶりの上昇となった。
3月の生産を業種別に見ると、半導体製造装置等の生産用機械が前月比6.9%の高い伸びとなったが、自動車部品メーカーの爆発事故の影響で、自動車が前月比▲5.9%と急速に落ち込んだほか、電気・情報通信機械(同▲4.4%)、汎用・業務用機械(同▲5.0%)も大幅に低下した。
25年1-3月期の生産は前期比▲0.7%と4四半期ぶりの減産となった(10-12月期:同0.4%)。業種別には、自動車が前期比0.5%(10-12月期:同4.7%)と2四半期連続で増加し、ITサイクルがピークアウトしたとみられる電子部品・デバイスが前期比2.3%(10-12月期:同▲5.9%)と2四半期ぶりに増加したが、生産用機械(同▲4.7%)、情報通信機械(同▲11.5%)が大きく落ち込んだことが生産全体を押し下げた。
3月の生産を業種別に見ると、半導体製造装置等の生産用機械が前月比6.9%の高い伸びとなったが、自動車部品メーカーの爆発事故の影響で、自動車が前月比▲5.9%と急速に落ち込んだほか、電気・情報通信機械(同▲4.4%)、汎用・業務用機械(同▲5.0%)も大幅に低下した。
25年1-3月期の生産は前期比▲0.7%と4四半期ぶりの減産となった(10-12月期:同0.4%)。業種別には、自動車が前期比0.5%(10-12月期:同4.7%)と2四半期連続で増加し、ITサイクルがピークアウトしたとみられる電子部品・デバイスが前期比2.3%(10-12月期:同▲5.9%)と2四半期ぶりに増加したが、生産用機械(同▲4.7%)、情報通信機械(同▲11.5%)が大きく落ち込んだことが生産全体を押し下げた。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は24年10-12月期の前期比3.4%の後、25年1-3月期は同▲2.4%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は24年10-12月期の前期比0.4%の後、25年1-3月期は同1.1%となった。
GDP統計の設備投資は24年7-9月期の前期比▲0.1%の後、10-12月期は同0.6%と2四半期ぶりに増加した。GDP統計の設備投資は一進一退となっているが、高水準の企業収益を背景に基調としては持ち直しの動きが続いている。25年1-3月期の設備投資は2四半期連続の増加となることが予想される。
消費財出荷指数は24年10-12月期の前期比0.6%の後、25年1-3月期は同2.5%となった。耐久消費財が前期比0.5%(10-12月期:同3.4%)、非耐久消費財が前期比0.4%(10-12月期:同0.4%)となった。
GDP統計の設備投資は24年7-9月期の前期比▲0.1%の後、10-12月期は同0.6%と2四半期ぶりに増加した。GDP統計の設備投資は一進一退となっているが、高水準の企業収益を背景に基調としては持ち直しの動きが続いている。25年1-3月期の設備投資は2四半期連続の増加となることが予想される。
消費財出荷指数は24年10-12月期の前期比0.6%の後、25年1-3月期は同2.5%となった。耐久消費財が前期比0.5%(10-12月期:同3.4%)、非耐久消費財が前期比0.4%(10-12月期:同0.4%)となった。
2.トランプ関税の影響で4月以降も生産の低迷が続く公算
製造工業生産予測指数は、25年4月が前月比1.3%、5月が同3.9%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(3月)、予測修正率(4月)はそれぞれ▲1.7%、▲0.5%であった。
予測指数を業種別にみると、米国向け輸出に対して25%の追加関税が課せられた自動車を含む輸送機械は4月が前月比▲0.3%、5月が同4.9%となっている。また、3月から追加関税が課せられている鉄鋼は4月が前月比1.1%、5月が同▲2.4%となっている。現時点では関税引き上げの影響が生産計画に明確に表れているとはいえない。今回の予測調査はトランプ大統領による相互関税発表後の4/10時点で調査されているが、その影響が十分に織り込まれていない可能性が高いため、実際の生産は下振れる公算が大きい。
予測指数を業種別にみると、米国向け輸出に対して25%の追加関税が課せられた自動車を含む輸送機械は4月が前月比▲0.3%、5月が同4.9%となっている。また、3月から追加関税が課せられている鉄鋼は4月が前月比1.1%、5月が同▲2.4%となっている。現時点では関税引き上げの影響が生産計画に明確に表れているとはいえない。今回の予測調査はトランプ大統領による相互関税発表後の4/10時点で調査されているが、その影響が十分に織り込まれていない可能性が高いため、実際の生産は下振れる公算が大きい。

25年3月の生産指数を4、5月の予測指数で先延ばしすると、25年4-6月期の生産は前期比3.3%となるが、実際の生産の伸びは計画を下回る傾向がある。米国の関税引き上げの影響を考慮すると、実際の生産は大きく下振れることが見込まれ、4-6月期も減産となる可能性が否定できない。
(2025年04月30日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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