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コラム
2021年06月07日
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ラップ口座の影響が大きかった5月
2021年5月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、外国株式に6,500億円と大規模な資金流入があり、国内債券にも1,800億円の資金流入があった【図表1】。一方で外国債券からは1,500億円とやや大きい資金流出があった。5月はファンド全体でみると、7,100億円の資金流入があり、4月の6,400億円の資金流入から700億円ほど資金流入が増加した。
ただ、5月はラップ口座等の販売が好調だったのかSMA専用ファンド全体に1,200億円の資金流入があった。SMA専用ファンドを除外すると4月、5月とも5,900億円の資金流入と同規模であった。3月(9,300億円、SMA専用ファンド除くと8,900億円の資金流入)と比べると、4月、5月と資金流入が鈍化はしたが、5月も引き続き投信販売は堅調だった様子である。
ただ、5月はラップ口座等の販売が好調だったのかSMA専用ファンド全体に1,200億円の資金流入があった。SMA専用ファンドを除外すると4月、5月とも5,900億円の資金流入と同規模であった。3月(9,300億円、SMA専用ファンド除くと8,900億円の資金流入)と比べると、4月、5月と資金流入が鈍化はしたが、5月も引き続き投信販売は堅調だった様子である。
外国株式アクティブ・ファンドの販売がやや減速
外国株式には6,500億円の資金流入と大規模であったが、5月はSMA専用ファンドによって底上げされていたにも関わらず、2カ月連続の減少となった。外国株式でもインデックス・ファンドに限ると、5月に2,100億円の資金流入があり、4月の1,700億円の資金流入から増加した。5月の流入増加の大部分はSMA専用ファンドの影響であったが、販売は引き続き堅調であった。
5月に資金流入が大きかったファンドをみても上位10本中、3本(青太字)が外国株式のインデックス・ファンドであった【図表3】。うち2本がS&P500種株価指数に連動する米国株式のインデックス・ファンドで、しかも信託報酬が年率0.1%未満と超低水準のものである。低コストで手軽に米国株式に投資できることが、積立投資や長期投資を行う投資家に受けているのだろう。
5月に資金流入が大きかったファンドをみても上位10本中、3本(青太字)が外国株式のインデックス・ファンドであった【図表3】。うち2本がS&P500種株価指数に連動する米国株式のインデックス・ファンドで、しかも信託報酬が年率0.1%未満と超低水準のものである。低コストで手軽に米国株式に投資できることが、積立投資や長期投資を行う投資家に受けているのだろう。
その一方で外国株式のアクティブ・ファンドは5月に4,300億円の資金流入と4月の5,300億円の資金流入から1,000億円ほど減少した【図表4】。特にSMA専用ファンド(紺棒)の影響を除くと流入金額の減少幅は1,700億円となる。このように外国株式のアクティブ・ファンドへの流入金額自体は引き続き大規模であったが、5月は販売がやや減速した。
外国株式のアクティブ・ファンドの販売が5月に減速したのは、これまで販売が好調過ぎたこともあるが、5月の市場環境も影響したと思われる。5月は米国でインフレ懸念から金融政策や長期金利の動向が注目され、一時、世界的に株価が急落する展開となった。これまで株価の上昇を牽引していた米ハイテク株は割高感があったこともあり、特に下落幅が大きかった。米ハイテク株を多く組み入れているナスダック総合指数(【図表4】赤線)をみても、2020年11月以降、月間で上昇が続いていたが、この5月に久々に下落したことからもそのことが分かる。今後も米国の金融政策や長期金利の動向に左右される展開が続くと思われるだけに、一部のハイテク系のテーマ型株式ファンドなどへの投資を見合わせる、もしくは売却する動きがでたのではないだろうか。
外国株式のアクティブ・ファンドの販売が5月に減速したのは、これまで販売が好調過ぎたこともあるが、5月の市場環境も影響したと思われる。5月は米国でインフレ懸念から金融政策や長期金利の動向が注目され、一時、世界的に株価が急落する展開となった。これまで株価の上昇を牽引していた米ハイテク株は割高感があったこともあり、特に下落幅が大きかった。米ハイテク株を多く組み入れているナスダック総合指数(【図表4】赤線)をみても、2020年11月以降、月間で上昇が続いていたが、この5月に久々に下落したことからもそのことが分かる。今後も米国の金融政策や長期金利の動向に左右される展開が続くと思われるだけに、一部のハイテク系のテーマ型株式ファンドなどへの投資を見合わせる、もしくは売却する動きがでたのではないだろうか。
外国株式アクティブも毎月分配型に限ると堅調
そんな外国株式のアクティブ・ファンドでも毎月分配型(【図表4】黄棒)に限ると、5月も1,100億円の資金流入があり、販売は堅調であった。その資金流入の大部分が予想分配提示型の3本(【図表3】赤太字)への資金流入であった。
予想分配提示型の株式ファンドは、株価(基準価額)の上昇分をルールに基づいて(毎月)分配するファンドである。分配金のニーズが高い上に、ここ1年ほど株価が右肩上がりで上昇し、結果的に高い分配金が毎月支払い続けられているため、投資家の人気を集めていると思われる。また、大人気のファンドが出てきていることもあり、予想分配提示型の株式ファンドの設定も増えている。
そもそも毎月分配型の株式ファンドといえば、以前は株式からの配当を原資に、またはそれ以上に分配する高(好)配当株ファンドがほとんどであった。「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」(グロイン)がまさにその代表である。予想分配提示型が人気を集める一方で、グロインは2020年10月以降、資金流出が続いている。いわゆる従来の毎月分配型の株式ファンドでは、グロインに限らず足元でも資金流出しているものが多い。
毎月分配型ファンドは、外国株式(特に予想分配提示型)のものを除くと外国債券を中心に資金流出が続いている。やはり、債券のクーポンや株式、REITの配当を原資とした従来の毎月分配型では、投資家が望むような高い分配金が出せなくなっているため、売却する投資家が多いと思われる。
予想分配提示型の株式ファンドは、株価(基準価額)の上昇分をルールに基づいて(毎月)分配するファンドである。分配金のニーズが高い上に、ここ1年ほど株価が右肩上がりで上昇し、結果的に高い分配金が毎月支払い続けられているため、投資家の人気を集めていると思われる。また、大人気のファンドが出てきていることもあり、予想分配提示型の株式ファンドの設定も増えている。
そもそも毎月分配型の株式ファンドといえば、以前は株式からの配当を原資に、またはそれ以上に分配する高(好)配当株ファンドがほとんどであった。「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」(グロイン)がまさにその代表である。予想分配提示型が人気を集める一方で、グロインは2020年10月以降、資金流出が続いている。いわゆる従来の毎月分配型の株式ファンドでは、グロインに限らず足元でも資金流出しているものが多い。
毎月分配型ファンドは、外国株式(特に予想分配提示型)のものを除くと外国債券を中心に資金流出が続いている。やはり、債券のクーポンや株式、REITの配当を原資とした従来の毎月分配型では、投資家が望むような高い分配金が出せなくなっているため、売却する投資家が多いと思われる。
国内株式のアクティブ・ファンドには久々の資金流入
外国株式の資金流入が鈍化する一方で、前述した通り国内株式はSMA専用ファンド(紺棒)を除くと500億円の資金流入と4月(300億円の資金流出であったが、SMA専用ファンドを除くと20億円の資金流入)から増加した【図表5】。うち400億円がインデックス・ファンド(緑棒)への資金流入であったが、アクティブ・ファンド(黄棒)にも60億円と少額ではあるが資金流入があった。
国内株式のアクティブ・ファンドへの資金流入は2019年1月以来のことである。元々、日経平均株価(赤線)の上昇が止まった2021年3月以降、資金流出が鈍化しており、足元の株価の状況から利益確定の売却が減っているだけかもしれない。これまで2年以上も続いていたアクティブ・ファンドの売却が本当に一巡したかは分かりかねる。今後、国内株式が再び上昇に転じた時に、再びアクティブ・ファンドが資金流出に転じないか注目している。
その他に、5月はバランス型にも600億円の資金流入があり、4月の100億円の資金流入から増加し、(SMA専用ファンド以外の)外国債券や外国REITからの資金流出も4月から比べると鈍化した。このように(SMA専用ファンドの影響を除くと)外国株式で資金流入が大きく減少したが、その他の資産クラスでは概ね4月よりも資金流入が増加、または資金流出が鈍化した。
国内株式のアクティブ・ファンドへの資金流入は2019年1月以来のことである。元々、日経平均株価(赤線)の上昇が止まった2021年3月以降、資金流出が鈍化しており、足元の株価の状況から利益確定の売却が減っているだけかもしれない。これまで2年以上も続いていたアクティブ・ファンドの売却が本当に一巡したかは分かりかねる。今後、国内株式が再び上昇に転じた時に、再びアクティブ・ファンドが資金流出に転じないか注目している。
その他に、5月はバランス型にも600億円の資金流入があり、4月の100億円の資金流入から増加し、(SMA専用ファンド以外の)外国債券や外国REITからの資金流出も4月から比べると鈍化した。このように(SMA専用ファンドの影響を除くと)外国株式で資金流入が大きく減少したが、その他の資産クラスでは概ね4月よりも資金流入が増加、または資金流出が鈍化した。
金関連ファンドと新興国株式ファンドの一部が好調
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではあり ません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資 信託の勧誘するものではありません 。
(2021年06月07日「研究員の眼」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
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