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- 米個人所得・消費支出(21年4月)-家計への直接給付の支給減少に伴い個人所得(前月比)が大幅に減少
2021年05月31日
1.結果の概要:個人所得、消費支出ともに前月を大幅に下回る
5月28日、米商務省の経済分析局(BEA)は4月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は前月比▲13.1%(前月改定値:+20.9%)と+21.1%から小幅下方修正された前月から大幅なマイナスに転じた一方、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の▲14.2%は上回った(図表1)。個人消費支出は前月比+0.5%(前月改定値:+4.7%)と+4.2%から上方修正された前月を大幅に下回った一方、市場予想(+0.5%)に一致した。また、価格変動の影響を除いた実質個人消費支出(前月比)は▲0.1%(前月改定値:+4.1%)と+3.6%から上方修正された前月からマイナスに転じたほか、市場予想(+0.2%)も下回った(図表5)。貯蓄率1は14.9%(前月:27.7%)と、前月から▲12.8%ポイント低下した。
価格指数は、総合指数が前月比+0.6%(前月改定値:+0.6%)と+0.5%から上方修正された前月、市場予想(+0.6%)に一致した。変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は前月比+0.7%(前月:+0.4%)と、こちらは前月を上回ったほか、市場予想(+0.6%)も上回った(図表6)。前年同月比は総合指数が+3.6%(前月改定値:+2.4%)と+2.3%から上方修正された前月を上回ったほか、市場予想(+3.5%)も上回った。コア指数は+3.1%(前月改定値:+1.9%)と+1.8%から上方修正された前月、市場予想(+2.9%)を上回った(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
価格指数は、総合指数が前月比+0.6%(前月改定値:+0.6%)と+0.5%から上方修正された前月、市場予想(+0.6%)に一致した。変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は前月比+0.7%(前月:+0.4%)と、こちらは前月を上回ったほか、市場予想(+0.6%)も上回った(図表6)。前年同月比は総合指数が+3.6%(前月改定値:+2.4%)と+2.3%から上方修正された前月を上回ったほか、市場予想(+3.5%)も上回った。コア指数は+3.1%(前月改定値:+1.9%)と+1.8%から上方修正された前月、市場予想(+2.9%)を上回った(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
2.結果の評価:直接給付の減少で所得が大幅に減少
3月上旬に決まった追加経済対策(米国救済計画)に伴い、家計向け1人最大1,400ドルの直接給付の大宗が3月に支給された反動で、4月の個人所得は前月比で大幅な減少に転じた(図表1)。
また、個人消費(前月比)も4月は大幅に伸びが鈍化したものの、所得が大幅に減少した影響で貯蓄率は低下した。もっとも、貯蓄率は新型コロナ流行前の7%からは依然高止まりするなど消費余力を十分に余しており、今後ワクチン接種の進捗に伴ってソーシャルディスタンシングの解消など経済正常化の動きが強まる中で、個人消費は大幅に回復してくることが見込まれる。
一方、FRBが物価指標としているPCE価格指数(前年同月比)は、総合指数がFRBの物価目標(2%)を2ヵ月連続で上回ったほか、08年9月(+3.7%)以来の水準となった。また、物価の基調を示すコア指数も物価目標を18年12月(+2.1%)以来で上回ったほか、92年7月(+3.1%)以来の水準に上昇した。FRBは足元のインフレ高進を一時的な要因によるものと判断しており、当面の金融政策判断に影響しないことを明確にしているが、インフレ率の上昇はFRBの当初の想定を上回っているため、高水準のインフレ高進が続く場合にはFRBに対する信認低下から期待インフレ率が上昇する可能性があり、今後の動向が注目される。
また、個人消費(前月比)も4月は大幅に伸びが鈍化したものの、所得が大幅に減少した影響で貯蓄率は低下した。もっとも、貯蓄率は新型コロナ流行前の7%からは依然高止まりするなど消費余力を十分に余しており、今後ワクチン接種の進捗に伴ってソーシャルディスタンシングの解消など経済正常化の動きが強まる中で、個人消費は大幅に回復してくることが見込まれる。
一方、FRBが物価指標としているPCE価格指数(前年同月比)は、総合指数がFRBの物価目標(2%)を2ヵ月連続で上回ったほか、08年9月(+3.7%)以来の水準となった。また、物価の基調を示すコア指数も物価目標を18年12月(+2.1%)以来で上回ったほか、92年7月(+3.1%)以来の水準に上昇した。FRBは足元のインフレ高進を一時的な要因によるものと判断しており、当面の金融政策判断に影響しないことを明確にしているが、インフレ率の上昇はFRBの当初の想定を上回っているため、高水準のインフレ高進が続く場合にはFRBに対する信認低下から期待インフレ率が上昇する可能性があり、今後の動向が注目される。
3.所得動向:家計向け直接給付の減少で移転所得が大幅に減少
4月の個人所得(前月比)は、移転所得が▲41.4%(前月:+95.2%)と前月の大幅なプラスから大幅なマイナスに転じた(図表2)。4月の移転所得は前月比年率▲3兆3,838億ドル減少したが、このうち米国救済計画に盛り込まれた家計向けの直接給付で4月の支給額が+6,880億ドル(前月:+4兆442億ドル)に留まり、前月比で▲3兆3,562億ドル減少したことが大きい。一方、移転所得以外では、自営業者所得が+3.2%(前月:+6.5%)と前月から伸びは鈍化したものの、堅調な伸びを維持したほか、賃金・給与が+1.0%(前月:+1.0%)、利息配当収入が+0.5%(前月:+0.3%)とこちらも堅調な伸びとなった。
個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、4月の名目が▲14.6%(前月:+23.4%)、価格変動の影響を除いた実質ベースが▲15.1%(前月:+22.7%)となり、名目、実質ともに1959年の統計開始以来最大の伸びとなった前月から大幅なマイナスに転じた(図表3)。
個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、4月の名目が▲14.6%(前月:+23.4%)、価格変動の影響を除いた実質ベースが▲15.1%(前月:+22.7%)となり、名目、実質ともに1959年の統計開始以来最大の伸びとなった前月から大幅なマイナスに転じた(図表3)。
4.消費動向:広範な分野で消費の伸びが鈍化
4月の名目個人消費(前月比)は、財消費が▲0.6%(前月:+9.7%)と前月からマイナスに転じたほか、サービス消費も+1.1%(前月:+2.1%)と前月から伸びが鈍化した(図表4)。
財消費では、耐久財が+0.5%(前月:+14.5%)と前月から伸びが大幅に鈍化したほか、非耐久財が▲1.3%(前月:+6.9%)とこちらはマイナスに転じた。
耐久財では、自動車・自動車部品が+4.1%(前月:+20.8%)と前月から大幅に伸びが鈍化したほか、家具・家電が▲1.0%(前月:+10.0%)、娯楽財・スポーツカーが▲0.9%(前月:+11.8%)と前月からマイナスに転じた。
非耐久財では、ガソリン・エネルギーが▲1.2%(前月:+14.2%)、衣料・靴が▲3.3%(前月:+15.6%)、食料・飲料が▲1.7%(前月:+3.6%)といずれも前月からマイナスに転じた。
サービス消費は、住宅・公共料金が+0.6%(前月▲0.2%)と前月からプラスに転じたほか、娯楽が+7.0%(前月:+6.6%)と前月から伸びが加速した。一方、医療サービスが+0.6%(前月:+1.0%)、外食・宿泊が+3.1%(前月:+11.9%)、輸送が+2.4%(前月:+9.8%)、金融サービスが横這い(前月:+1.6%)と前月から伸びが鈍化した。
財消費では、耐久財が+0.5%(前月:+14.5%)と前月から伸びが大幅に鈍化したほか、非耐久財が▲1.3%(前月:+6.9%)とこちらはマイナスに転じた。
耐久財では、自動車・自動車部品が+4.1%(前月:+20.8%)と前月から大幅に伸びが鈍化したほか、家具・家電が▲1.0%(前月:+10.0%)、娯楽財・スポーツカーが▲0.9%(前月:+11.8%)と前月からマイナスに転じた。
非耐久財では、ガソリン・エネルギーが▲1.2%(前月:+14.2%)、衣料・靴が▲3.3%(前月:+15.6%)、食料・飲料が▲1.7%(前月:+3.6%)といずれも前月からマイナスに転じた。
サービス消費は、住宅・公共料金が+0.6%(前月▲0.2%)と前月からプラスに転じたほか、娯楽が+7.0%(前月:+6.6%)と前月から伸びが加速した。一方、医療サービスが+0.6%(前月:+1.0%)、外食・宿泊が+3.1%(前月:+11.9%)、輸送が+2.4%(前月:+9.8%)、金融サービスが横這い(前月:+1.6%)と前月から伸びが鈍化した。
5.価格指数:前年同月比でエネルギーが物価を大幅に押上げ
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(2021年05月31日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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