2021年04月30日

鉱工業生産21年3月-緊急事態宣言下でも回復が続く製造業の生産活動

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.1-3月期は前期比3.0%と3四半期連続の増産

経済産業省が4月30日に公表した鉱工業指数によると、21年3月の鉱工業生産指数は前月比2.2%(2月:同▲1.3%)と2ヵ月ぶりに上昇し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲2.0%、当社予想は同▲3.9%)を大きく上回る結果となった。出荷指数は前月比▲0.8%と2ヵ月ぶりの上昇、在庫指数は前月比0.1%と3ヵ月ぶりの上昇となった。

21年1-3月期の生産は前期比3.0%と3四半期連続の増産となったが、20年10-12月期の同5.7%からは伸びが低下した。業種別には、内外の設備投資の回復を反映し、生産用機械が前期比13.8%(10-12月期:同7.1%)と好調を維持し、輸出の増加を背景に電子部品・デバイスも前期比9.7%(10-12月期:同1.9%)と伸びが加速した。一方、ペントアップ需要などから20年7-9月期が前期比62.0%、10-12月期が同14.9%と高い伸びが続いていた自動車は、輸出の伸び悩みや半導体不足の影響から同▲4.9%と回復の動きが一服した。

鉱工業生産は20年4-6月期に前期比▲16.8%と急激に落ち込んだ後、7-9月期から21年1-3月期までの3四半期でその9割強を取り戻したが、21年1-3月期の生産は20年1-3月期よりも▲1%程度低い水準にとどまっている。輸出はすでにコロナ前の水準を上回っているものの、国内需要の低迷長期化が生産全体の回復を遅らせる要因となっている。
鉱工業生産・出荷・在庫指数の推移/鉱工業生産の業種別寄与度
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は20年10-12月期の前期比5.2%の後、21年1-3月期は同7.6%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は20年10-12月期の前期比1.6%の後、21年1-3月期は同0.1%となった。
財別の出荷動向 生産活動の回復を受けて製造業の機械投資は底堅く推移する一方、飲食、宿泊業などを含む非製造業の建設投資は低迷していることが示唆される。

消費財出荷指数は20年10-12月期の前期比3.1%の後、21年1-3月期は同▲0.1%となった。非耐久消費財は前期比3.0%(10-12月期:同▲2.3%)と2四半期ぶりに上昇したが、耐久消費財が同▲4.2%(10-12月期:同13.5%)と3四半期ぶりに低下した。

GDP統計の民間消費は、20年7-9月期の前期比5.1%の後、10-12月期は同2.2%となった。足もとの消費関連指標を確認すると、財消費は一定の底堅さを維持しているが、緊急事態宣言再発令の影響から、外食、旅行などのサービス消費は弱い動きとなっている。21年1-3月期の民間消費は3四半期ぶりの減少となる可能性が高い。

2.緊急事態宣言下でも堅調を維持する見込み

製造工業生産予測指数は、21年4月が前月比8.4%、5月が同▲4.3%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(3月)、予測修正率(4月)はそれぞれ0.5%、▲0.1%であった。

予測指数を業種別にみると、半導体不足の影響で1-3月期に減産となった輸送機械は、先月の予測調査では、4月は前月比1.7%の増加となっていた。しかし、3/19に発生したルネサスエレクトロニクスの工場火災の影響が反映されたことにより、生産計画は大幅に下方修正された(4月:前月比▲4.9%、5月:同▲9.9%)。
最近の実現率、予測修正率の推移/輸送機械の生産、在庫動向
21年3月の生産指数を4,5月の予測指数で先延ばしすると、4、5月の平均は1-3月期を7.2%上回る。いったん解除された緊急事態宣言は一部の地域で3度目の発令となったが、緊急事態宣言の悪影響はサービス業を中心に表れ、製造業への影響は限定的にとどまるだろう。自動車の減産が長期化するリスクには注意が必要だが、緊急事態宣言下でも製造業の生産活動は堅調を維持することが見込まれる。
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2021年04月30日「経済・金融フラッシュ」)

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