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- 貿易統計21年3月-1-3月期の外需寄与度は前期比▲0.2%程度のマイナスに
2021年04月19日
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1.貿易収支(季節調整値)は2ヵ月ぶりの黒字
財務省が4月19日に公表した貿易統計によると、21年3月の貿易収支は6,637億円の黒字となり、事前の市場予想(QUICK集計:4,900億円、当社予想は4,964億円)を上回る結果となった。輸出が前年比16.1%(2月:同▲4.5%)と2ヵ月ぶりの増加となる一方、輸入が前年比5.7%(2月:同11.8%)と減少幅が縮小したことから、貿易収支は前年に比べ6,562億円の改善となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比12.6%(2月:同▲4.3%)、輸出価格が前年比3.1%(2月:同▲0.1%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比3.9%(2月:同22.0%)、輸入価格が前年比1.8%(2月:同▲8.3%)であった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比12.6%(2月:同▲4.3%)、輸出価格が前年比3.1%(2月:同▲0.1%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比3.9%(2月:同22.0%)、輸入価格が前年比1.8%(2月:同▲8.3%)であった。
輸出は2月の前年比マイナスから前年比二桁増へと一気に伸びを高めたが、これは新型コロナウイルスの影響で20年3月に大きく落ち込んだ裏が出たことによる部分が大きい。輸出は20年4月、5月と水準をさらに大きく切り下げたため、前年比ではしばらく高い伸びが続くことが見込まれる。
2.輸出は欧米向けの落ち込みをアジア向けの好調がカバー
21年3月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比3.9%(2月:同▲16.4%)、EU向けが前年比▲6.9%(2月:同▲23.9%)、アジア向けが前年比20.4%(2月:同▲0.3%)、うち中国向けが前年比40.7%(2月:同10.0%)となった。
21年1-3月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比▲3.9%(10-12月期:同7.6%)、EU向けが前期比▲9.5%(10-12月期:同13.1%)、アジア向けが前期比6.4%(10-12月期:同7.7%)、中国向けが前期比7.8%(10-12月期:同5.2%)、全体では前期比3.1%(10-12月期:同11.8%)となった。
21年1-3月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比▲3.9%(10-12月期:同7.6%)、EU向けが前期比▲9.5%(10-12月期:同13.1%)、アジア向けが前期比6.4%(10-12月期:同7.7%)、中国向けが前期比7.8%(10-12月期:同5.2%)、全体では前期比3.1%(10-12月期:同11.8%)となった。

輸出は、欧米向けの落ち込みをアジア向けの増加がカバーする形で全体としては回復基調を維持しているが、そのペースは20年後半から大きく鈍化している。
一方、21年1-3月期の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は前期比2.9%(10-12月期:同4.4%)と2四半期連続の上昇となった。緊急事態宣言再発令の影響で国内のサービス消費は弱い動きとなったが、財消費は比較的底堅かったため、財の輸入は持ち直しの動きが継続した。
3.1-3月期の外需寄与度は前期比▲0.2%程度のマイナスに
3月までの貿易統計と2月までの国際収支統計の結果を踏まえて、21年1-3月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比2%弱の増加、輸入が前期比3%程度の増加となった。輸出入ともに増加したが、輸入の伸びが輸出の伸びを上回ったことにより、1-3月期の外需寄与度は前期比▲0.2%(10-12月期:同1.1%)と3四半期ぶりのマイナスとなることが予想される。
当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、4/30のweeklyエコノミストレターで21年1-3月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が成長率の押し下げ要因となることに加え、緊急事態宣言再発令を受けて民間消費を中心に国内需要も落ち込むことから、前期比年率▲6%程度のマイナス成長を予想している。
当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、4/30のweeklyエコノミストレターで21年1-3月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が成長率の押し下げ要因となることに加え、緊急事態宣言再発令を受けて民間消費を中心に国内需要も落ち込むことから、前期比年率▲6%程度のマイナス成長を予想している。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年04月19日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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