- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 鉱工業生産21年2月-自動車の大幅減産が先行きの生産を大きく下押し
2021年03月31日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.自動車生産が大きく落ち込む
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は20年10-12月期の前期比12.4%の後、21年1月が前月比8.9%、2月が同2.9%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は20年10-12月期の前期比2.6%の後、21年1月が前月比1.7%、2月が同▲1.4%となった。21年1、2月の平均を20年10-12月期と比較すると、資本財(除く輸送機械)は7.7%高いが、建設財は▲0.5%低い。

消費財出荷指数は20年10-12月期の前期比2.1%の後、21年1月が前月比2.8%、2月が同▲3.2%となった。2月は耐久財が前月比▲8.7%(1月:同6.0%)、非耐久財が前月比▲0.6%(1月:同2.0%)となった。
GDP統計の民間消費は、20年7-9月期の前期比5.1%の後、10-12月期は同2.2%となった。足もとの消費関連指標を確認すると、財消費は一定の底堅さを維持しているが、緊急事態宣言再発令の影響から、外食、旅行などのサービス消費は弱い動きとなっている。21年1-3月期の民間消費は3四半期ぶりの減少となる可能性が高い。
2.先行きの生産は大きく下振れる公算大
21年2月の生産指数を3月の予測指数で先延ばしすると、21年1-3月の生産は前期比1.3%となる。20年10-12月期の前期比6.4%からは減速するものの、3四半期連続の増産は確保できそうだ。
現時点では、21年1-3月期の実質GDPは3四半期ぶりのマイナス成長になると予想しているが、緊急事態宣言の影響は外食、宿泊などの対面型サービス消費に偏っており、財消費や輸出の底堅さを背景に、製造業の生産活動は回復基調が続いている。
ただし、これまで生産の牽引役となってきた自動車は、ペントアップ需要の一巡や世界的な半導体不足を背景にすでに弱い動きとなっている。先行きは工場火災の影響が長期化することで、減産ペースが加速することは避けられないだろう。自動車の減産は鉄鋼、非鉄金属など関連性が高い業種にも波及することから、生産の回復基調はいったん途切れる可能性が高くなってきた。
現時点では、21年1-3月期の実質GDPは3四半期ぶりのマイナス成長になると予想しているが、緊急事態宣言の影響は外食、宿泊などの対面型サービス消費に偏っており、財消費や輸出の底堅さを背景に、製造業の生産活動は回復基調が続いている。
ただし、これまで生産の牽引役となってきた自動車は、ペントアップ需要の一巡や世界的な半導体不足を背景にすでに弱い動きとなっている。先行きは工場火災の影響が長期化することで、減産ペースが加速することは避けられないだろう。自動車の減産は鉄鋼、非鉄金属など関連性が高い業種にも波及することから、生産の回復基調はいったん途切れる可能性が高くなってきた。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年03月31日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/06/30 | 鉱工業生産25年5月-4-6月期は2四半期連続減産の可能性が高まる | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/27 | 雇用関連統計25年5月-新規求人倍率は3年6ヵ月ぶりの低水準も、労働市場全体の需給を反映せず | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/20 | 消費者物価(全国25年5月)-コアCPIは食料中心に上昇率拡大も、夏場には3%割れへ | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/06/18 | トランプ関税による企業収益への影響~輸出数量減少よりも輸出価格引き下げのほうが悪化幅は大きい~ | 斎藤 太郎 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年07月01日
今週のレポート・コラムまとめ【6/24-6/30発行分】 -
2025年06月30日
食品ロス削減情報の比較可能性-何のための情報開示か? -
2025年06月30日
鉱工業生産25年5月-4-6月期は2四半期連続減産の可能性が高まる -
2025年06月30日
マスク着用の子どもへの影響-コロナ禍の研究を経て分かっていること/いないこと -
2025年06月30日
米個人所得・消費支出(25年5月)-個人所得と個人消費ともに前月比で減少、市場予想も下回る
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
【鉱工業生産21年2月-自動車の大幅減産が先行きの生産を大きく下押し】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
鉱工業生産21年2月-自動車の大幅減産が先行きの生産を大きく下押しのレポート Topへ