2021年03月31日

鉱工業生産21年2月-自動車の大幅減産が先行きの生産を大きく下押し

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.自動車生産が大きく落ち込む

鉱工業生産・出荷・在庫指数の推移 経済産業省が3月31日に公表した鉱工業指数によると、21年2月の鉱工業生産指数は前月比▲2.1%(1月:同4.3%)と2ヵ月ぶりに低下し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲1.3%、当社予想は同▲1.2%)を下回る結果となった。出荷指数は前月比▲1.5%と2ヵ月ぶりの低下、在庫指数は前月比▲1.0%と3ヵ月ぶりの低下となった。

2月の生産を業種別にみると、世界的な設備投資需要の回復を背景に生産用機械は前月比3.7%の上昇となったが、半導体不足や福島県沖地震による部品不足の影響で自動車が前月比▲8.8%の大幅減産となり、生産全体を大きく押し下げた。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は20年10-12月期の前期比12.4%の後、21年1月が前月比8.9%、2月が同2.9%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は20年10-12月期の前期比2.6%の後、21年1月が前月比1.7%、2月が同▲1.4%となった。21年1、2月の平均を20年10-12月期と比較すると、資本財(除く輸送機械)は7.7%高いが、建設財は▲0.5%低い。
財別の出荷動向 生産活動の回復を受けて製造業の機械投資は底堅く推移する一方、飲食、宿泊業などを含む非製造業の建設投資は低迷していることが示唆される。

消費財出荷指数は20年10-12月期の前期比2.1%の後、21年1月が前月比2.8%、2月が同▲3.2%となった。2月は耐久財が前月比▲8.7%(1月:同6.0%)、非耐久財が前月比▲0.6%(1月:同2.0%)となった。

GDP統計の民間消費は、20年7-9月期の前期比5.1%の後、10-12月期は同2.2%となった。足もとの消費関連指標を確認すると、財消費は一定の底堅さを維持しているが、緊急事態宣言再発令の影響から、外食、旅行などのサービス消費は弱い動きとなっている。21年1-3月期の民間消費は3四半期ぶりの減少となる可能性が高い。

2.先行きの生産は大きく下振れる公算大

製造工業生産予測指数は、21年3月が前月比▲1.9%、4月が同9.3%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(2月)、予測修正率(3月)はそれぞれ▲3.5%、0.8%であった。

予測指数を業種別にみると、半導体不足の影響で2月に大きく落ち込んだ輸送機械は、3月が前月比5.1%、4月が同3.2%と2ヵ月連続の増産計画となっている。ただし、3、4月の予測指数は3/10時点で調査されており、3/19に発生したルネサスエレクトロニクスの工場火災の影響が反映されていないため、実際の生産はこれを大きく下回る可能性が高い。
最近の実現率、予測修正率の推移/輸送機械の生産、在庫動向
21年2月の生産指数を3月の予測指数で先延ばしすると、21年1-3月の生産は前期比1.3%となる。20年10-12月期の前期比6.4%からは減速するものの、3四半期連続の増産は確保できそうだ。

現時点では、21年1-3月期の実質GDPは3四半期ぶりのマイナス成長になると予想しているが、緊急事態宣言の影響は外食、宿泊などの対面型サービス消費に偏っており、財消費や輸出の底堅さを背景に、製造業の生産活動は回復基調が続いている。

ただし、これまで生産の牽引役となってきた自動車は、ペントアップ需要の一巡や世界的な半導体不足を背景にすでに弱い動きとなっている。先行きは工場火災の影響が長期化することで、減産ペースが加速することは避けられないだろう。自動車の減産は鉄鋼、非鉄金属など関連性が高い業種にも波及することから、生産の回復基調はいったん途切れる可能性が高くなってきた。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2021年03月31日「経済・金融フラッシュ」)

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