- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 貿易統計21年2月-貿易収支(季節調整値)は8ヵ月ぶりの赤字
2021年03月17日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.貿易収支(季節調整値)は8ヵ月ぶりの赤字
財務省が3月17日に公表した貿易統計によると、21年2月の貿易収支は2,174億円の黒字となったが、事前の市場予想(QUICK集計:4,200億円、当社予想は5,946億円)を下回る結果となった。輸出が前年比▲4.5%(1月:同6.4%)と3ヵ月ぶりの減少となる一方、輸入が前年比11.8%(1月:同▲9.5%)と1年10ヵ月ぶりの増加となったことから、貿易収支は前年に比べ▲8,957億円の悪化となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲4.3%(1月:同5.3%)、輸出価格が前年比▲0.2%(1月:同1.0%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比22.0%(1月:同▲4.3%)、輸入価格が前年比▲8.4%(1月:同▲5.4%)であった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲4.3%(1月:同5.3%)、輸出価格が前年比▲0.2%(1月:同1.0%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比22.0%(1月:同▲4.3%)、輸入価格が前年比▲8.4%(1月:同▲5.4%)であった。
輸出の減少は中華圏の春節が2月だった(昨年は1月)影響が大きく、実勢として輸出が大きく落ち込んだわけではない。また、輸入の高い伸びは、昨年2月に新型コロナウイルスの影響で中国からの輸入が大幅に落ち込んだ裏が出たことによるものである。
2.輸出は欧米向けの落ち込みをアジア向けの好調がカバー
21年2月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲16.4%(1月:同▲8.7%)、EU向けが前年比▲23.9%(1月:同▲26.1%)、アジア向けが前年比▲0.4%(1月:同18.4%)、うち中国向けが前年比10.0%(1月:同44.8%)となった。

2月はアジア向けの輸出が特に弱かったが、中華圏における春節の時期のずれによって、1月に前倒しされていた影響が大きい。21年1、2月の平均を20年10-12月期と比較するとアジア向けは5.3%高く(中国向けは7.3%)、米国向けは▲5.9%、EU向けは▲16.1%低い(全体は2.6%高い)。1、2月を均してみれば、アジア向けが好調を維持する一方、20年10-12月期に続き21年1-3月期もマイナス成長が見込まれているEU向けは大きく落ち込んでおり、米国向けも好調が続いていた自動車輸出が減少に転じたことなどから、弱い動きとなっている。
輸出は、欧米向けの落ち込みをアジア向けの増加がカバーする形で全体としては回復基調を維持しているが、そのペースは大きく鈍化していると判断される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年03月17日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/11 | 2024~2026年度経済見通し-24年10-12月期GDP2次速報後改定 | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/03/07 | 可処分所得を下押しする家計負担の増加-インフレ下で求められるブラケットクリープへの対応 | 斎藤 太郎 | 基礎研マンスリー |
2025/03/04 | 法人企業統計24年10-12月期-経常利益(季節調整値)は過去最高を更新したが、設備投資は低調 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/04 | 雇用関連統計25年1月-女性を中心に労働市場への参入が進む | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年03月18日
長期投資の対象、何が良いのか-S&P500、ナスダック100、先進国株式型で良かった -
2025年03月18日
中国で求められる、働きやすく、子育てしやすい社会の整備【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(68) -
2025年03月18日
グリーン車から考える日本の格差-より多くの人が快適さを享受できる社会へ- -
2025年03月18日
気候変動:アクチュアリースキルの活用-「プラネタリー・ソルベンシー」の枠組みに根差したリスク管理とは? -
2025年03月18日
EUがIRRD(保険再建・破綻処理指令)を最終化-業界団体は負担の軽減とルールの明確化等を要求-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【貿易統計21年2月-貿易収支(季節調整値)は8ヵ月ぶりの赤字】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
貿易統計21年2月-貿易収支(季節調整値)は8ヵ月ぶりの赤字のレポート Topへ