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- 雇用関連統計21年1月-雇用情勢は全体としては持ち直すも、対面型サービス業は一段と悪化
2021年03月02日
1.失業率は6ヵ月ぶりに2%台に低下
雇用者数(役員を除く)は前年に比べ▲55万人減と10ヵ月連続で減少したが、12月の同▲72万人減からは減少幅が縮小した。雇用形態別にみると、非正規の職員・従業員数は前年差▲91万人減と11ヵ月連続で減少し、12月の同▲86万人減から減少幅が拡大したが、正規の職員・従業員数が前年差36万人増(12月:16万人増)と増加幅が拡大した。
2.緊急事態宣言再発令の影響で休業者が再び増加
緊急事態宣言が発令された20年4月に597万人(前年差420万人増)と過去最多となった休業者数は5月以降に大きく減少し、10月には170万人(前年差12万人増)まで減少したが、12月に202万人と4ヵ月ぶりに200万人台となった後、緊急事態宣言が再発令された1月は244万人(前年差50万人増)と大幅に増加した(いずれも原数値)。就業者数の減少幅は前月から縮小したが、実際に働いている従業者に限ってみれば、12月の前年差▲88万人減から同▲100万人減へと減少幅が拡大している。
産業別の休業率(休業者/就業者)をみると、Go To トラベルの一時停止、緊急事態宣言再発令の影響から、宿泊業(12月:6.3%→1月:13.0%)、飲食店(12月:2.9%→1月:7.6%)、娯楽業(12月:4.1%→1月:6.8%)が大幅に上昇した。
産業別の休業率(休業者/就業者)をみると、Go To トラベルの一時停止、緊急事態宣言再発令の影響から、宿泊業(12月:6.3%→1月:13.0%)、飲食店(12月:2.9%→1月:7.6%)、娯楽業(12月:4.1%→1月:6.8%)が大幅に上昇した。
3.有効求人倍率は前月から大きく上昇
厚生労働省が3月2日に公表した一般職業紹介状況によると、21年1月の有効求人倍率は前月から0.05ポイント上昇の1.10倍(QUICK集計・事前予想:1.06倍、当社予想は1.07倍)となった。有効求人数が前月比3.1%の増加となる一方、有効求職者数が同▲2.3%の減少となった。
有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から▲0.08ポイント低下の2.03倍となった。新規求人数が前月比▲5.4%と大きく落ち込み、新規求職申込件数(同▲1.9%)の減少幅を上回ったことが求人倍率の押し下げ要因となった。
なお、労働力調査と同様に、21年1月公表分と同時に過去に遡って季節調整替えが実施されており、有効求人倍率の直近のボトムは20年9月の1.03倍から20年9、10月の1.04倍へと修正された。
経済活動の持ち直しを受けて、雇用情勢は全体としては悪化に歯止めがかかりつつある。しかし、緊急事態宣言の再発令を受けて、宿泊・飲食サービス、娯楽などの対面型サービス業は、就業者の減少ペースが加速し、休業者が大幅に増加するなど、悪化ペースがむしろ加速している。緊急事態宣言が解除されたとしても、飲食店の営業時間短縮要請など経済活動の制限は一定程度残ることが見込まれるため、対面型サービス業とそれ以外の業種の二極化がさらに進む可能性が高いだろう。
なお、労働力調査と同様に、21年1月公表分と同時に過去に遡って季節調整替えが実施されており、有効求人倍率の直近のボトムは20年9月の1.03倍から20年9、10月の1.04倍へと修正された。
経済活動の持ち直しを受けて、雇用情勢は全体としては悪化に歯止めがかかりつつある。しかし、緊急事態宣言の再発令を受けて、宿泊・飲食サービス、娯楽などの対面型サービス業は、就業者の減少ペースが加速し、休業者が大幅に増加するなど、悪化ペースがむしろ加速している。緊急事態宣言が解除されたとしても、飲食店の営業時間短縮要請など経済活動の制限は一定程度残ることが見込まれるため、対面型サービス業とそれ以外の業種の二極化がさらに進む可能性が高いだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年03月02日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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