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- 「三角関数」の基本的な定理とその有用性を再確認してみませんか(その1)-正弦定理、余弦定理、正接定理-
正接定理
「正接定理」は、三角形の2つの角と2つの辺の関係を示した定理で、以下の算式が成り立つというものである。
実は、「余弦定理」と「正弦定理」についてはお聞き及びの方も多いと思われ、そういえばそんな定理を学んだよな、と思われるかもしれないが、「正接定理」については、そんなものあったかな、と思われる人が多いのではないかと思われる。実は、この「正接定理」は、「余弦定理」や「正弦定理」と比べて、一般的にはあまり利用されていない。このため、高校の数学等でも習わないようであり、馴染みが薄いものとなっている。
「正弦定理」より、
とすると、
a=d sinα b=d sinβ
となることから、
ここで、次回に述べる加法定理を用いると、
となる。
この「正接定理」により、三角形の2辺の長さとその間の角度γが与えられている場合に、
から、α-βを求めることができ、α+β(=180°―γ)も分かるので、αとβを求めることができることになる。
三角法
この「三角法」が利用されている分野として、例えば先に述べた「三角測量」が挙げられ、地図の作成や土地の位置・状態調査などを行う「測量」や天文学における「天文計算」に使用される。さらに、歴史的には、大洋における自らの船の位置を確認するための「航海術」としても利用されてきた。
光学的測距技術やGPS(全地球測位システム)等の各種技術の向上によって、こうした三角法の直接的利用は後退しているが、今日でも、三角法の考え方自体は、引き続き、測量、天文学、航海、計量学、兵器の照準等といった多くの目的に使用されている。
(参考)三角形の合同条件
①「三辺相等」:対応する3辺が等しい。
②「二辺挟角相等」: 2辺とその挟む角が等しい。
③「二角挟辺相等」:1辺とその両端の角が等しい。
これらに加えて、④「一辺二角相等」ということで、2つの角とその間にない1辺が等しい場合も挙げられるが、三角形の内角の和が180°であることを考えれば、これは③に帰着するということもできる。
これを今回の定理との関係でみてみると、以下の通りとなる。
①の場合、「余弦定理」から3つの角度が求められる。
②の場合、「余弦定理」から、他の1辺が、さらに「余弦定理」から他の2つの角が求められる。
③の場合、三角形の内角の和が180°であることから、他の角が求まり、「正弦定理」から、他の2辺も求められる。
まとめ
次回の研究員の眼では、「三角関数の性質」として、高校時代に学んだいくつかの公式や定理等のうち、「加法定理」、「二倍角、三倍角、半角の公式」、「合成公式」、「和と積の変換公式」等について、その有用性とともに紹介したいと思う。
中村 亮一
研究・専門分野
(2021年04月02日「研究員の眼」)
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