2021年02月25日

アフターコロナに、共働き世帯の家事・育児分担は変わるか

保険研究部 准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任   村松 容子

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新型コロナウイルスの感染拡大にともない、在宅勤務等のテレワーク推進に関する議論がますます活発に行われるようになった。在宅勤務等テレワークが定着すれば、男女ともに仕事をしながら家事・育児をする時間を確保しやすくなると期待されている。
 
前稿「共働き世帯におけるコロナ自粛中の家事・育児時間の変化」では、ニッセイ基礎研究所が6月に実施した「第1回新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」を使って、本人および配偶者がともに雇用されている既婚男女のうち、感染流行前(2020年1月頃)と比べて「労働時間が増えた」または「変わらない」人を対象として、新型コロナウイルスの感染拡大前との生活時間の変化を分析した。その結果、男性の方が勤務先への出社が減少し、在宅勤務等のテレワークが増加している割合が高く、働き方の変化が大きかったが、家事時間が増加した割合は女性が男性を大きく上回った。このうち、高校生以下の子どもを持つ男女をみると、男女とも同程度の人が家族と過ごす時間が増加していたにもかかわらず、育児に割く時間が増えた割合は、女性が男性の2倍1と、やはり女性が男性を上回ったことがわかった。調査を実施した6月頃は、自粛によって在宅時間が延び、家事や育児負担は増していたと思われるが、その負担が女性に重くのしかかっていたと考えられる。

本稿では、それから半年経過した12月に実施した「第3回新型コロナによる暮らしの変化に関する調査2」を使って、夫婦の家事・育児の分担がどうなったのか、また収束後に働き方や家事・育児時間がどう変化すると予想するか回答してもらった結果を紹介する。
 
1 家事時間が増加した割合は、男性/女性それぞれ14.0/30.0%、育児時間が増加した割合は、19.4/37.5%と、女性が男性の2倍
2 2020年12月19~21日に実施。インターネット調査。対象は、全国に住む20~69歳の男女個人(株式会社マクロミルのモニタ)。有効回答数2,069。
 

1――男性の8割弱、女性の7割弱は、…

1――男性の8割弱、女性の7割弱は、労働時間がコロナ前と比べて「変わらない~増加した」

前稿と同様に、夫婦ともに雇用されていて3、調査時点(12月)において「労働時間がコロナ前(2020年1月頃)と変わらない~増加した」と回答した人を対象として分析した。このうち、本稿では、特に、家事・育児時間の分担が課題となりやすいと思われる第1子が高校生以下の子どもをもつ男女に注目する。
 
まず、高校生以下の子どもをもつ男女の労働時間の変化(2020年1月頃との比較)を図表1に示す。労働時間が「増加した」と回答した割合は、男性で11.5%、女性で19.6%と、女性の方が高かったが、「変わらない」または「増加した」割合は、男性で76.9%、女性で67.4%と、男性に多かった。6月調査と比べると大きな変化はない。
図表1 12月における労働時間の変化(2020年1月頃との比較):第1子が高校生以下の男女
以下では、労働時間が変わらない~増加したと回答した男女を対象に分析を行う。

なお、本調査は個人を対象とする調査であるため、配偶者の出勤状況や労働時間の変化については把握していない。
 
3 自分の意思だけでは、出勤状況を決めにくい労働者として、雇用されている人を対象とした。具体的には、本人、および配偶者の    職業が「公務員」「正社員・正職員」「嘱託・派遣社員・契約社員」である既婚者を対象とした。
 

2――勤務先への出社が減りテレワークが増えた割合は2割前後

2――勤務先への出社が減りテレワークが増えた割合は2割前後

労働時間が「変わらない~増加した」人について、調査時における出勤状況を図表2に示す。2020年1月頃と比べて勤務先への出社が減った人の割合は2割弱、在宅勤務等のテレワークが増えた人の割合は男性が20.0%、女性が25.8%だった。

6月調査と比べて、男性には大きな変化はなかったが、女性で勤務先への出社が減った割合、および在宅勤務等のテレワークが増えた割合がいずれも上昇していた。
図表2 12月における働き方の変化(2020年1月頃との比較):第1子が高校生以下の男女

3――家事時間が増えているのはやはり女性

3――家事時間が増えているのはやはり女性。登園・登校の再開と働き方の変化で、女性に時間的ゆとりが増えた可能性

続いて、家庭における生活時間の変化(2020年1月頃との比較)を図表3に示す。12月調査について、男女を比較すると、女性は、休養・くつろぎ時間、家族と過ごす時間、家事時間が増えた人の割合が男性と比べて高かった。

6月調査と比べると、男女とも睡眠時間が増えた割合が上昇していた。女性では、このほか休養・くつろぎ時間と、家族と過ごす時間が増えた割合が上昇し、育児時間が増えた割合が低下していた。女性は、6月調査と比べて、勤務先への出社が減少し、在宅勤務等テレワークが増加していることと、保育園や学校の登園・登校が再開されたことで、休養・くつろぎ時間、家族と過ごす時間が増加し、育児時間が減少した人がいたものと考えられる。一方、男性は、勤務先への出社の減少や在宅勤務等テレワークの増加は6月調査と大きな差はなく、家族と過ごす時間が増えた人はどちらかといえば減少し、家事・育児時間が増えた人も6月調査と同程度だった。
図表3 12月時点で時間が「増えた」と回答した割合(2020年1月頃との比較):第1子が高校生以下の男女

4――収束後は、女性の方が生活が変化すると予想している

4――収束後は、女性の方が生活が変化すると予想している

1|女性の方が収束後に勤務先への出社減・テレワーク増を予想している
では、感染収束後に生活時間がどう変化すると予想しているだろうか。ここで、収束後とは、「ワクチンや特効薬などが開発され、季節性インフルエンザと同様に予防や治療ができるようになった時」を指すとして、回答をしてもらった。
図表4 収束後の働き方の予想(2020年1月頃との比較):第1子が高校生以下の男女 まず、勤務先への出社については、感染拡大前の2020年1月頃と比べて男性の10.0%、女性の19.4%が減少すると予想している(図表4)。また、在宅勤務等のテレワークについては、男性の15.0%、女性の22.6%が増加すると予想している。これらの結果から、男性と比べると、女性の方が感染収束後に働き方が変わっていると予想していた。
2|女性の方が収束後にくつろぎ時間や家族との時間が増えると予想している
続いて、収束後の家庭内における生活時間がどのように変化すると予想するか尋ねた結果が図表5である。女性は、休養・くつろぎ時間、家族と過ごす時間、家事時間について3割以上、育児時間について2割強が増加し、一人で過ごす時間について減少すると予想していた。一方、男性は、家族と過ごす時間、休養・くつろぎ時間について2割超が増加し、家族と過ごす時間、育児時間について15%が減少すると予想していた。図表3と比べると、12月調査時点で増加していた項目について、収束後も増加していると予想しており、現状が続くことをイメージしているようだ。
図表5 収束後の生活時間の変化についての予想(2020年1月頃との比較):第1子が高校生以下の男女
男女を比較すると、女性は男性と比べて、家事時間が増えること、一人で過ごす時間が減ることを予想する割合が高く、男性は女性と比べて、育児時間が減ることを予想する割合が高くなっていた。男性は、女性と比べると、働き方の変化も生活時間の変化も小さく見込んでいた。
3|家族との時間が増えることで、女性には絆が深まる期待と、ストレスが溜まる不安
こういった働き方の変化や、家庭内での生活時間の変化にともない、在宅勤務が増えることへの期待や、家族や家族と過ごす時間への考え方、家族と過ごす時間が増えることの不安を抱える人は多い。

男女とも4割弱が、在宅勤務が増えることで「都合の良い時間に働きやすくなる」と予想していた。また、「自由時間が増える」は男性の47.5%、女性の28.2%が予想しており、男性が女性を大きく上回った。

家族と過ごす時間が増えることに対しては、女性は男性より「家族をベースとした生活になる」「家族との絆が深まる」と考えている割合が高かった。ただし、「ストレスが溜まる不安がある」は女性で45.2%、男性で25.0%と、女性が男性を大きく上回った。
図表6 働き方・生活時間の変化への期待と不安:第1子が高校生以下の男女

5――家庭内の家事・育児については…

5――家庭内の家事・育児については、各家庭でベストなバランスを見つけていくことが重要

12月調査では、第1子が高校生以下で、夫婦ともに雇用されている男女の人数はあまり多くなく、概要しか分析できなかったが、勤務先への出社の減少や在宅勤務等のテレワークの増加は、6月調査と比べて特に女性で上昇していた。こういった働き方の変化と、子どもの登園・登校が再開したことで、女性は男性と比べて休養・くつろぎ時間と家族と過ごす時間が増加した人が多かった。

家事・育児時間についてみると、12月に家事時間が増加していた割合は、6月調査と同様に女性が男性を20ポイント近く上回り高かった。登園・登校が始まったことで、育児時間については、女性も増加していた割合が6月調査より低下していたものの男女差は10ポイント以上あった。

収束後(ワクチンや特効薬などが開発され、季節性インフルエンザと同様に予防や治療ができるようになった時)は、女性は男性と比べて、元の生活に戻るのではなく、働き方や家族とすごす時間について変化すると考えているようだった。女性は、家族と過ごす時間が増え、一人で過ごす時間が減ることで、家族をベースとした生活となり絆が強まると考える一方で、家族と過ごす時間が増えることでストレスが溜まることを不安に感じていた。男性は、収束後の働き方について女性ほど大きな変化を予想していなかったため、生活時間も女性ほどの変化を予想していないようだった。しかし、在宅勤務時間が増加し、自由な時間が増えると予想している割合は女性より高かった。半数弱が、家族をベースとした生活となると予想していたが、家事時間・育児時間は現状が続くことをイメージしているのか、収束後に増えると予想しているのは一部のようだ。

働き方や生活時間が変わっていく中、家庭内の家事・育児のバランスについては、各家庭でベストなバランスを見つけていくことが重要となるだろう。
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保険研究部   准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

村松 容子 (むらまつ ようこ)

研究・専門分野
健康・医療

(2021年02月25日「基礎研レポート」)

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