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- オフィス市場は調整色が強まる。コロナ再拡大がホテル・商業の回復に打撃。-不動産クォータリー・レビュー2020年第4四半期
2021年02月08日
7 アドバンス・レジデンス投資法人によると、2020年12月末の首都圏の賃貸マンション稼働率は1月末と比較して▲0.3%低下したのに対して、東京主要7区の稼働率は▲1.8%低下した。
コロナ禍により甚大なダメージを受けたホテルセクターは、依然として厳しい状況にある。2020年10-12月累計の訪日外国人客数は前年同期比▲98.1%の14.3万人、2020年全体では前年比▲87.1%の411.6万人となった(図表-15)。宿泊旅行統計調査によると、2020年10-12月の延べ宿泊者数は前年同期比▲34.5%減少し、このうち外国人が▲95.6%、日本人が▲19.8%となった(図表-16)。また、STR社によると、全国のホテル稼働率は4月(14.1%)をボトムに11月には55.1%まで回復したが、12月は新型コロナの第3波拡大に伴う「GoToトラベル」キャンペーン中止を受けて再び43.0%に低下している。
8 CBRE「ジャパンロジスティクスマーケットビュー 2020年第4四半期」(2021年1月29日)
4. J -REIT(不動産投信)市場・不動産投資市場
2020年第4四半期の東証REIT指数(配当除き)は、米国の新政権誕生などを受けて景気に対する楽観見通しが強まり株式市場が大きく上昇するなか、J-REIT市場にも資金が流入し9月末比3.3%上昇した。セクター別では、バリュエーション面で割安であったオフィス系REITや商業系REITが買われ、オフィス(+5.8%)と商業・物流等(+2.2%)が上昇した一方で、住宅(▲2.0%)は下落した(図表-18)。12月末時点のバリュエーションは、純資産10.7兆円に保有物件の含み益3.9兆円を加えた14.6兆円に対して時価総額は14.4兆円でNAV倍率は0.98倍、分配金利回りは4.0%で10年国債利回り(0.0%)とのスプレッドは4.0%となった。
2020年のJ-REIT市場を振り返ると、東証REIT指数(配当除き)は▲16.9%下落し、3年ぶりの下落となった(図表-19)。年初は上昇してスタートしたが、2月下旬以降、新型コロナウイルス感染拡大を受けて急落し、高値からの下落率は一時リーマン・ショック時(2008年)に次ぐ大きさを記録した。その後は上昇に転じたものの、オフィス市況の先行き懸念などを背景に上値の重い展開となった。銘柄数は62社(▲2社)、市場時価総額は14.4兆円(前年比▲12%)に減少したものの、新規の物件取得が順調に進み、運用資産額(取得額ベース)は20.3兆円(前年比+6%)と過去最高を更新した。業績面では、ホテルを中心に変動賃料収入が剥落したことなどから市場全体の予想1口当たり分配金は前年比▲7%減少した一方で、保有不動産の評価額は概ね横ばいとなり1口当たりNAVは前年比+1%増加した。
(ご注意)本稿記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本稿は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。
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経歴
- 【職歴】 2006年4月 住友信託銀行(現 三井住友信託銀行) 2013年10月 国際石油開発帝石(現 INPEX) 2015年9月 ニッセイ基礎研究所 2019年1月 ラサール不動産投資顧問 2020年5月 ニッセイ基礎研究所 2022年7月より現職 【加入団体等】 ・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター ・日本証券アナリスト協会検定会員
(2021年02月08日「不動産投資レポート」)
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