2021年01月29日

鉱工業生産20年12月-2四半期連続の増産、予測指数も強め

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.10-12月期は前期比6.2%と2四半期連続の増産

経済産業省が1月29日に公表した鉱工業指数によると、20年12月の鉱工業生産指数は前月比▲1.6%(11月:同▲0.5%)と2ヵ月連続で低下し、ほぼ事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲1.5%、当社予想は同▲1.6%)通りの結果となった。出荷指数は前月比▲1.6%と2ヵ月連続の低下、在庫指数は前月比1.1%と9ヵ月ぶりの上昇となった。

12月の生産を業種別にみると、電子部品・デバイスは前月比0.7%と2ヵ月連続で上昇したが、生産の牽引役となっていた自動車が挽回生産の一巡などから前月比▲3.0%(11月:同▲4.5%)と2ヵ月連続で低下し、生産全体を押し下げた。

20年10-12月期の生産は前期比6.2%と2四半期連続の増産となったが、7-9月期の同8.7%からは伸びが低下した。業種別には自動車が7-9月期の前期比62.8%に続き、10-12月期も同13.2%と好調を維持したほか、自動車との関連性が高い鉄鋼(前期比16.8%)、非鉄金属(同9.3%)も高い伸びとなった。また、内外の設備投資の回復を反映し、生産用機械(前期比11.5%)、汎用・業務用機械(同12.3%)も前期比で二桁の伸びとなった。

鉱工業生産は20年4-6月期に前期比▲16.9%と急激に落ち込んだ後、7-9月期、10-12月期の2四半期でその約4分の3を取り戻したが、10-12月期の生産は1-3月期よりも▲4%程度低い水準にとどまっている。
鉱工業生産・出荷・在庫指数の推移/鉱工業生産の業種別寄与度
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は20年7-9月期の前期比▲4.6%の後、10-12月期は同11.8%と5四半期ぶりに上昇した。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は20年7-9月期の前期比▲0.1%の後、10-12月期は同2.6%と5四半期ぶりに上昇した。輸出向け出荷の好調によって大きく押し上げられていることには注意が必要だが、国内の設備投資の動きを反映する国内向けについても持ち直しの動きは明確となっている。

GDP統計の設備投資は20年4-6月期の前期比▲5.7%に続き、7-9月期も同▲2.4%と2四半期連続で減少した。景気はすでに後退局面を脱しているとみられるが、企業収益の悪化や景気の先行き不透明感の高まりを背景に設備投資の底入れは遅れている。20年10-12月期の設備投資は3四半期ぶりの増加を予想しているが、大幅な落ち込みの後としては低い伸びにとどまる可能性が高いだろう。

消費財出荷指数は20年7-9月期の前期比13.8%の後、10-12月期は同1.7%となった。非耐久消費財は前期比▲4.1%(7-9月期:同1.5%)と2四半期ぶりに低下したが、耐久消費財が前期比13.2%(7-9月期:同47.8%)の高い伸びとなった。
財別の出荷動向 GDP統計の民間消費は、20年4-6月期の前期比▲8.3%の後、7-9月期は同5.1%となった。足もとの消費関連指標を確認すると、Go To キャンペーン事業による後押しもあって持ち直しを続けてきたが、新型コロナウイルス陽性者数増加を受けたGo To キャンペーン事業の一時停止、飲食店の営業時間短縮要請、緊急事態宣言再発令の影響から、年末以降サービスを中心に弱い動きとなっている。10-12月期の民間消費は増加を確保するものの、7-9月期からは伸びが大きく低下することが予想される。

2.先行きは減速するものの、一定の底堅さを維持する見込み

製造工業生産予測指数は、21年1月が前月比8.9%、2月が同▲0.3%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(12月)、予測修正率(1月)はそれぞれ▲0.9%、0.7%であった。

予測指数を業種別にみると、6~10月の大幅増産の後、11、12月と2四半期連続の減産となった輸送機械は1月が前月比3.8%、2月が同▲2.6%とほぼ横ばいにとどまっている。自動車が生産全体を牽引する局面は終了したと判断される。
最近の実現率、予測修正率の推移/輸送機械の生産、在庫動向
20年12月の生産指数を21年1、2月の予測指数で先延ばしすると、21年1、2月の平均は20年10-12月期を7.4%上回る。もともと生産実績が計画を下回る傾向があることに加え、1月の予測指数は振れが大きくなる傾向があるため、この数字は割り引いてみる必要があるが、3四半期連続の増産は確保できそうだ。

年明け以降は、新型コロナウイルス陽性者数の増加を受けて内外ともに経済活動を制限する動きが広がっていることから、好調に推移してきた輸出は減速することが見込まれる。また、緊急事態宣言の再発令を受けて持ち直しを続けてきた国内需要が再び弱い動きとなる可能性が高いことも踏まえると、先行きの生産は減速が避けられないだろう。一方、世界的に経済活動の制限に伴う落ち込みはサービス産業に偏っており、景況感の改善に見られるように製造業は引き続き堅調を維持している。20年4-6月期のように生産が急激に落ち込むことは避けられるだろう。
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2021年01月29日「経済・金融フラッシュ」)

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