- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 法人企業統計20年7-9月期-企業収益は持ち直すが、設備投資は調整が継続
2020年12月01日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1. 6四半期連続の減益も、減益幅は縮小
製造業は、内外の経済活動再開を受けて、売上高が前年比▲13.2%(4-6月期:同▲20.0%)と減少幅が縮小したが、売上高経常利益率が19年7-9月期の5.7%から4.8%へと悪化したことが収益の押し下げ要因となった。
非製造業は、緊急事態宣言の解除を受けて売上高が前年比▲10.8%(4-6月期:同▲16.8%)と若干持ち直したが、売上高経常利益率が19年7-9月期の4.7%から3.7%へと悪化した。製造業、非製造業ともに人件費要因が利益率を大きく押し下げた。人件費は減少(製造業:前年比▲6.7%、非製造業:同▲4.3%)したものの、売上高の減少幅がそれを上回ったことから、売上高人件費率が大きく上昇した。
非製造業は、緊急事態宣言の解除を受けて売上高が前年比▲10.8%(4-6月期:同▲16.8%)と若干持ち直したが、売上高経常利益率が19年7-9月期の4.7%から3.7%へと悪化した。製造業、非製造業ともに人件費要因が利益率を大きく押し下げた。人件費は減少(製造業:前年比▲6.7%、非製造業:同▲4.3%)したものの、売上高の減少幅がそれを上回ったことから、売上高人件費率が大きく上昇した。
2.経常利益(季節調整値)の増加幅はコロナ禍の落ち込みの半分弱
経常利益の内訳を業種別に見ると、ほとんどの業種が減益となったが、新型コロナウイルスの影響を強く受けた宿泊業(▲1,163億円)、飲食サービス業(▲1,095億円)は1-3月期から3四半期連続で赤字となった。
季節調整済の経常利益は前期比33.7%(4-6月期:同▲30.2%)と6四半期ぶりに増加したが、新型コロナウイルスの影響が顕在化した20年1-3月期、4-6月期の落ち込みの半分弱を取り戻すにとどまった。製造業が前期比43.6%(4-6月期:同▲34.3%)、非製造業は前期比29.5%(4-6月期:同▲28.2%)となった。
季節調整済の経常利益は前期比33.7%(4-6月期:同▲30.2%)と6四半期ぶりに増加したが、新型コロナウイルスの影響が顕在化した20年1-3月期、4-6月期の落ち込みの半分弱を取り戻すにとどまった。製造業が前期比43.6%(4-6月期:同▲34.3%)、非製造業は前期比29.5%(4-6月期:同▲28.2%)となった。
3.設備投資は減少が継続
設備投資(ソフトウェアを含む)は前年比▲10.6%(4-6月期:同▲11.3%)と2四半期連続で減少した。製造業(4-6月期:前年比▲9.7%→7-9月期:同▲10.3%)は4四半期連続の減少、非製造業(4-6月期:前年比▲12.1%→7-9月期:同▲10.8%)は2四半期連続の減少となった。
季節調整済の設備投資(ソフトウェアを含む)は前期比▲1.2%(4-6月期:同▲7.1%)と2四半期連続で減少した。製造業が前期比▲1.1%(4-6月期:同▲5.4%)、非製造業が前期比▲1.3%(4-6月期:同▲8.0%)といずれも2四半期連続で減少した。
季節調整済の設備投資(ソフトウェアを含む)は前期比▲1.2%(4-6月期:同▲7.1%)と2四半期連続で減少した。製造業が前期比▲1.1%(4-6月期:同▲5.4%)、非製造業が前期比▲1.3%(4-6月期:同▲8.0%)といずれも2四半期連続で減少した。
4.7-9月期・GDP2次速報は1次速報と変わらず
本日の法人企業統計の結果等を受けて、12/8公表予定の20年7-9月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比5.0%(前期比年率21.4%)になると予測する。1次速報の前期比5.0%(前期比年率21.4%)と変わらないだろう。

また、民間在庫変動は1次速報で仮置きとなっていた原材料在庫、仕掛品在庫に法人企業統計の結果が反映されるが、1次速報の前期比・寄与度▲0.2%から変わらないだろう。
なお、12/8公表予定の20年7-9月期2次速報では、約5年に1度の基準改定(2011年基準→2015年基準)の結果を反映した上で、19年度の速報値が年次推計値に改定される。今回の基準改定では、2015年の「産業連関表」、「国勢調査」等の結果を反映させるとともに、国際基準への対応や経済活動の適切な把握に向けた推計方法の改善が行われる。
具体的には、・改装・改修(リフォーム・リニューアル)の総固定資本形成への計上、・分譲住宅販売マージン等の反映、・娯楽作品原本の資本化、・著作権等サービスの計上、などが実施される。内閣府では、2015年基準改定により2015年の名目GDPの水準が6.7兆円(改定前GDP比で1.3%)押し上げられるとの試算を公表しているが、GDP成長率(名目、実質)への影響は不明である。今回の2次速報では、GDPの水準が過去に遡って変わることに加え、年度、四半期毎の成長率も大幅に修正される可能性がある。しかし、現時点では基準改定後の過去の計数が公表されていないため、今回の7-9月期GDP2次速報の予測はかなり幅をもってみる必要がある。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年12月01日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/01/31 | 2024年10-12月期の実質GDP~前期比0.3%(年率1.0%)を予測~ | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/01/31 | 雇用関連統計24年12月-女性の就業者数が5ヵ月連続で過去最高を更新 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/01/31 | 鉱工業生産24年12月-2四半期ぶりの増産だが、一進一退を抜け出せず | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
2025/01/24 | 消費者物価(全国24年12月)-コアCPI上昇率は23年8月以来の3%台 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2025年02月14日
マレーシア経済:24年10-12月期の成長率は前年同期比+5.0%~内需が好調で堅調な成長ペースを維持 -
2025年02月14日
英国GDP(2024年10-12月期)-前期比0.1%と低空飛行が続く -
2025年02月14日
保険と年金基金における各種リスクと今後の状況(欧州 2025.1)-EIOPAが公表した報告書(2025年1月)の紹介 -
2025年02月14日
企業のマーケティングや営業にもサステナビリティ変革の足音-34年ぶりのマーケティング定義刷新に見る地方創生への期待 -
2025年02月14日
グローバル株式市場動向(2025年1月)-DeepSeekショックにより半導体関連銘柄は下落
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【法人企業統計20年7-9月期-企業収益は持ち直すが、設備投資は調整が継続】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
法人企業統計20年7-9月期-企業収益は持ち直すが、設備投資は調整が継続のレポート Topへ