2020年11月20日

消費者物価(全国20年10月)-制度要因を主因にコアCPIの下落率が拡大

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.コアCPI上昇率のマイナス幅が拡大

消費者物価指数の推移 総務省が11月20日に公表した消費者物価指数によると、20年10月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.7%(9月:同▲0.3%)となり、下落率は前月から0.4ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.7%、当社予想は▲0.6%)通りの結果であった。

当研究所の試算によれば、20年9月までコアCPI上昇率は消費税率引き上げの影響で1.0%ポイント程度押し上げられる一方、教育無償化の影響で▲0.7%ポイント程度下げられていた。10月は消費税率引き上げ(経過措置で新税率の適用が19年11月以降となった品目を除く)と幼児教育無償化の影響が一巡したことにより、上昇率は▲0.2%ポイント程度押し下げられた。

また、「Go To トラベル事業」による宿泊料の低下によって10月のコアCPI上昇率は▲0.5%ポイント程度押し下げられており、これらの影響を除いたコアCPI上昇率はほぼゼロ%となる。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比▲0.2%(9月:同0.0%)、総合は前年比▲0.4%(9月:同0.0%)であった。総合指数は、コアCPI上昇率がマイナスとなる中でも、生鮮食品の高騰によってプラスの伸びを維持していたが、10月は生鮮食品の伸びが9月の前年比7.8%から同5.4%へと鈍化したこともあり、16年9月以来、4年1ヵ月ぶりの下落となった。
コアCPIの内訳をみると、電気代(9月:前年比▲3.4%→10月:同▲4.7%)、ガソリン(9月:前年比▲4.9%→10月:同▲9.2%)、灯油(9月:前年比▲10.8%→10月:同▲13.6%)の下落幅が拡大し、ガス代(9月:前年比0.2%→10月:同▲0.9%)が下落に転じたため、エネルギー価格の下落率は9月の前年比▲3.5%から同▲5.7%へと拡大した。このうち、ガソリン、灯油は消費税率引き上げの影響一巡によって上昇率が▲1.9%ポイント程度押し下げられているが、この影響を除いても下落率は拡大している。
消費者物価指数(生鮮食品除く、全国)の要因分解 食料(生鮮食品を除く)は前年比0.2%となり、9月の同0.8%から伸びが鈍化した。ほとんどの品目が軽減税率の適用外である一般外食が、消費税率引き上げの影響一巡により9月の前年比2.8%から同0.7%へと伸びが鈍化した。

コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.57%(9月:▲0.43%)、食料(生鮮食品を除く)が0.07%(9月:0.07%)、その他が▲0.33%(9月:▲0.26%)であった(当研究所試算による消費税、教育無償化の影響を除くベース)。

2.コアCPI上昇率は21年夏頃までマイナスが継続

コアCPI上昇率は制度要因を主因としてマイナス幅が拡大した。20年7-9月期の実質GDPは前期比年率21.4%の大幅プラス成長となったが、引き続きコロナ前の水準を大きく下回っている。当研究所が推計した需給ギャップは、緊急事態宣言下の2020年4-6月期に▲9.0%(GDP比)とリーマン・ショック後を超えるマイナスとなった後、7-9月期は大幅に改善したが、依然として▲5.6%の大幅マイナスとなっている。

7-9月期の民間消費は前期比4.7%の高い伸びとなったが、ここにきて新型コロナウイルス陽性者数が増加していることもあり、対面型サービスを中心に再び弱い動きとなる可能性がある。
潜在GDPと需給ギャップの推移 需給面からの下押し圧力が強い中、11月以降は消費税率引き上げのうち経過措置品目(電気代、ガス代)の影響が一巡することにより、さらに▲0.2%ポイント程度押し下げられる。コアCPI上昇率は年末にかけて▲1%程度まで拡大する可能性が高い。21年入り後はエネルギー価格の下落率縮小が見込まれるが、コアCPI上昇率がプラスに転じるのは21年夏頃と予想している。
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2020年11月20日「経済・金融フラッシュ」)

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