2020年10月30日

雇用関連統計20年9月-休業が継続する人の割合が上昇

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.5ヵ月ぶりに労働力人口が減少

総務省が10月30日に公表した労働力調査によると、20年9月の完全失業率は前月から横ばいの3.0%(QUICK集計・事前予想:3.1%、当社予想も3.1%)となった。労働力人口が前月から▲5万人減少する中、就業者数が▲4万人減少したため、失業者数は前月から1万人増の206万人(いずれも季節調整値)となった。労働力人口は4月に前月から▲99万人の大幅減少となった後、5月以降増加を続けてきたが、9月にはその動きがいったん止まる形となった。失業率は横ばいにとどまったが、労働市場から退出した人が増えたことが失業者の増加を抑えた面があることには注意が必要だ。
完全失業率と就業者の推移/労働市場への再参入が失業者の増加につながる
就業者数は前年差▲79万人の減少(8月は同▲75万人)となった。産業別には、新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けている宿泊・飲食サービスが8月の前年差▲28万人から同▲48万人へと減少幅が拡大する一方、8月に前年差▲52万人の大幅減少となっていた製造業が、生産活動の持ち直しを受けて同▲39万人と減少幅が縮小した。

雇用者数(役員を除く)は前年に比べ▲75万人の減少(8月は前年差▲83万人)となった。雇用形態別にみると、正規の職員・従業員数が前年差48万人増(8月:同38万人増)と増加を維持する一方、非正規の職員・従業員数は前年差▲123万人減(8月:同▲120万人減)と大幅な減少が続いた。売上減少、業績悪化を受けて、非正規の雇用調整が本格化している。
産業別・就業者数の推移/雇用形態別雇用者数

2.休業者にとどまる人の割合が上昇

緊急事態宣言が発令された20年4月に597万人(前年差420万人増)と過去最多となった休業者数は、9月には197万人(前年差35万人)まで減少したが、8月の前年差14万人から増加幅が拡大した。労働力調査のフローデータ1を用いて、8月に休業していた者が9月にどの就業状態に移行したかをみると、8月に休業者であった199万人のうち、9月も引き続き休業者が122万人(61.3%)、従業者に移行が56万人(28.1%)、失業者に移行が3万人(1.5%)、非労働力人口に移行が18万人(9.0%)となった(括弧内は割合)。休業者から失業者になる人の割合は低下しているが、休業者にとどまる人の割合が増加していることは悪い材料である。
就業者増減の内訳/前月休業者の当月の就業状態
労働力人口(季節調整値)は緊急事態宣言が発令された5月から8月まで増加した後、9月は小幅な減少となったが、基調としてはコロナ禍で職を失った際に非労働力化した人が労働市場に戻る動きが継続していると考えられる。こうした動きは前向きな評価ができる一方、職探しを再開した人の一部は失業者として顕在化することになる。

また、雇用調整助成金の特例措置が失業者の増加を抑制していることは確かだが、経済活動の水準が元に戻らない中で無理に雇用を維持し続けることは、新規雇用、特に新卒採用の抑制につながる恐れがある。景気はすでに底打ちしており、労働市場にも明るい兆しがみられるが、失業率は上昇傾向が続くことが予想される。
 
1 労働力調査のフローデータは、ストックデータの2分の1の調査世帯を集計対象としていること、総数に転出者、転入者を含むことなどから、ストックの増減とフローの値は一致しない

3.有効求人倍率は低下が続く

有効求人倍率の推移 厚生労働省が10月30日に公表した一般職業紹介状況によると、20年9月の有効求人倍率は前月から▲0.01ポイント低下の1.03倍(QUICK集計・事前予想:1.03倍、当社予想も1.03倍)となった。有効求人数が前月比▲0.1%(8月:同0.9%)と3ヵ月ぶりに減少する一方、有効求職者数が前月比0.8%(8月:同4.7%)と5ヵ月連続で増加した。

効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.20ポイント上昇の2.02倍となった。新規求人数が前月比4.9%と2ヵ月連続で増加する一方、新規求職申込件数が前月比▲5.4%と3ヵ月連続で減少した。
 
経済活動の再開を受けて有効求人数は下げ止まりつつあるが、失業者の増加を反映し有効求職者数は増加が続いている。新規求人倍率が6ヵ月ぶりに2倍を上回ったことは明るい材料だが、新規求人数はコロナ前(20年2月)の水準を依然として1割以上下回っている。企業の採用意欲が弱い中で有効求職者数の増加傾向が続くことから、有効求人倍率は年末にかけて1倍を割り込む可能性があるだろう。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2020年10月30日「経済・金融フラッシュ」)

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