2020年10月19日

貿易統計20年9月-7-9月期の外需寄与度は前期比2.8%(年率11.7%)の大幅プラスに

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.輸出の減少幅が縮小

財務省が10月19日に公表した貿易統計によると、20年9月の貿易収支は6,750億円の黒字となり、事前の市場予想(QUICK集計:10,273億円、当社予想は9,898億円)を下回る結果となった。輸出が前年比▲4.9%(8月:同▲14.8%)と減少幅が急速に縮小したのに対し、輸入は前年比▲17.2%(8月:同▲20.8%)と大幅な減少が続いたため、貿易収支は前年に比べ8,041億円の改善となった。

輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲7.7%(8月:同▲14.9%)、輸出価格が前年比3.0%(8月:同0.1%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲8.4%(8月:同▲11.6%)、輸入価格が前年比▲9.6%(8月:同▲10.4%)であった。
貿易収支の推移/貿易収支(季節調整値)の推移
輸出金額の要因分解/輸入金額の要因分解
原油価格(ドバイと入着ベース)の推移 季節調整済の貿易収支は4,758億円と3ヵ月連続の黒字となり、8月の3,572億円から黒字幅が拡大した。輸出が前月比4.5%と4ヵ月連続で増加し、輸入の伸び(同2.5%)を上回った。

9月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=46.3ドル(当研究所による試算値)となり、8月の43.4ドルから上昇した。原油価格(ドバイ)は6月以降、40ドル前後の推移が続いている。通関ベースの原油価格は、10月以降も40ドル台となる可能性が高い。

2.米国向け輸出の持ち直しが鮮明に

20年9月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲6.1%(8月:同▲20.1%)、EU向けが前年比▲23.3%(8月:同▲27.5%)、アジア向けが前年比▲3.7%(8月:同▲7.3%)、うち中国向けが前年比15.8%(8月:同7.7%)となった。

20年7-9月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比41.7%(4-6月期:同▲37.2%)、EU向けが前期比5.5%(4-6月期:同▲25.9%)、アジア向けが前期比4.9%(4-6月期:同▲8.8%)、中国向けが前期比9.1%(4-6月期:同6.6%)、全体では前期比12.8%(4-6月期:同▲20.8%)となった。
地域別輸出数量指数(季節調整値)の推移 経済活動の再開が早く、その後の回復も順調な中国向けはコロナ前の水準を上回っており、7-9月期に前期比年率30%程度の高成長が見込まれている米国向けも順調に回復している。一方、景気の持ち直しが鈍いEU向けは急激な落ち込みの後としては戻りが非常に弱い。

世界的な経済活動の再開を受けて、輸出は最悪期を脱した。ただし、世界的に新型コロナウイルス感染収束が見えない中で、経済活動の水準が元に戻るまでには時間を要するため、先行きの輸出は回復ペースが鈍化することが予想される。
 
一方、20年7-9月期の輸入数量指数(当研究所による試算値)は前期比▲5.5%(4-6月期:同4.6%)と2四半期ぶりに低下した。国内需要が急速に落ち込む中でもパソコン、携帯電話、マスクなどの消費財が増加した4-6月期の反動や国内需要の回復ペースの鈍さを反映したものと考えられる。

3.7-9月期の外需寄与度は前期比2.8%の大幅プラスに

9月までの貿易統計と8月までの国際収支統計の結果を踏まえて、20年7-9月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比7%台の増加、輸入が前期比▲9%程度の減少となった。世界的な経済活動の再開を受けて輸出が高い伸びとなる一方、国内需要の弱さを反映し輸入が減少したことから、7-9月期の外需寄与度は前期比2.8%(前期比年率11.7%)の大幅プラスとなることが予想される(4-6月期の外需寄与度は前期比▲3.0%、前期比年率▲10.9%)。

当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、10/30のweeklyエコノミストレターで20年7-9月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が成長率を大きく押し上げることに加え、緊急事態宣言の解除を受けて民間消費などの国内需要も増加することから、前期比年率20%近い高成長を予想している。
 
 

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斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2020年10月19日「経済・金融フラッシュ」)

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