2020年10月02日

雇用関連統計20年8月-労働市場には明るさもみられるが、失業率はさらに上昇する可能性大

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.失業率は3年3ヵ月ぶりの3%台

総務省が10月2日に公表した労働力調査によると、20年8月の完全失業率は前月から0.1ポイント上昇の3.0%(QUICK集計・事前予想:3.0%、当社予想は3.1%)と、3年3ヵ月ぶりの3%台となった。労働力人口が前月から20万人増加する中、就業者数が11万人の増加にとどまったため、失業者数は前月から9万人増の205万人(いずれも季節調整値)となった。労働力人口は4月に前月から▲99万人の大幅減少となった後、5月以降は増加している。緊急事態宣言が発令された4月に非労働力化した人が徐々に労働市場に戻ってきていることが、就業者の増加とともに失業者の増加にもつながっている。
完全失業率と就業者の推移/労働市場への再参入が失業者の増加につながる
就業者数は前年差▲75万人の減少(7月は同▲76万人)となった。産業別には、新型コロナウィルス感染症の影響を強く受けている宿泊・飲食サービスが前年差▲28万人(7月:同▲22万人)と引き続き大幅な減少となっていることに加え、生産活動が持ち直しつつある製造業の減少幅が7月の前年差▲8万人から同▲52万人と大きく拡大した。

雇用者数(役員を除く)は前年に比べ▲83万人の減少(7月は前年差▲78万人)となった。雇用形態別にみると、正規の職員・従業員数が前年差38万人増(7月:同52万人増)と増加を維持する一方、非正規の職員・従業員数は前年差▲120万人減(7月:同▲131万人減)と大幅な減少が続いた。売上減少、業績悪化を受けて、非正規の雇用調整が本格化している。
産業別・就業者数の推移/雇用形態別雇用者数

2.休業者にとどまる人の割合が上昇

緊急事態宣言が発令された20年4月に597万人(前年差420万人増)と過去最多となった休業者数は、8月には216万人(前年差14万人)となり、平常時に近い水準まで減少した。労働力調査のフローデータ1を用いて、7月に休業していた者が8月にどの就業状態に移行したかをみると、20年7月に休業者であった211万人のうち、8月も引き続き休業者が120万人(56.9%)、従業者に移行が59万人(28.0%)、失業者に移行が8万人(3.8%)、非労働力人口に移行が24万人(11.4%)となった(括弧内は割合)。休業者数の水準は低下しているが、従業者となる人の割合が低下、休業者にとどまる人、失業者、非労働力人口となる人の割合が上昇していることは悪い材料である。
就業者増減の内訳/前月休業者の当月の就業状態
労働力人口(季節調整値)は緊急事態宣言が発令された4月に前月から▲99万人の大幅減少となった後、5月から8月まで63万人増加した。このことは、コロナ禍で職を失った際に非労働力化した人が労働市場に戻る動きとして評価できる一方、その一部は失業者として顕在化しており、こうした動きはしばらく継続する可能性が高い。

また、雇用調整助成金の特例措置が失業者の増加を抑制していることは確かだが、経済活動の水準が元に戻らない中で無理に雇用を維持し続けることは、新規雇用、特に新卒採用の抑制につながる恐れがある。景気はすでに底打ちしており、労働市場にも明るい兆しがみられるが、失業率は上昇傾向が続くことが予想される。
 
1 労働力調査のフローデータは、ストックデータの2分の1の調査世帯を集計対象としていること、総数に転出者、転入者を含むことなどから、ストックの増減とフローの値は一致しない
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2020年10月02日「経済・金融フラッシュ」)

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