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- 法人企業統計20年4-6月期-経常利益の水準はピーク時の半分以下まで落ち込む
2020年09月01日
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1.5四半期連続の減益
製造業は、海外のロックダウンに伴う輸出の急減などから、売上高が前年比▲20.0%(1-3月期:同▲5.5%)と大きく落ち込む中、売上高経常利益率が19年4-6月期の7.7%から4.9%へと大幅に悪化したことが収益の押し下げ要因となった。
非製造業は、緊急事態宣言による外出自粛、店舗休業の影響で売上高が前年比▲16.8%(1-3月期:同▲8.3%)の大幅減少となったことに加え、売上高経常利益率が19年4-6月期の6.3%から4.1%へと悪化した。製造業、非製造業ともに人件費要因が利益率を大きく押し下げた。人件費は減少(製造業:前年比▲6.3%、非製造業:同▲7.7%)したものの、売上高の減少幅が極めて大きかったことから、売上高人件比率が大きく上昇した。
非製造業は、緊急事態宣言による外出自粛、店舗休業の影響で売上高が前年比▲16.8%(1-3月期:同▲8.3%)の大幅減少となったことに加え、売上高経常利益率が19年4-6月期の6.3%から4.1%へと悪化した。製造業、非製造業ともに人件費要因が利益率を大きく押し下げた。人件費は減少(製造業:前年比▲6.3%、非製造業:同▲7.7%)したものの、売上高の減少幅が極めて大きかったことから、売上高人件比率が大きく上昇した。
2.経常利益(季節調整値)の水準はピーク時の半分以下に
経常利益の内訳を業種別に見ると、ほとんどの業種が減益となったが、新型コロナウィルスの影響を強く受けた宿泊業(▲3,800億円)、飲食サービス業(▲4,228億円)は1-3月期に続き赤字となった。
季節調整済の経常利益は前期比▲29.7%(1-3月期:同▲16.4%)と5四半期連続で減少し、減少ペースが加速した。製造業が前期比▲34.8%(1-3月期:同▲12.4%)、非製造業は前期比▲27.3%(1-3月期:同▲18.1%)となった。
季節調整済の経常利益は前期比▲29.7%(1-3月期:同▲16.4%)と5四半期連続で減少し、減少ペースが加速した。製造業が前期比▲34.8%(1-3月期:同▲12.4%)、非製造業は前期比▲27.3%(1-3月期:同▲18.1%)となった。
3.設備投資の回復基調は途切れる
設備投資(ソフトウェアを含む)は前年比▲11.3%(1-3月期:同0.1%)と2四半期ぶりに減少した。製造業(1-3月期:前年比▲5.3%→4-6月期:同▲9.7%)は3四半期連続の減少、非製造業(1-3月期:前年比2.9%→4-6月期:同▲12.1%)は2四半期ぶりの減少となった。
4.4-6月期・GDP2次速報は下方修正を予想
本日の法人企業統計の結果等を受けて、9/8公表予定の20年4-6月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比▲8.1%(前期比年率▲28.8%)となり、1次速報の前期比▲7.8%(前期比年率▲27.8%)から下方修正されると予測する。

また、民間在庫変動は1次速報で仮置きとなっていた原材料在庫、仕掛品在庫に法人企業統計の結果が反映されるが、1次速報の前期比・寄与度▲0.0%から変わらないだろう。
その他の需要項目では、民間消費は6月のサービス産業動向調査の結果などが反映され、前期比▲8.2%から同▲8.0%へ上方修正されると予想する。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年09月01日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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