2020年09月01日

法人企業統計20年4-6月期-経常利益の水準はピーク時の半分以下まで落ち込む

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.5四半期連続の減益

経常利益の推移 財務省が9月1日に公表した法人企業統計によると、20年4-6月期の全産業(金融業、保険業を除く、以下同じ)の経常利益は前年比▲46.6%と5四半期連続で減少し、減少幅は1-3月期の同▲28.4%から大きく拡大した。非製造業は前年比▲45.5%(1-3月期:同▲29.6%)と2四半期連続の減少、製造業は前年比▲48.7%(1-3月期:同▲25.3%)と8四半期連続で減少した。
売上高経常利益率の要因分解(製造業)/売上高経常利益率の要因分解(非製造業)
製造業は、海外のロックダウンに伴う輸出の急減などから、売上高が前年比▲20.0%(1-3月期:同▲5.5%)と大きく落ち込む中、売上高経常利益率が19年4-6月期の7.7%から4.9%へと大幅に悪化したことが収益の押し下げ要因となった。

非製造業は、緊急事態宣言による外出自粛、店舗休業の影響で売上高が前年比▲16.8%(1-3月期:同▲8.3%)の大幅減少となったことに加え、売上高経常利益率が19年4-6月期の6.3%から4.1%へと悪化した。製造業、非製造業ともに人件費要因が利益率を大きく押し下げた。人件費は減少(製造業:前年比▲6.3%、非製造業:同▲7.7%)したものの、売上高の減少幅が極めて大きかったことから、売上高人件比率が大きく上昇した。

2.経常利益(季節調整値)の水準はピーク時の半分以下に

経常利益の内訳を業種別に見ると、ほとんどの業種が減益となったが、新型コロナウィルスの影響を強く受けた宿泊業(▲3,800億円)、飲食サービス業(▲4,228億円)は1-3月期に続き赤字となった。

季節調整済の経常利益は前期比▲29.7%(1-3月期:同▲16.4%)と5四半期連続で減少し、減少ペースが加速した。製造業が前期比▲34.8%(1-3月期:同▲12.4%)、非製造業は前期比▲27.3%(1-3月期:同▲18.1%)となった。
経常利益(季節調整値)の推移 企業収益は消費税率引き上げの影響が残る中、新型コロナウィルス感染拡大の影響が加わったことで急速に悪化した。経常利益(季節調整値)は10.8兆円となり、過去最高となった18年4-6月期の24.3兆円の半分以下の水準まで落ち込んだ。緊急事態宣言の解除を受けた経済活動の再開に伴い、7-9月期には持ち直すことが見込まれるが、経済活動の水準がコロナ前に戻るまでには時間を要するため、そのペースは緩やかにとどまる可能性が高い。

3.設備投資の回復基調は途切れる

設備投資(ソフトウェアを含む)は前年比▲11.3%(1-3月期:同0.1%)と2四半期ぶりに減少した。製造業(1-3月期:前年比▲5.3%→4-6月期:同▲9.7%)は3四半期連続の減少、非製造業(1-3月期:前年比2.9%→4-6月期:同▲12.1%)は2四半期ぶりの減少となった。
設備投資(ソフトウェアを含む)の推移 企業収益が19年度中から悪化を続ける中でも、設備投資は一定の底堅さを維持していたが、この背景には企業収益の増加に伴う潤沢なキャッシフローがあった。企業収益の急激な悪化によってキャッシュフローの水準が大きく下がったことにより、設備投資の回復基調は完全に途切れてしまった。企業収益は徐々に持ち直すことが見込まれるが、設備投資は企業収益に遅れて動く傾向があるため、当面は低迷が続く可能性が高い。

4.4-6月期・GDP2次速報は下方修正を予想

本日の法人企業統計の結果等を受けて、9/8公表予定の20年4-6月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比▲8.1%(前期比年率▲28.8%)となり、1次速報の前期比▲7.8%(前期比年率▲27.8%)から下方修正されると予測する。
2020年4-6月期GDP2次速報の予測 設備投資は前期比▲1.5%から同▲4.0%へと下方修正されるだろう。設備投資の需要側推計に用いられる法人企業統計の設備投資(ソフトウェアを除く)は前年比▲10.4%となり、1-3月期の同▲1.4%から減少幅が拡大した。法人企業統計ではサンプル替えや四半期毎の回答企業の差によって断層が生じるが、当研究所でこの影響を調整したところ前年比▲7%台の減少となった。また、金融保険業の設備投資(ソフトウェアを除く)は前年比15.9%(1-3月期:同4.6%)と3四半期連続で増加した。1次速報段階では、設備投資の需要側推計値は前年比2.8%となっており、本日の法人企業統計の結果は設備投資の下方修正要因と考えられる。

また、民間在庫変動は1次速報で仮置きとなっていた原材料在庫、仕掛品在庫に法人企業統計の結果が反映されるが、1次速報の前期比・寄与度▲0.0%から変わらないだろう。

その他の需要項目では、民間消費は6月のサービス産業動向調査の結果などが反映され、前期比▲8.2%から同▲8.0%へ上方修正されると予想する。
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2020年09月01日「経済・金融フラッシュ」)

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