2020年09月18日

消費者物価(全国20年8月)-コアCPI上昇率は10月以降、▲1%程度のマイナスに

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.コアCPI上昇率は3ヵ月ぶりのマイナス

消費者物価指数の推移 総務省が9月18日に公表した消費者物価指数によると、20年8月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.4%(7月:同0.0%)と3ヵ月ぶりの下落となった。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.4%、当社予想は▲0.3%)通りの結果であった。

「Go To トラベル事業」の開始によって、宿泊料が7月の前年比▲4.5%から同▲32.0%へと下落幅が急拡大したことがコアCPIを大きく押し下げた。総務省によれば、「Go To トラベル」の影響による宿泊料の下落率は前年比▲24.9%で、これだけでコアCPI上昇率は▲0.4%程度押し下げられた。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比▲0.1%(7月:同0.4%)と3年5ヵ月ぶりのマイナスとなったが、生鮮食品が前年比13.6%と高い伸びを続けたため、総合は前年比0.2%(7月:同0.3%)と16年10月からプラスを維持している。
消費者物価指数(生鮮食品除く、全国)の要因分解 コアCPIの内訳をみると、電気代(7月:前年比▲2.0%→8月:同▲2.5%)は下落幅が拡大したが、ガス代(7月:前年比▲0.7%→8月:同0.0%)、ガソリン(7月:前年比▲9.2%→8月:同▲6.3%)、灯油(7月:前年比▲15.3%→8月:同▲10.9%)の下落幅が縮小したことから、エネルギー価格の下落率は7月の前年比▲4.5%から同▲3.5%へと縮小した。

一方、食料(生鮮食品を除く)は前年比0.9%となり、7月の同1.0%から伸びが鈍化した。食料(生鮮食品を除く)は20年1月の前年比1.9%をピークに伸び率の低下傾向が続いている。内食需要の高まりから高めの伸びが続いていた菓子類が5月の前年比3.0%から8月は同1.2%まで伸びが低下している。
 
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.44%(7月:▲0.51%)、食料(生鮮食品を除く)が0.09%(7月:0.11%)、その他が▲0.38%(7月:0.07%)であった(当研究所試算による消費税、教育無償化の影響を除くベース)。

2.上昇品目数の減少が続く

消費者物価(除く生鮮食品)の「上昇品目数(割合)-下落品目数(割合)」 消費者物価指数の調査対象523品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると(消費税率引き上げの影響を除いている)、8月の上昇品目数は248品目(7月は254品目)、下落品目数は221品目(7月は216品目)となり、上昇品目数が前月から減少した。上昇品目数の割合は47.4%(7月は48.6%)、下落品目数の割合は42.3%(7月は41.3%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は5.2%(7月は7.3%)であった。

上昇品目数の割合は20年7月に50%を割り込んだ後、8月はさらに低下した。当面、物価下落圧力の強い状態が続くため、先行きは下落品目数が上昇品目数を上回る可能性もあるだろう。

3.コアCPI上昇率は10月以降、▲1%程度のマイナスに

コアCPI上昇率は、「Go To トラベル事業」の開始に伴う宿泊料の大幅下落を主因として3ヵ月ぶりのマイナスとなった。8月の下落は制度変更による影響が大きいが、緊急事態宣言後に売上がほぼ消失した旅行関連(宿泊料、外国パック旅行費)はこれまで需要の弱さに見合った価格がついていなかったとの見方も可能だろう。

個人消費は緊急事態宣言解除後の6月にはペントアップ需要の顕在化や特別定額給付金の効果から急回復したが、7月には天候不順や新型コロナウィルス陽性者数の再拡大の影響もあって早くも足踏み状態となった。定額給付金の支給はほぼ終了しており、今後は雇用所得環境の悪化が家計の可処分所得の減少に直結する形となるため、先行きの個人消費の持ち直しは緩やかにとどまることが見込まれる。

コアCPI上昇率は、需給面からの押し下げ圧力が強い中で、10月以降は消費税率引き上げ(+幼児教育無償化)の影響が一巡することから、マイナス幅が▲1%程度まで拡大することが予想される。
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2020年09月18日「経済・金融フラッシュ」)

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