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- 鉱工業生産20年8月-生産は着実に回復するが、コロナ前より▲10%以上低い水準にとどまる
2020年09月30日
1.生産は着実に回復するが、コロナ前よりも▲10%以上低い水準にとどまる
経済産業省が9月30日に公表した鉱工業指数によると、20年8月の鉱工業生産指数は前月比1.7%(7月:同8.7%)と3ヵ月連続で上昇し、ほぼ事前の市場予想(QUICK集計:前月比1.5%、当社予想は同2.2%)通りの結果となった。出荷指数は前月比2.1%と3ヵ月連続の上昇、在庫指数は前月比▲1.4%と5ヵ月連続の低下となった。
鉱工業生産は6~8月の3ヵ月で12.7%の高い伸びとなり、2~5月の落ち込み(累計で▲21.1%)の半分弱を取り戻したが、コロナ前の1月と比べると▲10%以上低い水準にとどまっている。
鉱工業生産は6~8月の3ヵ月で12.7%の高い伸びとなり、2~5月の落ち込み(累計で▲21.1%)の半分弱を取り戻したが、コロナ前の1月と比べると▲10%以上低い水準にとどまっている。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は20年4-6月期の前期比▲8.4%の後、7月が前月比▲1.0%、8月が同▲8.7%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は20年4-6月期の前期比▲7.0%の後、7月が前月比0.9%、8月が同0.3%となった。20年7、8月の平均を4-6月期と比較すると、建設財は0.7%高いが、資本財(除く輸送機械)は▲4.3%低い。
GDP統計の設備投資は20年4-6月期に前期比▲4.7%と2四半期ぶりに減少した。景気はすでに底打ちしているが、企業収益の悪化や景気の先行き不透明感の高まりを背景に設備投資は7-9月期も減少する可能性が高い。
消費財出荷指数は20年4-6月期の前期比▲15.4%の後、7月が前月比10.1%、8月が同1.3%となった。8月は耐久消費財が前月比5.6%(7月:同24.7%)、非耐久消費財が前月比▲1.4%(7月:同2.6%)となった。
消費関連指標は、緊急事態宣言が5月下旬に解除されたことを受けて6月には明確に持ち直したが、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて再び自粛の動きが強まったことなどから、7、8月とやや足踏み状態となっている。ただし、4-6月期の水準が極めて低いため、消費財出荷指数の7、8月の平均は4-6月期を12.6%上回っている。
GDP統計の民間消費は、20年4-6月期の前期比▲7.9%の後、7-9月期ははっきりとした増加に転じることが予想される(現時点では前期比4.9%を予想)。
消費財出荷指数は20年4-6月期の前期比▲15.4%の後、7月が前月比10.1%、8月が同1.3%となった。8月は耐久消費財が前月比5.6%(7月:同24.7%)、非耐久消費財が前月比▲1.4%(7月:同2.6%)となった。
消費関連指標は、緊急事態宣言が5月下旬に解除されたことを受けて6月には明確に持ち直したが、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて再び自粛の動きが強まったことなどから、7、8月とやや足踏み状態となっている。ただし、4-6月期の水準が極めて低いため、消費財出荷指数の7、8月の平均は4-6月期を12.6%上回っている。
GDP統計の民間消費は、20年4-6月期の前期比▲7.9%の後、7-9月期ははっきりとした増加に転じることが予想される(現時点では前期比4.9%を予想)。
2.7-9月期は大幅増産だが、回復ペースは鈍い
20年8月の生産指数を9月の予測指数で先延ばしすると、20年7-9月期の生産は前期比9.9%(4-6月期:同▲16.9%)となる。国内外の経済活動の再開を背景に2四半期ぶりの増産となることが確実だが、9月の生産計画が実現したとしても7-9月期の増産幅は4-6月期の減産幅の5割弱にとどまり、急激な落ち込みの後としては回復ペースが鈍い。
世界的に新型コロナウィルス感染症の収束が見えない中で、国内外ともに経済活動の水準が元に戻るまでには時間を要する公算が大きい。先行きについても、生産の回復ペースは急激な落ち込みの後としては緩やかなものにとどまることが予想される。
世界的に新型コロナウィルス感染症の収束が見えない中で、国内外ともに経済活動の水準が元に戻るまでには時間を要する公算が大きい。先行きについても、生産の回復ペースは急激な落ち込みの後としては緩やかなものにとどまることが予想される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年09月30日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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