2020年10月23日

消費者物価(全国20年9月)-コアCPI上昇率は年末にかけて▲1%程度のマイナスに

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.コアCPI上昇率は2ヵ月連続のマイナス

消費者物価指数の推移 総務省が10月23日に公表した消費者物価指数によると、20年9月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.3%(8月:同▲0.4%)となり、下落率は前月から0.1ポイント縮小した。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.4%、当社予想は▲0.3%)を上回る結果であった。

「Go To トラベル事業」による宿泊料の低下が引き続き物価を大きく押し下げたが、下押し効果は8 月に比べるとやや弱まった。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比0.0%(8月:同▲0.1%)、総合は前年比0.0%(8月:同0.2%)であった。
コアCPIの内訳をみると、電気代(8月:前年比▲2.5%→9月:同▲3.4%)は下落幅が拡大したが、ガス代(8月:前年比0.0%→9月:同0.2%)の上昇率が高まり、ガソリン(8月:前年比▲6.3%→9月:同▲4.9%)、灯油(8月:前年比▲10.9%→9月:同▲10.8%)の下落幅が縮小したことから、エネルギー価格の下落率は前年比▲3.5%となり、前月と変わらなかった。
消費者物価指数(生鮮食品除く、全国)の要因分解 食料(生鮮食品を除く)は前年比0.8%となり、8月の同0.9%から伸びが鈍化した。食料(生鮮食品を除く)は20年1月の前年比1.9%をピークに伸び率の低下傾向が続いている。内食需要の高まりから高めの伸びとなっていた菓子類が5月の前年比3.0%から9月には同1.0%まで伸びが低下している。また、コロナ前は人件費上昇の影響などから高めの伸びが続いていた一般外食が、緊急事態宣言解除後も需要の低迷が続いていることを受けて、2月の前年比3.3%から同2.8%まで伸びが鈍化した。一方、テレワーク、巣ごもり需要の高まりを反映し、デスクトップパソコン(前年比11.7%)、プリンタ(同102.2%)などの教養娯楽用耐久財は2月の前年比1.2%から9月には同4.3%まで伸びを高めている。
 
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.43%(8月:▲0.44%)、食料(生鮮食品を除く)が0.07%(8月:0.09%)、その他が▲0.26%(8月:▲0.38%)であった(当研究所試算による消費税、教育無償化の影響を除くベース)。

2.上昇品目数の割合は引き続き50%を下回る

消費者物価(除く生鮮食品)の「上昇品目数(割合)-下落品目数(割合)」 消費者物価指数の調査対象523品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると(消費税率引き上げの影響を除いている)、9月の上昇品目数は260品目(8月は248品目)、下落品目数は203品目(8月は221品目)となり、上昇品目数が前月から増加した。上昇品目数の割合は49.7%(8月は47.4%)、下落品目数の割合は38.8%(8月は42.3%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は10.9%(8月は5.2%)であった。

上昇品目数は4ヵ月ぶりに前月から増加したが、その割合は20年7月から3ヵ月連続で50%を下回っている。当面、物価下落圧力の強い状態が続くため、先行きは下落品目数が上昇品目数を上回る可能性もあるだろう。

3.コアCPI上昇率は年末にかけて▲1%程度のマイナスに

コアCPI上昇率は2ヵ月連続でマイナスとなった。個人消費は緊急事態宣言解除後の6月にはペントアップ需要の顕在化や特別定額給付金の効果から急回復したが、7月以降は新型コロナウィルス陽性者数の再拡大の影響もあってサービスを中心に持ち直しのペースは鈍っている。定額給付金の支給はほぼ終了しており、今後は雇用所得環境の悪化が家計の可処分所得の減少に直結する形となるため、個人消費の持ち直しは先行きも緩やかにとどまることが見込まれる。

コアCPI上昇率は、需給面からの押し下げ圧力が強い中で、消費税率引き上げと幼児教育無償化の影響一巡により、10月が▲0.2ポイント、11月以降は▲0.4ポイント程度押し下げられるため、年末にかけてマイナス幅が▲1%程度まで拡大することが予想される。
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2020年10月23日「経済・金融フラッシュ」)

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