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- 鉱工業生産20年10月-生産水準はコロナ前の95%まで回復
2020年11月30日
1.生産水準はコロナ前の95%まで回復
経済産業省が11月30日に公表した鉱工業指数によると、20年10月の鉱工業生産指数は前月比3.8%(9月:同3.9%)と5ヵ月連続で上昇し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比2.2%、当社予想は同3.0%)を上回る結果となった。出荷指数は前月比4.6%と5ヵ月連続の上昇、在庫指数は前月比▲1.6%と7ヵ月連続の低下となった。
鉱工業生産は6~10月の5ヵ月で20.7%の高い伸びとなり、2~5月の落ち込み(累計で▲21.1%)の8割弱を取り戻した。コロナ前の20年1月と比べた生産の水準は95%まで回復している。ただし、直近のピーク(18年10月)と比べると▲10%低い水準にとどまっている。
鉱工業生産は6~10月の5ヵ月で20.7%の高い伸びとなり、2~5月の落ち込み(累計で▲21.1%)の8割弱を取り戻した。コロナ前の20年1月と比べた生産の水準は95%まで回復している。ただし、直近のピーク(18年10月)と比べると▲10%低い水準にとどまっている。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は20年7-9月期の前期比▲4.6%の後、10月は前月比13.4%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は20年7-9月期の前期比▲0.1%の後、10月は前月比6.5%となった。20年10月の水準を7-9月期と比較すると、資本財(除く輸送機械)は12.1%、建設財は5.2%高いが、輸出向けの出荷によって大きく押し上げられており、必ずしも国内の設備投資の動きを反映していないことには注意が必要だ。
GDP統計の設備投資は20年4-6月期の前期比▲4.5%に続き、7-9月期も同▲3.4%と2四半期連続で減少した。景気はすでに後退局面を脱しているとみられるが、企業収益の悪化や景気の先行き不透明感の高まりを背景に設備投資の底入れは遅れている。現時点では、20年10-12月期の設備投資は3四半期ぶりの増加を予想しているが、大幅な落ち込みの後としては低い伸びにとどまる可能性が高いだろう。
消費財出荷指数は20年7-9月期の前期比13.8%の後、10月は前月比1.5%となった。非耐久消費財は前月比▲3.2%(7-9月期:前期比1.5%)と低下したが、耐久財が前月比10.7%(7-9月期:前期比47.8%)と2ヵ月連続で二桁の高い伸びとなった。
GDP統計の民間消費は、20年4-6月期の前期比▲8.1%の後、7-9月期は同4.7%となった。足もとの消費関連指標を確認すると、10月まではGo To キャンペーン事業による後押しもあって持ち直しを続けてきたが、新型コロナウイルス陽性者数増加を受けたGo To キャンペーン事業の一時停止、飲食店の営業時間短縮要請の影響から、11月以降はサービスを中心に弱い動きとなる可能性が高い。10-12月期の民間消費は増加を確保するものの、7-9月期からは伸びが大きく低下することが予想される。
GDP統計の設備投資は20年4-6月期の前期比▲4.5%に続き、7-9月期も同▲3.4%と2四半期連続で減少した。景気はすでに後退局面を脱しているとみられるが、企業収益の悪化や景気の先行き不透明感の高まりを背景に設備投資の底入れは遅れている。現時点では、20年10-12月期の設備投資は3四半期ぶりの増加を予想しているが、大幅な落ち込みの後としては低い伸びにとどまる可能性が高いだろう。
消費財出荷指数は20年7-9月期の前期比13.8%の後、10月は前月比1.5%となった。非耐久消費財は前月比▲3.2%(7-9月期:前期比1.5%)と低下したが、耐久財が前月比10.7%(7-9月期:前期比47.8%)と2ヵ月連続で二桁の高い伸びとなった。
GDP統計の民間消費は、20年4-6月期の前期比▲8.1%の後、7-9月期は同4.7%となった。足もとの消費関連指標を確認すると、10月まではGo To キャンペーン事業による後押しもあって持ち直しを続けてきたが、新型コロナウイルス陽性者数増加を受けたGo To キャンペーン事業の一時停止、飲食店の営業時間短縮要請の影響から、11月以降はサービスを中心に弱い動きとなる可能性が高い。10-12月期の民間消費は増加を確保するものの、7-9月期からは伸びが大きく低下することが予想される。
2.先行きは増産ペースが鈍化する見込み
製造工業生産予測指数は、20年11月が前月比2.7%、12月が同▲2.4%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(10月)、予測修正率(11月)はそれぞれ▲1.5%、▲0.1%であった。
予測指数を業種別にみると、6~10月に大幅増産となった輸送機械は、11月が前月比▲3.9%、12月が同▲2.5%と2ヵ月連続の減産計画となっている。輸送機械のうち、自動車は高い伸びを続けているが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う航空需要急減の影響で、航空機関連部品が大きく落ち込んでおり、輸送機械の生産計画を大きく押し下げている可能性がある。自動車はすでにコロナ前の水準を回復したが、航空機等を含む輸送機械全体はコロナ前の水準に届く前に足踏み状態となる可能性が高まった。
20年10月の生産指数を11、12月の予測指数で先延ばしすると、20年10-12月期の生産は前期比7.9%となる。2四半期連続の増産は確実だが、生産実績が計画を下回る傾向があることを考慮すれば、経済活動の再開を受けて急回復した7-9月期の前期比8.7%からは伸びが大きく低下する公算が大きい。世界的に新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中で、国内外ともに経済活動の水準が元に戻るまでには時間を要することが見込まれる。輸出の好調を背景に生産は順調に回復してきたが、先行きはそのペースが鈍化する可能性が高い。
20年10月の生産指数を11、12月の予測指数で先延ばしすると、20年10-12月期の生産は前期比7.9%となる。2四半期連続の増産は確実だが、生産実績が計画を下回る傾向があることを考慮すれば、経済活動の再開を受けて急回復した7-9月期の前期比8.7%からは伸びが大きく低下する公算が大きい。世界的に新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中で、国内外ともに経済活動の水準が元に戻るまでには時間を要することが見込まれる。輸出の好調を背景に生産は順調に回復してきたが、先行きはそのペースが鈍化する可能性が高い。
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
(2020年11月30日「経済・金融フラッシュ」)
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