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- 雇用関連統計20年12月-雇用情勢の厳しさは和らぐが、先行きは再び悪化へ
2021年01月29日
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1.失業率は前月と変わらず
雇用者数(役員を除く)は前年に比べ▲72万人減と9ヵ月連続で減少し、11月の同▲41万人から減少幅が拡大した。雇用形態別にみると、非正規の職員・従業員数は前年差▲86万人減と10ヵ月連続で減少し、11月の同▲62万人減から減少幅が拡大したが、7月の同▲131万人減に比べると減少ペースが緩やかとなっている。一方、正規の職員・従業員数が前年差16万人増(11月:21万人増)と増加を維持しているが、均してみれば増加ペースが鈍化している。非正規が中心となっていた雇用調整が今後正規に広がる可能性がある。
2.休業から失業への移行は限定的


景気はすでに底打ちしているものの、もともと失業率は景気の遅行指標であるうえ、雇用調整助成金の拡充を背景とした企業内の雇用保蔵が将来の雇用創出を妨げ、雇用情勢の改善を遅らせる可能性がある。先行きの失業率は再び上昇すると予想しているが、最悪期を脱した後も、改善ペースは緩やかなものにとどまる可能性が高いだろう。
3.有効求人倍率は前月と変わらず

有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.05ポイント上昇の2.07倍となった。新規求人数は前月比▲0.5%と2ヵ月ぶりに減少したが、新規求職申込件数が同▲3.0%とそれを上回る減少となったことが求人倍率の押し上げ要因となった。
経済活動の持ち直しを受けて雇用情勢の悪化には歯止めがかかりつつある。ただし、経済活動の水準は引き続きコロナ前を大きく下回っており、先行きについては新型コロナウイルス陽性者数の増加を受けた緊急事態宣言再発令の影響で景気が再び落ち込むことは不可避と考えられる。雇用情勢はサービス業を中心に再び悪化する可能性が高いだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年01月29日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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