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- 雇用関連統計20年12月-雇用情勢の厳しさは和らぐが、先行きは再び悪化へ
2021年01月29日
1.失業率は前月と変わらず
雇用者数(役員を除く)は前年に比べ▲72万人減と9ヵ月連続で減少し、11月の同▲41万人から減少幅が拡大した。雇用形態別にみると、非正規の職員・従業員数は前年差▲86万人減と10ヵ月連続で減少し、11月の同▲62万人減から減少幅が拡大したが、7月の同▲131万人減に比べると減少ペースが緩やかとなっている。一方、正規の職員・従業員数が前年差16万人増(11月:21万人増)と増加を維持しているが、均してみれば増加ペースが鈍化している。非正規が中心となっていた雇用調整が今後正規に広がる可能性がある。
2.休業から失業への移行は限定的
緊急事態宣言が発令された20年4月に597万人(前年差420万人増)と過去最多となった休業者数は5月以降に大きく減少し、9月から11月まで200万人割れの水準となったが、12月は202万人へと増加した。ただし、12月は例年休業者数が多い月であり、前年差では16万人増と11月の15万人増からほぼ変わっていない。前月の休業者が当月にどの就業状態に移行したかを確認すると、休業者にとどまる者の割合が56.7%、従業者への移行が32.3%、失業者への移行が2.6%、非労働力人口への移行が8.4%(いずれも2020年5~12月の平均)となっている。休業状態から失業する人の割合は低く、現時点では、雇用調整助成金の拡充が失業者の増加に歯止めをかける役割を果たしていると評価できる。
ただし、経済活動の水準が元に戻らない中で無理に雇用を維持し続けることは、新規雇用、特に新卒採用の抑制につながる恐れがある。実際、日銀短観20年12月調査では、11年度から増加が続いていた新卒採用計画が20年度に前年比▲2.6%と10年ぶりの減少となった後、21年度は同▲6.1%と減少幅が拡大した。
景気はすでに底打ちしているものの、もともと失業率は景気の遅行指標であるうえ、雇用調整助成金の拡充を背景とした企業内の雇用保蔵が将来の雇用創出を妨げ、雇用情勢の改善を遅らせる可能性がある。先行きの失業率は再び上昇すると予想しているが、最悪期を脱した後も、改善ペースは緩やかなものにとどまる可能性が高いだろう。
景気はすでに底打ちしているものの、もともと失業率は景気の遅行指標であるうえ、雇用調整助成金の拡充を背景とした企業内の雇用保蔵が将来の雇用創出を妨げ、雇用情勢の改善を遅らせる可能性がある。先行きの失業率は再び上昇すると予想しているが、最悪期を脱した後も、改善ペースは緩やかなものにとどまる可能性が高いだろう。
3.有効求人倍率は前月と変わらず
厚生労働省が1月29日に公表した一般職業紹介状況によると、20年12月の有効求人倍率は前月から横ばいの1.06倍(QUICK集計・事前予想:1.06倍、当社予想も1.06倍)となった。有効求人数(前月比▲0.1%)、有効求職者数(同▲0.7%)ともに前月からほぼ横ばいだった。
有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.05ポイント上昇の2.07倍となった。新規求人数は前月比▲0.5%と2ヵ月ぶりに減少したが、新規求職申込件数が同▲3.0%とそれを上回る減少となったことが求人倍率の押し上げ要因となった。
経済活動の持ち直しを受けて雇用情勢の悪化には歯止めがかかりつつある。ただし、経済活動の水準は引き続きコロナ前を大きく下回っており、先行きについては新型コロナウイルス陽性者数の増加を受けた緊急事態宣言再発令の影響で景気が再び落ち込むことは不可避と考えられる。雇用情勢はサービス業を中心に再び悪化する可能性が高いだろう。
有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.05ポイント上昇の2.07倍となった。新規求人数は前月比▲0.5%と2ヵ月ぶりに減少したが、新規求職申込件数が同▲3.0%とそれを上回る減少となったことが求人倍率の押し上げ要因となった。
経済活動の持ち直しを受けて雇用情勢の悪化には歯止めがかかりつつある。ただし、経済活動の水準は引き続きコロナ前を大きく下回っており、先行きについては新型コロナウイルス陽性者数の増加を受けた緊急事態宣言再発令の影響で景気が再び落ち込むことは不可避と考えられる。雇用情勢はサービス業を中心に再び悪化する可能性が高いだろう。
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
(2021年01月29日「経済・金融フラッシュ」)
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