2021年01月22日

消費者物価(全国20年12月)-コアCPI上昇率は約10年ぶりの下落率も、「Go To トラベル」の停止が続けば、21年度入り後にほぼゼロ%へ

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.コアCPI上昇率は約10年ぶりに▲1%台のマイナス

消費者物価指数の推移 総務省が1月22日に公表した消費者物価指数によると、20年12月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲1.0%(11月:同▲0.9%)となり、下落率は前月から0.1ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:▲1.1%、当社予想も▲1.1%)を上回る結果であった。

コアCPI上昇率が▲1%台のマイナスとなるのは、10年9月以来、10年3ヵ月ぶりである。生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比▲0.4%(11月:同▲0.3%)、総合は前年比▲1.2%(11月:同▲0.9%)であった。
コアCPIの内訳をみると、ガソリン(11月:前年比▲9.4%→12月:同▲8.9%)の下落幅は縮小したが、電気代(11月:前年比▲7.3%→12月:同▲7.9%)、ガス代(11月:前年比▲4.5%→12月:同▲6.1%)、灯油(11月:前年比▲13.9%→12月:同▲14.4%)の下落幅が拡大したため、エネルギー価格の下落率は11月の前年比▲7.6%から同▲8.1%へと拡大した。
消費者物価指数(生鮮食品除く、全国)の要因分解 食料(生鮮食品を除く)は前年比▲0.1%(11月:同▲0.1%)と2ヵ月連続の下落となった。外食需要の低迷を反映し、一般外食が11月の前年比0.4%から同0.3%へと伸びが鈍化した。

また、被服及び履物が11月の前年比0.4%から同0.1%へと伸びが鈍化した。外出自粛による需要低迷が下押し要因になっているとみられる。

一方、巣ごもり需要の高まりを受けて高めの伸びが続いている家庭用耐久財(電子レンジ、ルームエアコン、空気清浄機など)は11月の前年比2.1%から同3.2%へと伸びをさらに高めた。
 
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.67%(11月:▲0.63%)、食料(生鮮食品を除く)が▲0.02%(11月:▲0.00%)、その他が▲0.31%(11月:▲0.31%)であった。

2.上昇品目数が大きく減少

消費者物価指数の調査対象523品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、12月の上昇品目数は242品目(11月は257品目)、下落品目数は220品目(11月は201品目)となり、上昇品目数が前月から減少した。上昇品目数の割合は46.3%(11月は49.1%)、下落品目数の割合は42.1%(11月は38.4%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は4.2%(11月は10.7%)であった。
消費者物価(除く生鮮食品)の「上昇品目数(割合)-下落品目数(割合)」 12月は食料(生鮮食品を除く)で上昇から下落に転じる品目が目立った。

上昇品目数の割合は20年7月から3ヵ月連続で50%を下回った後、10月にはいったん50%を上回ったが、11、12月と再び50%を下回った。当面、物価下落圧力の強い状態が続くため、先行きは下落品目数が上昇品目数を上回る可能性もあるだろう。

3.「Go To トラベル」の停止が続けば、コアCPI上昇率は21年度入り後にゼロ近傍へ

12月のコアCPI上昇率は10年9月以来、10年3ヵ月ぶりに▲1%台のマイナスとなった。持ち直しの動きが続いていた個人消費だが、「Go To トラベル事業」の一時停止、緊急事態宣言の再発令を受けて、外食、旅行などを中心に足もとでは再び弱い動きになっているとみられる。需給面からの下押し圧力は当面強い状態が続くだろう。

一方、「Go Toトラベル事業」の一時停止によって宿泊料の下落幅が大きく縮小することから、21年1月以降のコアCPI上昇率は0.4ポイント程度押し上げられる。また、足もとの原油価格上昇を受けて、エネルギー価格の下落率は21年1月をピークに縮小に向かう可能性が高い。「Go To トラベル」の停止が継続すれば、コアCPI上昇率は21年度入り後にほぼゼロ%となることが予想される。
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2021年01月22日「経済・金融フラッシュ」)

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