2020年12月28日

鉱工業生産20年11月-生産はコロナ前の水準を目前に足踏み

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

日本経済 鉱工業生産指数│日本 などの記事に関心のあるあなたへ

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1.11月の生産は横ばい

経済産業省が12月28日に公表した鉱工業指数によると、20年11月の鉱工業生産指数は前月比0.0%(10月:同4.0%)の横ばいとなり、事前の市場予想(QUICK集計:前月比1.2%、当社予想も同1.2%)を下回る結果となった。出荷指数は前月比▲0.9%と6ヵ月ぶりの低下、在庫指数は前月比▲1.1%と8ヵ月連続の低下となった。
鉱工業生産・出荷・在庫指数の推移 鉱工業生産は20年6月から5ヵ月連続で上昇し、その間の上昇率は20%を超え、コロナ前(20年1月)の95%の水準まで回復した。しかし、挽回生産が一巡したことなどから、コロナ前の水準に戻る前に足踏みとなった。

11月の生産を業種別にみると、海外の設備投資持ち直しを背景とした輸出の増加を反映し、生産用機械(前月比6.5%)、汎用・業務用機械(同4.8%)は高めの伸びとなったが、生産の牽引役となってきた自動車が前月比▲4.7%と6ヵ月ぶりに低下し、生産全体を押し下げた。
財別の出荷動向 財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は20年7-9月期の前期比▲4.6%の後、10月が前月比13.4%、11月が同2.6%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は20年7-9月期の前期比▲0.1%の後、10月が前月比6.4%、11月が同▲3.4%となった。20年10、11月の平均を7-9月期と比較すると、資本財(除く輸送機械)は13.6%、建設財は3.3%高い。輸出向け出荷の好調によって大きく押し上げられており、必ずしも国内の設備投資の動きを反映していないことには注意が必要だが、国内向けについても持ち直していることは確かだろう。

GDP統計の設備投資は20年4-6月期の前期比▲5.7%に続き、7-9月期も同▲2.4%と2四半期連続で減少した。景気はすでに後退局面を脱しているとみられるが、企業収益の悪化や景気の先行き不透明感の高まりを背景に設備投資の底入れは遅れている。現時点では、20年10-12月期の設備投資は3四半期ぶりの増加を予想しているが、大幅な落ち込みの後としては低い伸びにとどまる可能性が高いだろう。

消費財出荷指数は20年7-9月期の前期比13.8%の後、10月が前月比2.1%、11月が同▲3.2%となった。11月は耐久消費財(前月比▲6.3%)、非耐久消費財(同▲1.8%)ともに低下した。

GDP統計の民間消費は、20年4-6月期の前期比▲8.3%の後、7-9月期は同5.1%となった。足もとの消費関連指標を確認すると、Go To キャンペーン事業による後押しもあって持ち直しを続けてきたが、新型コロナウイルス陽性者数増加を受けたGo To キャンペーン事業の一時停止、飲食店の営業時間短縮要請の影響から、先行きはサービスを中心に弱い動きとなる可能性が高い。10-12月期の民間消費は増加を確保するものの、7-9月期からは伸びが大きく低下することが予想される。

2.先行きはさらなる減速が不可避

製造工業生産予測指数は、20年12月が前月比▲1.1%、21年1月が同7.1%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(11月)、予測修正率(12月)はそれぞれ▲0.6%、0.7%であった。

予測指数を業種別にみると、6~10月の大幅増産の後、11月に前月比▲3.3%と6ヵ月ぶりに落ち込んだ輸送機械は、12月も同▲3.6%と2ヵ月連続の減産計画となっている(21年1月は同4.4%)。挽回生産などから自動車が生産全体を牽引する局面は終了したと判断される。
最近の実現率、予測修正率の推移/輸送機械の生産、在庫動向
20年11月の生産指数を12月の予測指数で先延ばしすると、20年10-12月期の生産は前期比6.7%となる。2四半期連続の増産は確実だが、経済活動の再開を受けて急回復した7-9月期の前期比8.7%からは伸びが低下する公算が大きい。海外では、新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて経済活動を制限する動きが広がっており、好調に推移してきた輸出は減速することが見込まれる。持ち直しを続けてきた国内需要が再び弱い動きとなる可能性が高いことも踏まえると、先行きの生産は一段の減速が避けられないだろう。
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2020年12月28日「経済・金融フラッシュ」)

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