2020年12月16日

貿易統計20年11月-輸出の回復ペースは鈍化へ

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.輸出の減少幅が拡大

財務省が12月16日に公表した貿易統計によると、20年11月の貿易収支は3,668億円の黒字となったが、事前の市場予想(QUICK集計:5,247億円、当社予想は6,752億円)を下回る結果となった。輸出は前年比▲4.2%(10月:同▲0.2%)と減少幅が拡大したが、輸入が前年比▲11.1%(10月:同▲13.3%)と引き続き前年比二桁の減少となったため、貿易収支は前年に比べ4,552億円の改善となった。

輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲4.0%(10月:同▲1.6%)、輸出価格が前年比▲0.2%(10月:同1.5%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲2.4%(10月:同▲5.7%)、輸入価格が前年比▲9.0%(10月:同▲8.0%)であった。
貿易収支の推移/貿易収支(季節調整値)の推移
輸出金額の要因分解/輸入金額の要因分解
季節調整済の貿易収支は5,702億円と5ヵ月連続の黒字となり、10月の3,621億円から黒字幅が拡大した。輸出が前月比▲0.3%と6ヵ月ぶりに減少したが、輸入が同▲4.0%と輸出を上回る減少幅となった。
原油価格(ドバイと入着ベース)の推移 11月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=42.3ドル(当研究所による試算値)となり、10月の44.6ドルから低下した。原油価格(ドバイ)は11月(平均)の40ドル台前半から足もとでは50ドル程度まで上昇している。通関ベースの原油価格は、12月に40ドル台半ばとなった後、21年入り後は50ドル程度まで上昇する可能性が高い。

2.輸出の回復ペースは鈍化へ

20年11月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲2.6%(10月:同0.8%)、EU向けが前年比▲9.8%(10月:同▲10.9%)、アジア向けが前年比▲4.5%(10月:同2.8%)、うち中国向けが前年比11.1%(10月:同15.5%)となった。
地域別輸出数量指数(季節調整値)の推移 20年11月の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前月比▲3.3%(10月:同5.6%)、EU向けが前月比▲1.1%(10月:同12.2%)、アジア向けが前月比▲5.0%(10月:同6.5%)、うち中国向けが前月比▲2.0%(10月:同0.9%)、全体では前月比1.4%(10月:同4.1%)となった。

10月は主要国・地域向けの輸出が全て前月比でマイナスとなったが、20年10、11月の平均を7-9月期と比較すると、米国向けが10.4%、EU向けが16.1%、アジア向けが6.2%、中国向けが3.1%、全体では11.3%高くなっている。現時点では、20年春以降の世界的な経済活動再開を受けた輸出の回復基調は維持されていると考えられる。

ただし、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、欧州では再びロックダウンが相次いでおり、米国でも一部の地域で経済活動が再び制限されている。20年春に比べれば制限は緩やかであるため、輸出が失速する可能性は低いと考えられるが、先行きの回復ペースの鈍化は避けられないだろう。
 
一方、輸入数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、20年10、11月の平均は7-9月期よりも3.7%高い。20年7-9月期のGDP統計では、財貨・サービスの輸出が前期比7.0%の増加となる一方、財貨・サービスの輸入が前期比▲8.8%と大幅に減少したため、外需寄与度が前期比2.7%(年率11.5%)と成長率を大きく押し上げた。10-12月期は輸出が堅調を維持するものの、国内需要の持ち直しや前期の落ち込みの反動から輸入が増加に転じるため、外需のプラス寄与は大きく縮小することが見込まれる。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2020年12月16日「経済・金融フラッシュ」)

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