2020年12月18日

消費者物価(全国20年11月)-コアCPI上昇率は当面▲1%程度で推移

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

日本経済 消費者物価指数(CPI)│日本 などの記事に関心のあるあなたへ

btn-mag-b.png
基礎研 Report Head Lineではそんなあなたにおすすめのメルマガ配信中!
各種レポート配信をメールでお知らせするので読み逃しを防ぎます!

ご登録はこちら

twitter Facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 Pocketで後で読む

文字サイズ

1.コアCPI上昇率のマイナス幅が拡大

消費者物価指数の推移 総務省が12月18日に公表した消費者物価指数によると、20年11月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.9%(10月:同▲0.7%)となり、下落率は前月から0.2ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.9%、当社予想も▲0.9%)通りの結果であった。

消費税率引き上げの影響は20年10月時点でほぼ一巡したが、電気代、ガス代、通信料など一部の品目で新税率の適用が19年11月となっていた。20年11月はこの影響が剥落したことにより、コアCPI上昇率は▲0.1%ポイント程度押し下げられた。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比▲0.3%(10月:同▲0.2%)、総合は前年比▲0.9%(10月:同▲0.4%)であった。
消費者物価指数(生鮮食品除く、全国)の要因分解 コアCPIの内訳をみると、電気代(10月:前年比▲4.7%→11月:同▲7.3%)、ガス代(10月:前年比▲0.9%→11月:同▲4.5%)、ガソリン(10月:前年比▲9.2%→11月:同▲9.4%)、灯油(10月:前年比▲13.6%→11月:同▲13.9%)の下落幅がいずれも拡大したため、エネルギー価格の下落率は10月の前年比▲5.7%から同▲7.6%へと拡大した。このうち、電気代、ガス代は消費税率引き上げの影響一巡によって上昇率が▲1.9%ポイント程度押し下げられているが、この影響を除いても下落率は拡大している。

食料(生鮮食品を除く)は前年比▲0.1%(10月:同0.2%)となり、7年4ヵ月ぶりのマイナスとなった。外食需要の低迷を反映し、一般外食が10月の前年比0.7%から同0.4%へと伸びが鈍化したほか、内食需要の高まりから上昇が続いていた調理食品が前年比▲0.1%(10月:同0.1%)と下落に転じた。

さらに、テレビ、パソコンなどの教養娯楽用耐久財も前年比▲0.9%(10月:同0.1%)と下落に転じており、巣ごもり需要の高まりに伴う物価上昇圧力は一巡しつつある。
 
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.63%(10月:▲0.57%)、食料(生鮮食品を除く)が▲0.00%(10月:0.07%)、その他が▲0.26%(10月:▲0.33%)であった(当研究所試算による消費税、教育無償化の影響を除くベース)。

2.上昇品目数の割合は再び50%を下回る

消費者物価(除く生鮮食品)の「上昇品目数(割合)-下落品目数(割合)」 消費者物価指数の調査対象523品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると(消費税率引き上げの影響を除いている)、11月の上昇品目数は257品目(10月は274品目)、下落品目数は201品目(10月は184品目)となり、上昇品目数が前月から減少した。上昇品目数の割合は49.1%(10月は52.4%)、下落品目数の割合は38.4%(10月は35.2%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は10.7%(10月は17.2%)であった。

上昇品目数の割合は20年7月から3ヵ月連続で50%を下回った後、10月にはいったん50%を上回ったが、11月は再び50%を下回った。当面、物価下落圧力の強い状態が続くため、当面は上昇品目数の減少(下落品目数の増加)傾向が続くだろう。

3.コアCPI上昇率は当面▲1%程度のマイナスが継続

エネルギー価格の下落率は12月も拡大することが見込まれるため、12月のコアCPI上昇率は10年9月以来、約10年ぶりに▲1%台のマイナスとなる可能性が高い。
潜在GDPと需給ギャップの推移 20年7-9月期の実質GDPは前期比年率22.9%の大幅プラス成長となったが、引き続きコロナ前の水準を大きく下回っている。当研究所が推計した需給ギャップは、緊急事態宣言下の2020年4-6月期に▲9.6%(GDP比)とリーマン・ショック後を超えるマイナスとなった後、7-9月期は大幅に改善したが、依然として▲4.6%の大幅マイナスとなっている。

緊急事態宣言の解除を受けて個人消費は持ち直しの動きを続けてきたが、「Go To トラベル事業」の一時停止、飲食店の営業時間短縮要請の影響などから、先行きは対面型サービス消費を中心に弱い動きとなる可能性が高い。需給面からの下押し圧力が強い中で、20年度内は▲1%程度の推移が続くだろう。

一方、足もとの原油価格上昇を受けたエネルギー価格の下落率縮小を主因として21年度入り後はコアCPIの下落率が徐々に縮小することが見込まれる。現時点ではコアCPI上昇率がプラスに転じるのは21年夏場以降と予想している。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
twitter Facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 Pocketで後で読む

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2020年12月18日「経済・金融フラッシュ」)

アクセスランキング

レポート紹介

【消費者物価(全国20年11月)-コアCPI上昇率は当面▲1%程度で推移】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

消費者物価(全国20年11月)-コアCPI上昇率は当面▲1%程度で推移のレポート Topへ