2021年01月21日

貿易統計20年12月-10-12月期の外需寄与度は前期比1.0%(年率3.9%)のプラスに

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.輸出が2年1ヵ月ぶりの増加

財務省が1月21日に公表した貿易統計によると、20年12月の貿易収支は7,510億円の黒字となったが、事前の市場予想(QUICK集計:9,427億円、当社予想は8,276億円)を下回る結果となった。輸出が前年比2.0%(11月:同▲4.2%)と2年1ヵ月ぶりに増加に転じる一方、輸入が前年比▲11.6%(11月:同▲11.1%)と引き続き前年比二桁の減少となったため、貿易収支は前年に比べ9,102億円の改善となった。

輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲0.1%(11月:同▲4.0%)、輸出価格が前年比2.1%(11月:同▲0.2%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲2.1%(11月:同▲2.4%)、輸入価格が前年比▲9.7%(11月:同▲9.0%)であった。
貿易収支の推移/貿易収支(季節調整値)の推移
輸出金額の要因分解/輸入金額の要因分解
季節調整済の貿易収支は4,771億円と6ヵ月連続の黒字となったが、11月の5,495億円から黒字幅が縮小した。輸出が前月比▲0.1%と小幅ながら2ヵ月連続で減少する一方、輸入が前月比1.3%の増加となった。
原油価格(ドバイと入着ベース)の推移 12月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=44.5ドル(当研究所による試算値)となり、11月の42.3ドルから上昇した。原油価格(ドバイ)は12月(平均)の50ドル程度から足もとでは50ドル台半ばまで上昇している。通関ベースの原油価格は、21年入り後は50ドル台半ばから後半で推移することが見込まれる。

2.輸出の回復ペースは鈍化へ

20年12月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲3.4%(11月:同▲2.6%)、EU向けが前年比▲18.4%(11月:同▲9.8%)、アジア向けが前年比5.2%(11月:同▲4.5%)、うち中国向けが前年比15.4%(11月:同11.2%)となった。

20年10-12月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比8.2%(7-9月期:同40.6%)、EU向けが前期比12.5%(7-9月期:同5.6%)、アジア向けが前期比7.6%(7-9月期:同5.1%)、うち中国向けが前期比4.5%(7-9月期:同9.0%)、全体では前期比11.1%(7-9月期:同13.8%)となった。

10-12月期を通してみれば、いずれの国・地域向けも好調を維持したが、月次ベースでは、年末にかけて米国向け、EU向けが弱い動きとなった。新型コロナウイルスの感染拡大を受けたロックダウンや経済活動制限の影響が出始めている可能性がある。20年春に比べれば制限は緩やかであるため、輸出が急激に落ち込む可能性は低いと考えられるが、先行きの回復ペースの鈍化は避けられないだろう。
地域別輸出数量指数(季節調整値)の推移/地域別輸出数量指数(季節調整値)の推移
一方、20年10-12月期の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は前期比4.0%の上昇となったが、7-9月期に同▲5.0%と落ち込んだ後であることを踏まえれば戻りは弱い。

3.10-12月期の外需寄与度は前期比1.0%のプラスに

12月までの貿易統計と11月までの国際収支統計の結果を踏まえて、20年10-12月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比11%程度の増加、輸入が前期比5%程度の増加となった。世界的な経済活動の持ち直しを受けて輸出が高い伸びとなる一方、国内需要の回復ペースの鈍さを反映し輸入が伸び悩んだことから、10-12月期の外需寄与度は前期比1.0%(年率3.9%)のプラスとなることが予想される。7-9月期(前期比2.7%)に比べればプラス幅は縮小するものの、引き続き成長率を大きく押し上げたとみられる。

当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、1/29のweeklyエコノミストレターで20年10-12月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が成長率を大きく押し上げることに加え、民間消費、設備投資などの国内需要も増加することから、前期比年率6%程度のプラス成長を予想している。
 
 

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斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2021年01月21日「経済・金融フラッシュ」)

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