2021年02月02日

現在の景況感は見解分かれる。見通しはやや悲観的に~価格は既にピークとの回答が最多。物流施設やデータセンターの選好が高まる。リスクは国内要因に集まる-第17回不動産市況アンケート結果

金融研究部 主任研究員 吉田 資

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■要旨
 
  • 不動産市況の現状および今後の方向性を把握すべく、不動産分野の実務家・専門家を対象に「不動産市況アンケート」(第17回)を実施した(回答者数121名、回収率;60.2%)。
     
  • 不動産投資市場全体(物件売買、新規開発、ファンド組成)の景況感は、「平常・普通」との回答が約4割、プラスの回答(「良い」と「やや良い」の合計)が3割強、マイナスの回答(「悪い」と「やや悪い」の合計)が2割強となり、プラスの回答が大幅に減少し、「平常・普通」の回答がその分増え、景況感に対する見解が分かれた。
     
  • 6ヵ月後の景況見通しは、悪化との回答(「悪くなる」と「やや悪くなる」の合計)が好転との回答(「良くなる」と「やや良くなる」の合計)を上回り、悲観的な見方がやや強まった。
     
  • 今後、価格上昇や市場拡大が期待できる投資セクター(証券化商品含む)について、「物流施設」との回答が最も多く、次いで「産業関係施設(データセンターなど)」、「賃貸マンション」、「エネルギー関連施設(太陽光発電施設など)」との回答が多かった。前回調査と比較して、「オフィス」、「海外不動産」、「ホテル」への期待が後退した。
     
  • 今後、価格上昇や市場拡大が期待できる投資エリアは、「東京都心5区(千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区)」との回答が最も多く、次いで「東京都区部(都心5区を除く)」、「福岡市」との回答が多かった。
     
  • 不動産投資市場への影響が懸念されるリスク要因について、「新型コロナ拡大」との回答が最も多く、次いで、「国内景気」、「ニューノーマル(デジタル化の進展、人々の行動変容など)」との回答が多かった。
     
  • 東京の不動産価格のピーク時期について、「2020年あるいは現時点(既に価格はピーク」との回答が約3分の2を占めた。


■目次

アンケートの概要
アンケートの結果
  1. 不動産投資市場の景況感
  2. 投資セクター選好
  3. 投資エリア選好(新設問)
  4. 不動産投資市場のリスク要因
  5. 不動産価格のピーク時期
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金融研究部   主任研究員

吉田 資 (よしだ たすく)

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

経歴
  • 【職歴】
     2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
     2018年 ニッセイ基礎研究所

    【加入団体等】
     一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)

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