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現在の景況感は見解分かれる。見通しはやや悲観的に~価格は既にピークとの回答が最多。物流施設やデータセンターの選好が高まる。リスクは国内要因に集まる-第17回不動産市況アンケート結果

金融研究部 主任研究員 吉田 資
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「今後、価格上昇や市場拡大が期待できる投資エリア」について質問したところ、「東京都心5区(千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区)」(54%)との回答が最も多く、次いで「東京都区部(都心5区を除く)」(21%)、「福岡市」(13%)との回答が多かった(図表-6)。
2020年7月に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生基本方針2020」では、新型コロナウィルスの感染拡大を踏まえて、「新たな日常」を支える地域社会を構築し、「東京一極集中」の是正を進めて行く方針が掲げられた。実際に、事業拠点の地域分散や東京からの人口流出の動きが見られるものの、今回調査では東京を挙げる回答が多かった。また、ジョーンズラングラサールの調査によれば、東京の商業用不動産への投資額(2020年1月から9月までの累計)は、約193億ドル(約2兆円)となり、世界の主要都市の中でトップであった。東京は、欧米の主要都市と比較して、新型コロナウィルス感染者が相対的に少なく、コロナ禍による経済的な打撃が小さいこと等が評価され、海外からの投資資金が流入している。
前回調査から回答割合が10%以上増加したリスク要因は、「国内景気」(49%→65%)と「賃貸市況」(10%→23%)であった(図表-8)。
一方、前回調査から回答割合が10%以上減少したリスク要因は「米国政治・外交」(44%→20%)、「中国経済」(40%→6%)、「地政学リスク」(34%→0%)、「欧米経済」(27%→12%)、「自然災害リスク」(23%→9%)であった(図表-8)。
前回調査(2020年1月)では、米国大統領選の行方や、米中対立への懸念等から、「米国政治・外交」や「中国経済」をリスク要因に挙げる回答が4割を超えていた。また、イラン等の中東情勢を巡る「地政学リスク」への懸念が高まるなど、不動産投資市場のリスク要因に海外情勢を指摘する回答が多かった。
また、2019年は、台風15号(9月)や台風19号(10月)をはじめとして、自然災害が多発した年であったことから、不動産投資における「自然災害リスク」が強く認識されていた。
今回調査では、コロナ収束の見通しや今後の国内景気の動向、ニューノーマル(新常態)による不動産賃貸市場への影響など国内要因に関心が高まるなか、相対的に海外情勢や自然災害への懸念が後退したものと思われる。
(ご注意)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。
(2021年02月02日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
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