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- 認知症の人の意思決定(3)-任意代理・任意後見・民事信託
2020年10月08日
■要旨
認知症などにより、判断能力が不十分になる前に事前準備できる制度としては、任意代理、任意後見、民事信託などが考えられる。このような準備を行うことで本人が信頼する人に、金融機関との取引を代行してもらえるなどのメリットがある。
任意代理は、本人と代理人の間で委任契約を締結して代理権を付与するものである。代理人は継続的な代理権によって金融機関と取引を行う。ただし、金融機関によっては取引ごとの本人意向確認をするなど、意思能力が不十分になった後では代理を実質的には認めないところもある。他方、生命保険会社の指定請求代理制度など、任意代理を制度化しているところもある。
任意後見は、任意後見法に基づく契約で、あらかじめ本人と任意後見人となる人の間で契約を締結し、登記を行っておくものである。本人の判断能力が不十分になったときに、任意後見監督人を選任することによって、任意後見が開始する。法定後見と異なり、事前に本人が信頼できる人を後見人にすることができる。任意後見人は本人を代理できるが本人の行為の取消権は持たない。
民事信託は特定の財産を本人から受託者に移転をするもので、受託者は本人のために財産を管理する義務を負うとするものである。手続きは簡易ではあり、また相続対策にも活用できるが、不正防止の機能が弱い。
■目次
1――はじめに
2――任意代理制度
1|任意代理の構造
2|継続的代理制度に金融機関が消極的な理由
3――任意後見制度
1|任意後見制度の構造
2|即効型・将来型・移行型
4――民事信託制度
1|民事信託の構造
2|民事信託のメリット・デメリット
5――おわりに
認知症などにより、判断能力が不十分になる前に事前準備できる制度としては、任意代理、任意後見、民事信託などが考えられる。このような準備を行うことで本人が信頼する人に、金融機関との取引を代行してもらえるなどのメリットがある。
任意代理は、本人と代理人の間で委任契約を締結して代理権を付与するものである。代理人は継続的な代理権によって金融機関と取引を行う。ただし、金融機関によっては取引ごとの本人意向確認をするなど、意思能力が不十分になった後では代理を実質的には認めないところもある。他方、生命保険会社の指定請求代理制度など、任意代理を制度化しているところもある。
任意後見は、任意後見法に基づく契約で、あらかじめ本人と任意後見人となる人の間で契約を締結し、登記を行っておくものである。本人の判断能力が不十分になったときに、任意後見監督人を選任することによって、任意後見が開始する。法定後見と異なり、事前に本人が信頼できる人を後見人にすることができる。任意後見人は本人を代理できるが本人の行為の取消権は持たない。
民事信託は特定の財産を本人から受託者に移転をするもので、受託者は本人のために財産を管理する義務を負うとするものである。手続きは簡易ではあり、また相続対策にも活用できるが、不正防止の機能が弱い。
■目次
1――はじめに
2――任意代理制度
1|任意代理の構造
2|継続的代理制度に金融機関が消極的な理由
3――任意後見制度
1|任意後見制度の構造
2|即効型・将来型・移行型
4――民事信託制度
1|民事信託の構造
2|民事信託のメリット・デメリット
5――おわりに
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