2019年11月19日

認知症と損害賠償-認知症の人の家族の損害賠償責任の考え方

保険研究部 常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長・ジェロントロジー推進室研究理事兼任   松澤 登

少子高齢化 高齢化問題(全般) などの記事に関心のあるあなたへ

btn-mag-b.png
基礎研 Report Head Lineではそんなあなたにおすすめのメルマガ配信中!
各種レポート配信をメールでお知らせするので読み逃しを防ぎます!

ご登録はこちら

twitter Facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 Pocketで後で読む

文字サイズ

■要旨

自己の行為の責任を理解できない認知症の人が事故を起こした場合の家族の責任について、JR東海判決を参考にして解説を行う。
 
まず自己の行為の責任を理解できない人が損害を与えた場合は、民法第714条によって法定の監督義務者が責任を負うこととされるが、この法定の監督義務者に誰が該当するのかが問題となる。
 
また、介護を行う人が事故発生の結果を具体的に予見できたのに、回避義務を怠ったときは、民法第709条により介護を行う人の結果回避義務違反として責任を負う。この場合は、介護を行う人が具体的に予見できたかどうかが問題となる。
 
本件の最高裁判決では、配偶者や成年後見人であるからといって直ちに法定の監督義務者に該当するのではなく、「現に監督を引き受けたとみるべき特段の事情があるとき」に限って、民法第714条の責任を負うとし、本件では特段の事情が無いため、配偶者等は責任を負わないとした。また、具体的な予見可能性もなかったとして民法第709条の責任も認めなかった。
 
今後は、個人対個人の場合も同じ最高裁の基準で判断されることになるので、損失の社会的な分担の観点から損害保険の活用が望ましい。この点、認知症の人の行為に起因する賠償責任を担保する制度を設けている自治体が出てきていることが注目される。

■目次

1――はじめに
2――事実の概要と若干の前提
  1|事実の概要
  2|民法の考え方と原告の主張
3――裁判所の判断
  1|地裁の判断
  2|高裁の判断
  3|最高裁の判断
4――検討
  1|保護者制度・後見人制度と法定の監督義務者
  2|法定の監督義務者・準監督義務者
  3|私見
5――おわりに
twitter Facebook このエントリーをはてなブックマークに追加 Pocketで後で読む

保険研究部   常務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長・ジェロントロジー推進室研究理事兼任

松澤 登 (まつざわ のぼる)

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

アクセスランキング

レポート紹介

【認知症と損害賠償-認知症の人の家族の損害賠償責任の考え方】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

認知症と損害賠償-認知症の人の家族の損害賠償責任の考え方のレポート Topへ