コラム
2020年09月25日

コロナ・ショックで約7割が含み損~2020年3月末時点での投資信託の運用状況~

金融研究部 准主任研究員   前山 裕亮

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投信保有の7割が含み損

9月18日に金融庁から公表された「安定的な資産形成に向けた金融事業者の取組み状況」によると、2020年3月末時点(の金融事業者の単純平均)で約7割の投資家(顧客)が投資信託で含み損を抱えていることが明らかになった【図表1:下段】。
【図表1】 投資信託の運用損益別顧客比率(上:2019年3月末基準、下:2020年3月末基準)
投資信託で含み損を抱えている投資家の割合が、2019年3月末時点(上段)の34%から2020年3月末時点(下段)は69%と2倍以上になっている。一番初めに公表されたときに話題になった2018年3月末時点の46%と比べても、2020年3月末時点は大きかった。やはり、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて2月、3月と世界的に株式といったリスク性資産の価格が大きく下落した、いわばコロナ・ショックの影響を株式等に投資する投資信託も大きく受けた結果だといえよう。
 
詳細を見ても、運用損益率が「0%以上、+10%未満」の比率は2019年3月末に33%だったが、2020年3月末には10%にまで低下した。その一方で運用損益率が「▲30%以上、▲10%未満」の比率が同時期比で8%から34%となり、厳しい運用状況であったことが分かる。

内外REITの急落が影響か

このように厳しい運用状況になったのは、内外REITの急落が影響したと思われる。2020年3月末時点で純資産が大きかった、つまり投資家の人気が高く多くの投資家が2020年3月末で保有していたと思われる日本籍追加型株式投資信託(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の2019年度の収益率を見ると、内外REITファンド(赤太字)の収益率が▲10%を下回っており、特に厳しかった【図表2】。
 
逆にその他の人気上位ファンドの収益率はマイナスのものが多かったが、▲10%未満に収まっていた。株式は直近の2月、3月にコロナ・ショックによって急落の印象が強いが、それまでの2019年4月から翌1月にかけては堅調だったこともあり、2019年度通してみると投資家に人気な株式ファンドの収益率は一桁のマイナス、もしくはプラスであった。
 
このように内外REITファンド以外は2019年度を通じてだと、そこまで悪くなかったといえる。ただ、2019年度は6月の「年金2,000万円」不足問題などによって、年度中に投資を始めた投資家も多かったと思われる。金融庁の資料では、そのような投資家が2019年度初めよりも株価が高い状況で株式ファンドなどを購入、つまり結果的に高値掴みして、最後にコロナ・ショックが直撃し株価が大幅下落したため、2020年3月末時点で含み損を抱えた投資家が増えたのでは、と分析していた。
【図表2】 2020年3月末時点で純資産総額が大きい上位20ファンド

足元では大きく改善している可能性が高い

いずれにしても、2020年3月末時点の運用状況は、直前にコロナ・ショックが直撃しておりアンラッキーな面も強かったと思われる。実際に人気ファンドの4月以降の収益率を見てもほとんどがプラスになっていることからも分かるように、足元では投資信託の運用状況が大きく改善している可能性が高い。
 
ゆえに、2020年3月末の運用状況は、たまたまタイミングが悪く一時的に悪かっただけといえるのではないだろうか。多くの方がそのことを理解しているため、2年前の2018年3月末時点の結果の公表時と比べて、結果自体は今回の方が悪いにも関わらず、あまり話題になっていないのかもしれない。
 
今後もこの2月や3月のように金融市場が混乱し、基準価格が乱高下することもあるだろうが、基準価格の上下動にあまり一喜一憂せずに、状況を見極めつつ気長に保有し続けることを心がけたい。
 
 

(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
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金融研究部   准主任研究員

前山 裕亮 (まえやま ゆうすけ)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

(2020年09月25日「研究員の眼」)

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【コロナ・ショックで約7割が含み損~2020年3月末時点での投資信託の運用状況~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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