2020年08月05日

投信市場で存在感が高まる積立投資

金融研究部 准主任研究員   前山 裕亮

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2020年上半期は、国内の投資信託市場にとって厳しい販売環境が続いた。2月下旬から3月中旬にかけて世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い金融市場は混乱し、多くの投資信託の基準価格が大きく下落した。3月下旬以降は金融市場の混乱は収まり基準価格も反発したが、4月から5月にかけて緊急事態宣言が出された。それに伴い、投資信託にとって主要な販路である金融機関の対面販売が新型コロナウイルスの感染拡大防止のため自粛された。

このように2020年上半期は販売環境が厳しかったが、投資信託の販売自体は堅調であった。追加型株式投信(ETFを除く。以後、投信)の資金流出入をみると、2020年上半期は外国株式投信への資金流入が大きかったため、外国債券投信や国内株式投信などからは資金流出していたが、全体でみると1兆円の資金流入があった(図表1)。
図表1:追加型株式投信の資金流出入
また、外国株式投信の資金流入を牽引したのが、株式指数に連動するインデックス型であった。外国株式投信への資金流入9,000 億円のうち、半分以上の4,900 億円がインデックス型への資金流入だった。インデックス型への資金流入は、すでに2019年の流入金額(4,200億円)を超えており、前年と比べても資金流入が急ピッチであるといえよう。

このように外国株式投信、特にインデックス型の販売が好調であった要因は3つあると思われる。まず1つ目は、金融市場が混乱する中で投資家が冷静に行動していたことがあげられる。2019年以降、外国株式投信では株価が上昇すると資金流入が細る、もしくは利益確定のため資金流出し、その一方で下落すると資金流入が膨らむ傾向がみられた(図表2)。世界的に株価が大きく下落した足元の3月でも、各種外国株式投信への資金流入が膨らんだ。株価が急落する中でも、今まで通り冷静に行動していた投資家が多かったことがうかがえる。
図表2:タイプ別の外国株式投信の月次資金流出入 図表3:インデックス型~
2つ目の要因として販路があげられる。インデックス型の外国株式投信の販路はネット証券や確定拠出年金、また購入の経路も後述する毎月積立など非対面が中心だと推測される。そのため4月から5月にかけて対面営業が自粛されたが、その影響が相対的に小さかったと考えられる。より対面販売の比重が大きいと思われるその他(いわゆるアクティブ型)の外国株式投信の資金流入は3月から4月、5月と大きく鈍化した。インデックス型もさすがに4月、5月は資金流入が鈍化していたが鈍化幅は相対的に小さかった。

そして最後の3つ目の要因は、インデックス型の外国株式投信を活用した積立投資が広がって来つつあることがあげられる。6月はインデックス型への資金流入が大幅に鈍化し、外国株式投信全体では資金流出に転じた。これは株価が戻り高となる中で、タイプによらず利益確定の売却が膨らんだ様子である。それでもインデックス型で流入超過が続いたのは、毎月積立などで株価の水準などによらず継続的に購入している投資家の存在が大きかったといえよう。

昨年の2019年6月に起きた「年金2,000万円不足」問題によって資産運用に対する世間での関心が高まり、それ以降に積立投資を始めた方も多かったようである。実際につみたてNISAの口座数は2019年末に189万口座と2018年末の104万口座から増加し、また月初のインデックス型の外国株式投信の買い付けの増加も2019年後半以降、顕著になっている【図表3】。

外国株式投信の場合だと多くのものが注文から2日後に資金動向に反映される。そこで毎月第3営業日のインデックス型の外国株式投信の資金流入をみると、2019年7月以降、明らかに流入金額が増加してきている。この6月も月を通じてみると資金流入が鈍化していたが、月初の買い付けが反映される第3営業日に限ると資金流入は100億円を超えており、流入は鈍化していなかった。このことからも積立投資などによる定期的な買い付けの増加が、インデックス型の外国株式投信の資金流入を毎月下支えしていることがうかがえる。

このように投信販売にとって厳しい環境であったにも関わらず投信の販売自体は堅調であったのは、冷静な投資家が多かったことに加えて、昨年の「年金2,000万円不足」問題などによって資産運用への関心が高まっていたことも背景の一つにあると思われる。
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金融研究部   准主任研究員

前山 裕亮 (まえやま ゆうすけ)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

(2020年08月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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