コラム
2020年07月27日

つみたてNISA、意外と多い短期志向?~積立投資と合わせて長期投資は根付くのか~

金融研究部 准主任研究員   前山 裕亮

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活用進む、つみたてNISA

30代、40代を中心に広がってきた つみたてNISA(少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度)1。改めて四半期ごとの つみたてNISAの口座数と3カ月の買付額の推移をみても、口座数、買付額ともに増加していることが分かる【図表1】。始まった当初(2018年3月末)と比べて口座数(棒グラフ)は51万から足元(2020年3月末)には220万口座と4倍となり、買付額(線グラフ)は111億円から757億円と7倍弱となった。特に2019年6月末以降の買付額の増加が顕著であることからも、「年金2,000万円不足」問題によって資産運用への関心が高まり、つみたてNISAの活用が一段と進んだことがうかがえる。
【図表1】 つみたてNISAの口座数と3カ月の買付額の推移

2019年は、売却も意外に多かった

そんな つみたてNISAではあるが、少し気になることがある。それは2019年に、前年につみたてNISA口座で購入した商品の売却が意外と大きかったことである。2018年の つみたてNISA口座の買付額が931億円のうち、2019年に158億円は売却されていた。つまり、買付額に対して17%ほど売却されていたことになる【図表2】。
 
また、年代別にみると2018年の買付額に対して2019年の売却額が20代、70代、80代以上が大きく、その一方で40代と50代が小さかったことが分かる。ただ、最も小さかった40代でも買付額に対して売却額が14%もあった。
 
2019年は世界的に株価が上昇したこともあり、利益確定のため投信を売却したくなるような市場環境であったことが影響したと思われる。実際に つみたてNISA以外、つまり投信市場全体では2019年に国内株式投信を中心に売却が膨らんだ。但し、売却額には運用益2も含まれているため、実際の買付額に対しては大きくなりやすい。
【図表2】  つみたてNISAの年代別の「2019年の売却額/2018年の買付額」
 
2 場合によっては損であるが2019年の市場環境を考慮すると多くの投資家で益が出ていたものと推測される

最後に

しかし、それらを差し引いても各年代で買付に対して売却が1割を超えていたのは、つみたてNISAは長期運用を支援する制度であり実際に運用可能期間は20年あるのにもかかわらず、短期志向の投資家が つみたてNISAでも意外に多かったといえるではないだろうか。
 
どのように活用しようと投資家の自由ではあるが、やはり税制優遇は利益が出ていれば出ているほど効果が大きくなるため、つみたてNISA口座から購入した投信から多少、利益がでているからといって1年や2年で売却してしまうのは、やや近視眼的な行動に見えてしまう。

昨年、売却した投資家の中にはコロナ禍で大幅に基準価格が下落する前に売り抜けることができて安堵した投資家もいるだろう。しかし、株価などの変動を正確に当てることは難しく、売買が短期的にはうまくいっているように見えても、長期的には売買したことが機会損失になってしまうことも往々にしてある。実際に10年後や15年後には、基準価格が昨年よりも大きく上回り、昨年売却してしまった以上に利益が得られる可能性が高いと思われる。特に、つみたてNISAではいったん売却すると、その後の税制優遇がなくなってしまうことからも、定期的にコツコツ投資し、売却せずに長期で保有するという活用方法の方が結果的に資産形成の助けになるのではないだろうか。
 
今後、つみたてNISAの活用がどのくらい進むのかと合わせて、投資家が実際にどのように つみたてNISA口座を活用していくのか、つみたてNISAによって積立投資と合わせて長期投資も根付いていくのかについても注目してみていきたい。
 
 

(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
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金融研究部   准主任研究員

前山 裕亮 (まえやま ゆうすけ)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

(2020年07月27日「研究員の眼」)

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