2020年09月11日

企業物価指数(2020年8月)―前年比でマイナス幅の縮小が続くが、先行きは期待薄

経済研究部 研究員   藤原 光汰

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1.国内企業物価は前月比で3ヵ月連続の上昇

9月11日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、20年8月の国内企業物価指数は前年比▲0.5%(7月:同▲0.9%)と6ヵ月連続のマイナスとなったが、下落幅は前月から縮小した。事前の市場予想(QUICK集計:前年比▲0.5%、当社予想も同▲0.5%)通りの結果となった。消費税を除いた8月の国内企業物価指数は、前年比▲2.1%(7月:同▲2.5%)と15ヵ月連続のマイナスとなった。

原油価格の持ち直しを受けて、石油・石炭製品(消費税を含むベース)の下落幅が縮小(7月:前年比▲19.4%→8月:同▲14.1%)したこと、経済活動の再開に伴う需要増加に供給不安が重なり、銅の価格が上昇したことを受けて、非鉄金属が前年比6.5%と前月(同2.7%)から上昇を拡大させたことが、国内企業物価の下落幅縮小の要因となった。

国内企業物価指数は前月比では0.2%(7月:同0.6%)と3ヵ月連続の上昇となった。夏季電力料金引き上げの影響を除くと前月比0.3%で、プラス幅は前月と変わらなかった。前月比で内訳をみると、ガソリン(7月:前月比4.0%→8月:同3.7%)、灯油(7月:同9.6%→8月:同7.7%)、軽油(7月:同8.9%→8月:同7.7%)は前月から上昇幅こそ縮小したものの、3ヵ月連続のプラスとなったため、石油・石炭製品が前月比4.3%(7月:同6.8%)と3ヵ月連続のプラスとなった。また、非鉄金属が前月比2.7%(7月:同3.8%)と4ヵ月連続のプラスとなったほか、スクラップ類は同4.1%(7月:同▲2.7%)とプラスに転じた。一方、化学製品は前月比▲0.3%(7月:同0.3%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じた。
国内企業物価指数(前年比・前月比)の推移/国内企業物価指数の前年比寄与度分解

2.原油価格の上昇により輸入物価を押し上げ

20年8月の輸入物価指数1は、契約通貨ベースでは前月比1.7%(7月:同2.5%)と3ヵ月連続のプラスとなった。一方、8月の円相場は前月比▲0.7%の円高水準となったことから、円ベースでは前月比1.2%(7月:同2.0%)と、契約通貨ベースを下回る上昇幅となった。
輸入物価指数変化率の要因分解(契約通貨ベース) 契約通貨ベースで輸入物価指数の内訳をみると、原油(7月:前月比42.4%→8月:同23.8%)が3ヵ月連続で大幅に上昇していることなどから、石油・石炭・天然ガスは前月比5.4%(7月:同11.0%)と3ヵ月連続のプラスとなった。また、経済活動の再開に伴う銅鉱やアルミニウム地金の上昇により、金属・同製品が前月比4.0%(7月:同3.2%)と前月からプラス幅を拡大させた。
 
1 輸入物価指数は、消費税を除くベースで作成されている

3.先行きはマイナス幅が再び拡大する見込み

20年8月の需要段階別指数(国内品+輸入品)2をみると、素原材料が前年比▲19.7%(7月:同▲20.8%)、中間財が前年比▲2.9%(7月:同▲3.9%)、最終財が前年比▲1.5%(7月:同▲1.9%)となり、国際商品市況の持ち直しを受けてすべての需要段階で下落幅が縮小した。素原材料の下落幅縮小は、中間財、最終財への下押し圧力の緩和となるが、国内の最終需要が弱いため、川下への価格転嫁は難しい状況が継続すると考えられる。
需要段階別指数の推移 また、消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い消費財は前年比▲2.0%(7月:同▲2.8%)と16ヵ月連続のマイナスとなった。

世界的な経済活動の再開に伴い国際商品市況が回復し、国内企業物価指数は持ち直しの動きを示しているが、足元の原油価格は上値の重さが目立っており、先行きの不透明感は強い。新型コロナウィルス感染症の終息が見通せない中、世界経済は弱い動きが長引いており、商品市況の更なる上昇余地は限定的だと考えられる。10月には消費税率引き上げの影響がほぼ一巡することもあり、前年比でマイナス幅が拡大すると予想する。
 
2 需要段階別指数は、消費税を除くベースで作成されている
 
 

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経済研究部   研究員

藤原 光汰 (ふじわら こうた)

研究・専門分野
日本経済

(2020年09月11日「経済・金融フラッシュ」)

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