2020年08月13日

企業物価指数(2020年7月)―前月比で2ヵ月連続のプラスとなるも、先行きの回復ペースは鈍化する見込み

経済研究部 研究員   藤原 光汰

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1.商品市況の持ち直しにより、国内企業物価は前月比で2ヵ月連続のプラス

8月13日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、20年7月の国内企業物価指数は前年比▲0.9%(6月:同▲1.6%)と5ヵ月連続のマイナスとなったが、下落幅は前月から縮小した。事前の市場予想(QUICK集計:前年比▲1.2%、当社予想は同▲1.0%)を下回る下落幅となった。消費税を除いた7月の国内企業物価指数は、前年比▲2.4%(6月:同▲3.1%)と14ヵ月連続のマイナスとなった。

原油価格の持ち直しを受けて、石油・石炭製品(消費税を含むベース)の下落幅が大きく縮小(6月:前年比▲26.0%→7月:同▲19.3%)したこと、経済活動の再開に伴う需要増加に供給不安が重なり、銅の価格がコロナ前の高値を更新したことを受けて、非鉄金属が前年比2.7%と6ヵ月ぶりにプラスに転じたことが、国内企業物価の下落幅縮小の要因となった。

国内企業物価指数は前月比では0.6%(6月:同0.6%)と2ヵ月連続のプラスとなった(夏季電力料金引き上げの影響を除くと前月比0.4%)。前月比で内訳をみると、ガソリン(前月比3.9%)、灯油(同9.2%)、軽油(同8.7%)が2ヵ月連続のプラスとなったこと、C重油が前月比30.9%(6月:同0.0%)と大幅に上昇したことなどから、石油・石炭製品が前月比6.9%(6月:同11.2%)と2ヵ月連続のプラスとなった。また、非鉄金属が前月比3.8%(6月:同3.1%)と前月から伸びを高めたほか、内食需要の高まりによる牛肉や豚肉などの上昇を受けて、農林水産物が前月比0.7%(6月:同▲0.4%)と3ヵ月ぶりに上昇に転じた。
国内企業物価指数(前年比・前月比)の推移/国内企業物価指数の前年比寄与度分解

2.原油価格の上昇により輸入物価のプラス幅が拡大

20年7月の輸入物価指数1は、契約通貨ベースでは前月比2.3%(6月:同0.5%)と2ヵ月連続のプラスとなった。一方、7月の円相場は前月比▲0.7%の円高水準となったことから、円ベースでは前月比1.9%(6月:同0.9%)と、契約通貨ベースを下回る上昇幅となった。
輸入物価指数変化率の要因分解(契約通貨ベース) 契約通貨ベースで輸入物価指数の内訳をみると、原油(前月比42.4%)、ナフサ(同34.8%)、ジェット燃料油・灯油(同32.4%)などが大幅に上昇したことを受けて、石油・石炭・天然ガスは前月比9.8%(6月:同3.4%)と2ヵ月連続のプラスとなった。前月比寄与度は1.88%ptとなり、石油・石炭・天然ガスの上昇が輸入物価指数を押し上げた形となった。また、経済活動の再開に伴い、金属・同製品が前月比3.2%(6月:同0.4%)と前月から上昇幅を大きく拡大させた。
 
1 輸入物価指数は、消費税を除くベースで作成されている

3.国際商品市況の持ち直しには一服感

需要段階別指数の推移 20年7月の需要段階別指数(国内品+輸入品)2をみると、素原材料が前年比▲20.8%(6月:同▲26.1%)、中間財が前年比▲3.8%(6月:同▲4.9%)、最終財が前年比▲2.0%(6月:同▲2.4%)となり、国際商品市況の持ち直しを受けてすべての需要段階で下落幅が縮小した。素原材料の下落幅縮小は、中間財、最終財への下押し圧力の緩和となるが、国内の最終需要が弱いため、川下への価格転嫁は難しい状況が継続すると考えられる。

また、消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い消費財は前年比▲2.8%(6月:同▲3.3%)と15ヵ月連続のマイナスとなった。

7月の国内企業物価指数は底打ちを示唆する結果となった。しかし、その主因である原油や非鉄金属などの国際商品市況の持ち直しの動きにこのところ一服感がみられる。世界経済は弱い動きが長引いており、商品市況の更なる上昇余地は限定的だろう。先行きの国内企業物価の回復ペースは緩慢なものにとどまる公算が大きい。当面は前年比で▲0%台で推移すると予想する。
 
2 需要段階別指数は、消費税を除くベースで作成されている
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経済研究部   研究員

藤原 光汰 (ふじわら こうた)

研究・専門分野
日本経済

(2020年08月13日「経済・金融フラッシュ」)

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