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- 雇用関連統計20年6月-失業率は低下も、失業の中身が深刻化
2020年07月31日
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1.失業率は前月から0.1ポイント改善の2.8%
就業者数は前年差▲77万人の減少(5月は同▲76万人)となった。産業別には、新型コロナウィルス感染拡大に伴う外出自粛、休業の影響を強く受けた宿泊・飲食サービス(前年差▲38万人)、生活関連サービス・娯楽業(同▲22万人)の減少が目立つ。
2.現時点では、休業者から失業者への移行は限定的
緊急事態宣言が発令された20年4月に597万人(前年差420万人増)と過去最多となった休業者数は、5月には423万人(前年差274万人増)、6月には236万人(前年差90万人増)と徐々に減少しているものの、引き続き高水準となっている。
産業別の休業率(休業者/就業者)をみると、新型コロナウィルス感染拡大に伴う外出自粛、休業要請を受けて、4月に急上昇した飲食業(4月:29.6%→5月:20.5%→6月:6.8%)、娯楽業(4月:39.7%→5月:26.3%→6月:8.9%)、宿泊業(4月:31.3%→5月:37.1%→6月:17.5%)の休業率は大きく低下したが、引き続き新型コロナの影響が顕在化する前の水準は上回っている(数値はいずれも原数値)。
産業別の休業率(休業者/就業者)をみると、新型コロナウィルス感染拡大に伴う外出自粛、休業要請を受けて、4月に急上昇した飲食業(4月:29.6%→5月:20.5%→6月:6.8%)、娯楽業(4月:39.7%→5月:26.3%→6月:8.9%)、宿泊業(4月:31.3%→5月:37.1%→6月:17.5%)の休業率は大きく低下したが、引き続き新型コロナの影響が顕在化する前の水準は上回っている(数値はいずれも原数値)。
労働力調査のフローデータ1を用いて、5月に休業していた者が6月にどの就業状態に移行したかをみると、20年5月に休業者であった375万人のうち、6月も引き続き休業者が170万人(45.3%)、従業者に移行が178万人(47.5%)、失業者に移行が7万人(1.9%)、非労働力人口に移行が20万人(5.3%)となった(括弧内は割合)。

ただし、休業者は平常時に比べると依然として高水準にとどまっていること、企業収益の悪化や景気の先行き不透明感の高まりを受けて、企業が新規雇用を抑制する姿勢は一段と高まる可能性が高いことから、失業率がさらに上昇することは避けられないだろう。現時点では、失業率は20年末頃に4%程度まで上昇すると予想している。
1 労働力調査のフローデータは、ストックデータの2分の1の調査世帯を集計対象としていること、総数に転出者、転入者を含むことなどから、ストックの増減とフローの値は一致しない
3.有効求人倍率は1倍割れが近づく
厚生労働省が7月31日に公表した一般職業紹介状況によると、20年6月の有効求人倍率は前月から▲0.09ポイント低下の1.11倍(QUICK集計・事前予想:1.15倍、当社予想は1.11倍)となった。有効求人数が前月比▲1.9%(5月:同▲8.6%)の減少となる一方、有効求職者数が前月比5.4%(5月:同0.7%)の増加となった。

新規求人数は2ヵ月連続で増加したが、直近のピークである19年12月の水準を2割以上下回っている。一方、失業者の増加を反映し、新規求職申込件数はこのところ大幅に増加している。
企業の求人意欲が大きく低下する一方、失業者の増加を反映し求職者数の増加が見込まれるため、有効求人倍率は労働市場の需給バランスが一致していることを意味する1倍を割り込む可能性が高いだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年07月31日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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