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- 緊急事態宣言で経済活動はどれだけ落ち込んだのか~ニッセイ月次GDPを用いた試算~
2020年06月10日
■要旨
日本経済は、2019年10月の消費税率引き上げによって大きく落ち込んだ後、徐々に持ち直していた。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大を受けた2020年2月末の安倍首相による自粛要請によって3月に大きく落ち込んだ後、4/7の緊急事態宣言の発令を受けて落ち込み幅がさらに拡大した。
当研究所が作成している月次GDPは、2020年3月が前月比▲4.4%、4月が同▲5.8%と2ヵ月で約10%の急激な落ち込みを記録した。特に、外出自粛の影響を強く受けた民間消費が大きく減少した(3月:前月比▲4.0%、4月:同▲6.1%)。
月次GDPを用いて自粛要請、緊急事態宣言による経済損失を試算すると、3月が▲2.2兆円、4月が▲4.7兆円、合計▲6.9兆円となった。需要項目別には、民間消費の落ち込みが最も大きく、3月が▲1.4兆円、4月が▲2.8兆円、合計▲4.2兆円となり、GDP全体の落ち込みの約6割を占めた。
緊急事態宣言は5/25に解除されたため、経済活動の水準は4、5月が底となり、6月以降は上向くことが見込まれる。しかし、3月、4月の落ち込みがあまりに大きかったため、4-6月期の月次GDPの水準は1-3月期を大きく下回る。現時点では、2020年4-6月期の実質GDPは、前期比▲6.7%(前期比年率▲24.4%)の大幅マイナス成長を予想している。この予想に基づけば、4-6月期の経済損失額は▲12.2兆円(うち民間消費▲7.5兆円、住宅投資▲0.3兆円、設備投資▲1.3兆円、純輸出▲3.2兆円)となる。
「新しい生活様式」の実践が、旅行、外食などのサービス支出の抑制につながることなどから、今後の経済活動の回復ペースは、急激な落ち込みの後としては緩やかなものにとどまる可能性が高い。現時点では、実質GDPがコロナ前の水準に戻るのは2022年度以降になると予想している。
■目次
1――自粛要請、緊急事態宣言で急速に落ち込んだ日本経済
2――月次GDPの概要
3――最近の月次GDPの動向
4――2020年3月、4月の経済損失額の試算
日本経済は、2019年10月の消費税率引き上げによって大きく落ち込んだ後、徐々に持ち直していた。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大を受けた2020年2月末の安倍首相による自粛要請によって3月に大きく落ち込んだ後、4/7の緊急事態宣言の発令を受けて落ち込み幅がさらに拡大した。
当研究所が作成している月次GDPは、2020年3月が前月比▲4.4%、4月が同▲5.8%と2ヵ月で約10%の急激な落ち込みを記録した。特に、外出自粛の影響を強く受けた民間消費が大きく減少した(3月:前月比▲4.0%、4月:同▲6.1%)。
月次GDPを用いて自粛要請、緊急事態宣言による経済損失を試算すると、3月が▲2.2兆円、4月が▲4.7兆円、合計▲6.9兆円となった。需要項目別には、民間消費の落ち込みが最も大きく、3月が▲1.4兆円、4月が▲2.8兆円、合計▲4.2兆円となり、GDP全体の落ち込みの約6割を占めた。
緊急事態宣言は5/25に解除されたため、経済活動の水準は4、5月が底となり、6月以降は上向くことが見込まれる。しかし、3月、4月の落ち込みがあまりに大きかったため、4-6月期の月次GDPの水準は1-3月期を大きく下回る。現時点では、2020年4-6月期の実質GDPは、前期比▲6.7%(前期比年率▲24.4%)の大幅マイナス成長を予想している。この予想に基づけば、4-6月期の経済損失額は▲12.2兆円(うち民間消費▲7.5兆円、住宅投資▲0.3兆円、設備投資▲1.3兆円、純輸出▲3.2兆円)となる。
「新しい生活様式」の実践が、旅行、外食などのサービス支出の抑制につながることなどから、今後の経済活動の回復ペースは、急激な落ち込みの後としては緩やかなものにとどまる可能性が高い。現時点では、実質GDPがコロナ前の水準に戻るのは2022年度以降になると予想している。
■目次
1――自粛要請、緊急事態宣言で急速に落ち込んだ日本経済
2――月次GDPの概要
3――最近の月次GDPの動向
4――2020年3月、4月の経済損失額の試算
(2020年06月10日「基礎研レター」)
03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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