2020年05月22日

消費者物価(全国20年4月)-コアCPI上昇率は3年4ヵ月ぶりのマイナス、夏場にかけてマイナス幅は拡大

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.コアCPI上昇率は16年12月以来のマイナス

消費者物価指数の推移 総務省が5月22日に公表した消費者物価指数によると、20年4月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.2%(3月:同0.4%)となり、上昇率は前月から0.6ポイント縮小した。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.1%、当社予想は▲0.2%)を下回る結果であった。コアCPI上昇率は16年12月以来、3年4ヵ月ぶりのマイナスとなった。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比0.2%(3月:同0.6%)、総合は前年比0.1%(3月:同0.4%)であった。

参考値として公表されている消費税調整済(幼児教育無償化の影響も調整)のコアCPIは前年比▲0.6%(3月:同0.1%)であった。
コアCPIの内訳をみると、電気代(3月:前年比▲3.3%→4月:同▲2.7%)、ガス代(3月:前年比▲1.7%→4月:同▲1.5%)は下落幅が若干縮小したが、ガソリン(3月:前年比0.4%→4月:同▲9.6%)、灯油(3月:前年比2.4%→4月:同▲9.1%)が大幅な下落に転じたため、エネルギー価格の下落率は3月の前年比▲1.7%から同▲4.7%へと拡大した。
消費者物価指数(生鮮食品除く、全国)の要因分解 また、新型コロナウィルス感染拡大に伴う観光需要の急速な落ち込みを背景に、宿泊料(3月:前年比▲1.4%→4月:同▲7.7%)、外国パック旅行(3月:前年比▲5.9%→4月:同▲11.7%)の下落幅が拡大したことなどから、教養娯楽が3月の前年比1.5%から同0.3%へと伸びが大きく低下した。

食料(生鮮食品を除く)は前年比1.3%(3月:同1.6%)となり、引き続きコアCPI全体を明確に上回る伸びとなっているものの、20年1月の同1.9%をピークに伸びは鈍化している。人件費、物流費の上昇に消費税率引き上げの影響が加わり3%台の伸びを続けてきた一般外食が、外出自粛、休業要請の影響で売上が大きく落ち込んだことを反映し、前年比2.9%(3月:同3.2%)と伸びが鈍化した。

なお、高等教育の一部無償化で、大学授業料(国立)(3月:前年比0.0%→4月:同▲6.0%)、大学授業料(私立)(3月:前年比0.7%→4月:同▲4.3%)、短期大学授業料(私立)(3月:前年比0.0%→4月:同▲5.0%)、専修学校授業料(私立)(3月:前年比1.5%→4月:同▲5.7%)が下落に転じ、コアCPI上昇率を▲0.1ポイント弱押し下げた。
 
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.54%(3月:▲0.30%)、食料(生鮮食品を除く)が0.18%(3月:0.27%)、その他が▲0.23%(3月:0.03%)であった(当研究所試算による消費税、幼児教育無償化の影響を除くベース)。

2.上昇品目数の減少が続く

消費者物価(除く生鮮食品)の「上昇品目数(割合)-下落品目数(割合)」 消費者物価指数の調査対象523品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると(消費税率引き上げの影響を除いている)、4月の上昇品目数は266品目(3月は273品目)、下落品目数は197品目(3月は194品目)となり、上昇品目数が前月から減少した。上昇品目数の割合は50.9%(3月は52.2%)、下落品目数の割合は37.7%(3月は37.1%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は13.2%(3月は15.1%)であった。

上昇品目の割合は引き続き50%を上回っているが、低下傾向が続いている。先行きについては、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う需要の急減を反映し、上昇品目数の割合が50%を割り込むことが予想される。

3.コアCPIの下落は長期化する見込み

コアCPIは20年1月の前年比0.8%から3ヵ月で1%ポイントの急低下となった。先行きについては、原油価格の大幅低下を受けたエネルギー価格の下落幅拡大、外食、旅行、娯楽などを中心とした需要の急減を受けて、夏場にかけてマイナス幅がゼロ%台半ばまで拡大することが見込まれる。また、賃金の下落がサービス価格の下押し圧力になることから、物価の上昇圧力が高まることは当面期待できない。コアCPI上昇率は20年度末までマイナス圏で推移する可能性が高い。
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2020年05月22日「経済・金融フラッシュ」)

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