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- 消費者物価(全国20年4月)-コアCPI上昇率は3年4ヵ月ぶりのマイナス、夏場にかけてマイナス幅は拡大
2020年05月22日
1.コアCPI上昇率は16年12月以来のマイナス
![消費者物価指数の推移](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/64514_ext_15_0.jpg?v=1590111805)
生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比0.2%(3月:同0.6%)、総合は前年比0.1%(3月:同0.4%)であった。
参考値として公表されている消費税調整済(幼児教育無償化の影響も調整)のコアCPIは前年比▲0.6%(3月:同0.1%)であった。
コアCPIの内訳をみると、電気代(3月:前年比▲3.3%→4月:同▲2.7%)、ガス代(3月:前年比▲1.7%→4月:同▲1.5%)は下落幅が若干縮小したが、ガソリン(3月:前年比0.4%→4月:同▲9.6%)、灯油(3月:前年比2.4%→4月:同▲9.1%)が大幅な下落に転じたため、エネルギー価格の下落率は3月の前年比▲1.7%から同▲4.7%へと拡大した。
![消費者物価指数(生鮮食品除く、全国)の要因分解](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/64514_ext_15_2.jpg?v=1590111807)
食料(生鮮食品を除く)は前年比1.3%(3月:同1.6%)となり、引き続きコアCPI全体を明確に上回る伸びとなっているものの、20年1月の同1.9%をピークに伸びは鈍化している。人件費、物流費の上昇に消費税率引き上げの影響が加わり3%台の伸びを続けてきた一般外食が、外出自粛、休業要請の影響で売上が大きく落ち込んだことを反映し、前年比2.9%(3月:同3.2%)と伸びが鈍化した。
なお、高等教育の一部無償化で、大学授業料(国立)(3月:前年比0.0%→4月:同▲6.0%)、大学授業料(私立)(3月:前年比0.7%→4月:同▲4.3%)、短期大学授業料(私立)(3月:前年比0.0%→4月:同▲5.0%)、専修学校授業料(私立)(3月:前年比1.5%→4月:同▲5.7%)が下落に転じ、コアCPI上昇率を▲0.1ポイント弱押し下げた。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲0.54%(3月:▲0.30%)、食料(生鮮食品を除く)が0.18%(3月:0.27%)、その他が▲0.23%(3月:0.03%)であった(当研究所試算による消費税、幼児教育無償化の影響を除くベース)。
2.上昇品目数の減少が続く
![消費者物価(除く生鮮食品)の「上昇品目数(割合)-下落品目数(割合)」](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/64514_ext_15_3.jpg?v=1590111808)
上昇品目の割合は引き続き50%を上回っているが、低下傾向が続いている。先行きについては、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う需要の急減を反映し、上昇品目数の割合が50%を割り込むことが予想される。
3.コアCPIの下落は長期化する見込み
コアCPIは20年1月の前年比0.8%から3ヵ月で1%ポイントの急低下となった。先行きについては、原油価格の大幅低下を受けたエネルギー価格の下落幅拡大、外食、旅行、娯楽などを中心とした需要の急減を受けて、夏場にかけてマイナス幅がゼロ%台半ばまで拡大することが見込まれる。また、賃金の下落がサービス価格の下押し圧力になることから、物価の上昇圧力が高まることは当面期待できない。コアCPI上昇率は20年度末までマイナス圏で推移する可能性が高い。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年05月22日「経済・金融フラッシュ」)
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![](https://www.nli-research.co.jp/files/topics/45_ext_01_0.jpeg?v=1554184776)
03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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