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- 法人企業統計20年1-3月期-設備投資が予想外の増加も、4-6月期は利益、設備ともに大幅減少が不可避
2020年06月01日
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1.4四半期連続の減益
製造業は、売上高が前年比2.9%(10-12月期:同▲6.7%)と4四半期ぶりに増加したが、売上高経常利益率が19年1-3月期の6.0%から4.1%へと大幅に悪化したことが収益の押し下げ要因となった。売上高経常利益率を要因分解すると、人件費、金融費用、減価償却費、変動費がいずれも利益率の悪化要因となった。
非製造業は、消費税率引き上げ後の国内需要の低迷に外出自粛の影響が加わったことから、売上高が前年比▲5.9%(10-12月期:同▲6.3%)と3四半期連続で減少したことに加え、売上高経常利益率が19年1-3月期の6.0%から4.3%へと悪化した。
非製造業は、消費税率引き上げ後の国内需要の低迷に外出自粛の影響が加わったことから、売上高が前年比▲5.9%(10-12月期:同▲6.3%)と3四半期連続で減少したことに加え、売上高経常利益率が19年1-3月期の6.0%から4.3%へと悪化した。
2.新型コロナウィルスの影響で、企業収益の一段の悪化は避けられず
経常利益の内訳を業種別に見ると、ほとんどの業種が減益となったが、新型コロナウィルスの影響を強く受けた宿泊業(▲1,859億円)、飲食サービス業(▲799億円)は赤字に転落した。
季節調整済の経常利益は前期比▲11.6%(10-12月期:同▲7.9%)と4四半期連続で減少し、減少幅が拡大した。製造業が前期比▲11.5%(10-12月期:同▲11.3%)、非製造業は前期比▲11.6%(10-12月期:同▲6.3%)といずれも前期比で二桁の減少となった。
季節調整済の経常利益は前期比▲11.6%(10-12月期:同▲7.9%)と4四半期連続で減少し、減少幅が拡大した。製造業が前期比▲11.5%(10-12月期:同▲11.3%)、非製造業は前期比▲11.6%(10-12月期:同▲6.3%)といずれも前期比で二桁の減少となった。
3.先行きの設備投資は大幅な減少が不可避
設備投資(ソフトウェアを含む)は前年比4.3%(10-12月期:同▲3.5%)と2四半期ぶりに増加した。製造業(10-12月期:前年比▲9.0%→1-3月期:同0.6%)、非製造業(10-12月期:同▲0.1%→1-3月期:同6.2%)ともに増加に転じた。

なお、緊急事態宣言の発令により、20年1-3月期の調査票の回収率が低下(19年10-12月期:72.5%→20年1-3月期:61.4%)したことを受けて、財務省では本日の結果を「速報値」として公表するとともに、調査票の回答期限を2ヵ月程度延長して、引き続き調査票の回収を行い、それらを踏まえた集計結果を、概ね2ヵ月後に「確報値」として公表することを発表した。
調査票の提出が遅れている企業には、期限内に提出した企業よりも新型コロナウィルスの影響を強く受けている企業が多く含まれていることが考えられる。このため、確報値で利益、設備ともに下方修正される可能性がある。
4.1-3月期・GDP2次速報は上方修正を予想
本日の法人企業統計の結果等を受けて、6/8公表予定の20年1-3月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比▲0.5%(前期比年率▲2.0%)になり、1次速報の前期比▲0.9%(前期比年率▲3.4%)から上方修正されると予測する。

また、民間在庫変動は1次速報で仮置きとなっていた原材料在庫、仕掛品在庫に法人企業統計の結果が反映され、1次速報の前期比・寄与度▲0.0%から同0.0%へと上方修正されるだろう。
その他の需要項目では、民間消費は3月のサービス産業動向調査の結果などが反映され、前期比▲0.7%から同▲0.6%へ、公的固定資本形成は3月の建設総合統計の結果が反映され、前期比▲0.4%から同▲0.3%へ若干上方修正されると予想する。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年06月01日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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