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- 鉱工業生産20年4月-リーマン・ショック時を上回る減産幅に
2020年05月29日
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1.4月の生産はリーマン・ショック後を上回る低下幅

4月の生産を業種別に見ると、生産用機械(前月比2.5%)を除く全ての業種が低下したが、輸出の落ち込みやサプライチェーン障害の影響を強く受けた自動車工業が前月比▲33.3%の大幅減産となった。

消費財出荷指数は20年1-3月期の前期比0.0%の後、4月は前月比▲10.7%となった。非耐久消費財は前月比▲0.6%(1-3月期:前期比1.1%)と小幅な低下にとどまったが、自動車を含む耐久消費財が前月比▲31.7%(1-3月期:前期比▲0.9%)と急低下した。
4月の消費関連指標を確認すると、緊急事態宣言の発令に伴う外出自粛、休業要請の影響で、自動車をはじめとした財消費、外食、旅行などのサービス消費がともに大きく落ち込んだ。
GDP統計の民間消費は、20年1-3月期の前期比▲0.7%の後、4-6月期は減少幅が急拡大する可能性が高い。
2.4-6月期はリーマン・ショック以来の減産幅に
製造工業生産予測指数は、20年5月が前月比▲4.1%、6月が同3.9%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(4月)、予測修正率(5月)はそれぞれ▲10.4%、▲12.9%であった。4月の実現率、5月の予測修正率のマイナス幅は東日本大震災発生時(11年3月の実現率は▲19.8%、予測修正率が▲15.9%)よりは小さかったが、リーマン・ショック時よりも大きい。
予測指数を業種別にみると、4月に前月比▲31.7%の大幅減産となった輸送機械は5月も同▲23.6%とさらなる減産が計画されている(6月は同24.2%)。4月の輸送機械の生産量は直近のピーク(17年4月)時の60%弱となっているが、5月の生産が計画通りとすると50%を割り込むことになる。
予測指数を業種別にみると、4月に前月比▲31.7%の大幅減産となった輸送機械は5月も同▲23.6%とさらなる減産が計画されている(6月は同24.2%)。4月の輸送機械の生産量は直近のピーク(17年4月)時の60%弱となっているが、5月の生産が計画通りとすると50%を割り込むことになる。
20年4月の生産指数を5、6月の予測指数で先延ばしすると、20年4-6月期は前期比▲12.8%の大幅減産となる。ここにきて世界各国で工場再開の動きが出てきているが、フル稼働にはほど遠い状況にあり、サプライチェーン障害の影響はしばらく残る可能性が高い。
今回の予測指数は、緊急事態宣言の期間延長が決まった後の5/10時点で調査されているため、生産実績の計画からの下振れ幅は4月よりも小さくなることが見込まれる。ただし、もともと生産実績は予測指数の伸びよりも低くなる傾向があるため、実際の減産幅は予測指数で先延ばししたよりも大きくなる可能性が高い。現時点では、20年4-6月期の鉱工業生産は前期比▲15%程度のマイナスになると予想している(四半期ベースの過去最大の減産幅は09年1-3月期の前期比▲20.5%)。
今回の予測指数は、緊急事態宣言の期間延長が決まった後の5/10時点で調査されているため、生産実績の計画からの下振れ幅は4月よりも小さくなることが見込まれる。ただし、もともと生産実績は予測指数の伸びよりも低くなる傾向があるため、実際の減産幅は予測指数で先延ばししたよりも大きくなる可能性が高い。現時点では、20年4-6月期の鉱工業生産は前期比▲15%程度のマイナスになると予想している(四半期ベースの過去最大の減産幅は09年1-3月期の前期比▲20.5%)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年05月29日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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