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【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(9月号)~7月の輸出は段階的な経済再開を反映して持ち直し続く
経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠
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ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、7月は北米向け(同28.4%増)がさらに拡大すると共に、EU向け(同4.9%減)と東南アジア向け(同14.1%減)が持ち直した(図表2)。東アジア向け(同1.1%減)は再び減少したが、前月比でみると3.7%増と持ち直しの動きは続いている。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同7.6%増(前月:同3.4%減)と5カ月ぶりに増加したほか、電気製品・同部品が同33.8%増(前月:同33.2%増)と6ヵ月連続の二桁増を記録した(図表4)。また繊維関連では、織物・衣類が同7.7%減(前月:同9.7%減)、履物が同15.7%減(前月:同11.8%減)となり、それぞれ大幅に減少した。農林水産物を見ると、水産物(同0.8%増)が僅かながら増加したものの、6月に入って価格が急落したコメ(同15.9%減)をはじめとしてコーヒー(同19.0%減)、野菜(同9.0%減)、カシューナッツ(同19.9%減)など幅広い品目が減少した。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同3.7%増(前月:同1.5%減)と小幅ながらプラスに転じたほか、地場企業が同17.6%増(前月:同19.1%増)と好調を維持した。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同14.0%減(前月:同19.0%減)と4カ月連続の二桁減少となった(図表6)。製造品の内訳を見ると、主力の自動車・部品(同26.3%減)や機械・装置(同15.1%減)、石油化学製品(同19.5%減)、電子機器(同2.5%減)など幅広い品目が減少した。また鉱業・燃料は同36.8%減(前月:同38.9%減)となり、石油製品(同38.3%減)を中心に4カ月連続で減少した。農産物・同加工品も同7.8%減(前月:同4.8%減)と低迷した。前月に続いてゴム製品(同34.2%増)や畜産物(同56.5%増)、タピオカ(同7.4%増)が増加する一方、コメ(同16.8%減)や天然ゴム(同54.1%減)、加工食品(同7.8%減)、果物(同5.3%減)が減少するなど、品目ごとのバラつきがみられた。非貨幣用金(同22.1%増)は大幅に増加して二ヵ月ぶりのプラスとなった。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同3.9%増と、前月の同13.7%増から鈍化したものの、主力の電気・電子製品(同6.1%増)を中心に2カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同21.6%減(前月:同39.9%減)と4カ月連続で大幅に減少した。天然ガス(同48.1%減)と石油製品(同15.2%減)、原油(同8.0%減)がそれぞれ低迷している。このほか、パーム油などの動植物性油脂(同48.2%増)やゴム手袋(同117.8%増)が大幅に増加した一方、化学製品が同24.6%減(前月:同10.6%減)とマイナス幅が拡大するなど、品目によってバラつきがみられた。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同5.9%減(前月:同3.5%増)、石油ガス輸出が同49.7%減(前月:同20.3%減)となり、それぞれ減少した(図表10)。鉱産物(同41.8%減)や自動車・同部品(同43.6%減)、織物類(同21.9%減)が低迷したほか、前月プラスだったプラスチック・ゴム製品(同21.5%減)や電気機械(同6.5%減)、機械類(同11.5%減)、パルプ・紙・同製品(同10.7%減)が再び減少した。一方、動植物性油脂(同21.9%増)や鉄・鉄鋼(同36.2%増)な鉱石、スラグ及び灰(同28.0%増)は前月に続いて好調だった。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品が同1.0%増(前月:同19.5%増)と鈍化した(図表12)。電子製品の内訳を見ると、通信機器(同16.1%増)、ダイオード・トランジスタ(同11.5%増)が前月に続いて増加した一方、PC(同9.2%減)とPC部品(同20.3%減)が低迷、主力のIC(同0.3%減)が小幅に減少した。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学品は同10.7%減(前月:同3.0%減)と3カ月連続のマイナスとなった。化学品の内訳を見ると、医薬品(同13.4%増)が好調だった一方、石油化学製品(同28.1%減)が低迷した。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の5割強を占める電子製品は同2.6%減(前月:同10.7%減)とマイナス幅が縮小した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同1.8%減)が小幅に減少したが、電子データ処理機(同4.1%増)やオフィス機器(同7.0%増)がプラスに転じた。その他9品目のうち、その他鉱物製品(52.2%増)と製錬銅(同21.3%減)が増加したものの、金(同41.6%減)やイグニッションワイヤーセット(同35.9%減)、機械・輸送用機器(同30.9%減)、生鮮バナナ(同21.6%減)、その他製造品(同16.2%減)、金属部品(同15.2%減)、化学品(同0.8%減)など多くの品目が大幅に減少した。
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(2020年09月10日「経済・金融フラッシュ」)
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