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- 【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(9月号)~7月の輸出は段階的な経済再開を反映して持ち直し続く
2020年09月10日
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20年7月のASEAN主要6カ国の輸出(ドル建て、通関ベース)は前年同月比2.3%減(前月:同2.7%減)とマイナス幅が僅かに縮小した(図表1)。輸出の伸び率は、今年1-2月に中華圏の旧正月の連休時期のずれの影響で大きく変動した後、新型コロナの世界的な感染拡大と商品価格下落、国内外で実施された活動制限措置の影響が4月に本格化して急減したが、6月は段階的な経済活動の再開を反映して持ち直してきている。もっとも新型コロナ感染は第二波、第三波と流行を繰り返す動きがあるほか、物流の制限が残るなど世界経済は依然として不安定である。また今後は経済活動再開後の反動増が剥落して、輸出の回復テンポが鈍化することが懸念される。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、7月は北米向け(同28.4%増)がさらに拡大すると共に、EU向け(同4.9%減)と東南アジア向け(同14.1%減)が持ち直した(図表2)。東アジア向け(同1.1%減)は再び減少したが、前月比でみると3.7%増と持ち直しの動きは続いている。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、7月は北米向け(同28.4%増)がさらに拡大すると共に、EU向け(同4.9%減)と東南アジア向け(同14.1%減)が持ち直した(図表2)。東アジア向け(同1.1%減)は再び減少したが、前月比でみると3.7%増と持ち直しの動きは続いている。
ベトナムの20年7月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比8.5%増となり、前月の同5.3%増から上昇した。輸出は今年1~2月に旧正月の連休時期のずれを背景に上下に振れた後、4~5月に新型コロナ感染対策として国内外で実施された活動制限措置の影響により落ち込んだが、6月からは制限緩和に伴う反動増が生じてプラスに転じている。また輸入額も前年同月比2.5%減(前月:同6.4%増)と低下した結果、貿易収支は+27.8億ドルとなり、前月から9.2億ドル改善した(図表3)。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同7.6%増(前月:同3.4%減)と5カ月ぶりに増加したほか、電気製品・同部品が同33.8%増(前月:同33.2%増)と6ヵ月連続の二桁増を記録した(図表4)。また繊維関連では、織物・衣類が同7.7%減(前月:同9.7%減)、履物が同15.7%減(前月:同11.8%減)となり、それぞれ大幅に減少した。農林水産物を見ると、水産物(同0.8%増)が僅かながら増加したものの、6月に入って価格が急落したコメ(同15.9%減)をはじめとしてコーヒー(同19.0%減)、野菜(同9.0%減)、カシューナッツ(同19.9%減)など幅広い品目が減少した。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同3.7%増(前月:同1.5%減)と小幅ながらプラスに転じたほか、地場企業が同17.6%増(前月:同19.1%増)と好調を維持した。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同7.6%増(前月:同3.4%減)と5カ月ぶりに増加したほか、電気製品・同部品が同33.8%増(前月:同33.2%増)と6ヵ月連続の二桁増を記録した(図表4)。また繊維関連では、織物・衣類が同7.7%減(前月:同9.7%減)、履物が同15.7%減(前月:同11.8%減)となり、それぞれ大幅に減少した。農林水産物を見ると、水産物(同0.8%増)が僅かながら増加したものの、6月に入って価格が急落したコメ(同15.9%減)をはじめとしてコーヒー(同19.0%減)、野菜(同9.0%減)、カシューナッツ(同19.9%減)など幅広い品目が減少した。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同3.7%増(前月:同1.5%減)と小幅ながらプラスに転じたほか、地場企業が同17.6%増(前月:同19.1%増)と好調を維持した。
タイの20年7月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比11.4%減と、前月の同23.2%減からマイナス幅が縮小した。輸出は今年3月から新型コロナ感染拡大の影響が現れて5月から二桁減少が続いているが、7月にようやく上向いた。また輸入額も前年同月比26.4%減(前月:同18.1%減)と4カ月連続の大幅減少となった結果、貿易収支は+33.4億ドルとなり、前月から17.3億ドル増加した(図表5)。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同14.0%減(前月:同19.0%減)と4カ月連続の二桁減少となった(図表6)。製造品の内訳を見ると、主力の自動車・部品(同26.3%減)や機械・装置(同15.1%減)、石油化学製品(同19.5%減)、電子機器(同2.5%減)など幅広い品目が減少した。また鉱業・燃料は同36.8%減(前月:同38.9%減)となり、石油製品(同38.3%減)を中心に4カ月連続で減少した。農産物・同加工品も同7.8%減(前月:同4.8%減)と低迷した。前月に続いてゴム製品(同34.2%増)や畜産物(同56.5%増)、タピオカ(同7.4%増)が増加する一方、コメ(同16.8%減)や天然ゴム(同54.1%減)、加工食品(同7.8%減)、果物(同5.3%減)が減少するなど、品目ごとのバラつきがみられた。非貨幣用金(同22.1%増)は大幅に増加して二ヵ月ぶりのプラスとなった。
輸出を品目別に見ると、全体の約7割を占める工業製品が同14.0%減(前月:同19.0%減)と4カ月連続の二桁減少となった(図表6)。製造品の内訳を見ると、主力の自動車・部品(同26.3%減)や機械・装置(同15.1%減)、石油化学製品(同19.5%減)、電子機器(同2.5%減)など幅広い品目が減少した。また鉱業・燃料は同36.8%減(前月:同38.9%減)となり、石油製品(同38.3%減)を中心に4カ月連続で減少した。農産物・同加工品も同7.8%減(前月:同4.8%減)と低迷した。前月に続いてゴム製品(同34.2%増)や畜産物(同56.5%増)、タピオカ(同7.4%増)が増加する一方、コメ(同16.8%減)や天然ゴム(同54.1%減)、加工食品(同7.8%減)、果物(同5.3%減)が減少するなど、品目ごとのバラつきがみられた。非貨幣用金(同22.1%増)は大幅に増加して二ヵ月ぶりのプラスとなった。
マレーシアの20年7月の輸出額(ドル建て、通関ベース)の伸び率は前年同月比0.3%減(前月:同5.1%増)と低下したが、前月比では増加した。輸出は今年3月に新型コロナ感染拡大と国内外の活動制限措置の影響が現れて4~5月に約3割減を記録したが、6~7月は制限緩和による経済活動の再開を受けて持ち直してきている。また輸入額が前年同月比11.7%減(前月:同8.1%減)と低迷した結果、貿易収支は+59.0億ドルとなり、前月から10.2億ドル改善した(図表7)。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同3.9%増と、前月の同13.7%増から鈍化したものの、主力の電気・電子製品(同6.1%増)を中心に2カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同21.6%減(前月:同39.9%減)と4カ月連続で大幅に減少した。天然ガス(同48.1%減)と石油製品(同15.2%減)、原油(同8.0%減)がそれぞれ低迷している。このほか、パーム油などの動植物性油脂(同48.2%増)やゴム手袋(同117.8%増)が大幅に増加した一方、化学製品が同24.6%減(前月:同10.6%減)とマイナス幅が拡大するなど、品目によってバラつきがみられた。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同3.9%増と、前月の同13.7%増から鈍化したものの、主力の電気・電子製品(同6.1%増)を中心に2カ月連続で増加した(図表8)。また鉱物性燃料は同21.6%減(前月:同39.9%減)と4カ月連続で大幅に減少した。天然ガス(同48.1%減)と石油製品(同15.2%減)、原油(同8.0%減)がそれぞれ低迷している。このほか、パーム油などの動植物性油脂(同48.2%増)やゴム手袋(同117.8%増)が大幅に増加した一方、化学製品が同24.6%減(前月:同10.6%減)とマイナス幅が拡大するなど、品目によってバラつきがみられた。
インドネシアの20年7月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比10.1%減(前月:同2.1%増)と低下したが、前月比では増加した。輸出は今年3月から5月にかけて新型コロナの感染拡大と国内外で実施された活動制限措置の影響を受けて最大約3割減まで落ち込んだ後、6~7月は制限緩和による経済活動の再開を受けて持ち直してきている。また輸入額が前年同月比32.6%減(前月:同6.4%減)とマイナス幅が拡大した結果、貿易収支は+32.4億ドルとなり、前月から19.9億ドル改善した(図表9)。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同5.9%減(前月:同3.5%増)、石油ガス輸出が同49.7%減(前月:同20.3%減)となり、それぞれ減少した(図表10)。鉱産物(同41.8%減)や自動車・同部品(同43.6%減)、織物類(同21.9%減)が低迷したほか、前月プラスだったプラスチック・ゴム製品(同21.5%減)や電気機械(同6.5%減)、機械類(同11.5%減)、パルプ・紙・同製品(同10.7%減)が再び減少した。一方、動植物性油脂(同21.9%増)や鉄・鉄鋼(同36.2%増)な鉱石、スラグ及び灰(同28.0%増)は前月に続いて好調だった。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同5.9%減(前月:同3.5%増)、石油ガス輸出が同49.7%減(前月:同20.3%減)となり、それぞれ減少した(図表10)。鉱産物(同41.8%減)や自動車・同部品(同43.6%減)、織物類(同21.9%減)が低迷したほか、前月プラスだったプラスチック・ゴム製品(同21.5%減)や電気機械(同6.5%減)、機械類(同11.5%減)、パルプ・紙・同製品(同10.7%減)が再び減少した。一方、動植物性油脂(同21.9%増)や鉄・鉄鋼(同36.2%増)な鉱石、スラグ及び灰(同28.0%増)は前月に続いて好調だった。
シンガポールの20年7月の輸出額(石油と再輸出除く、ドル建て、通関ベース)は前年同月比4.1%増(前月:同11.3%増)と鈍化したが、プラスの伸びを維持した。輸出は世界的な新型コロナの感染拡大を背景に医薬品や非貨幣用金、集積回路(IC)の出荷増が続いて増加傾向にある。7月の輸出は国内外における制限緩和後の経済再開に伴う反動増の要因が剥落して落ち着いた伸びとなった。なお、総輸出額は同9.6%減(前月:同6.4%減)、総輸入額は同11.5%減(前月:同11.9%減)と低水準が続いたが、前月比では持ち直しつつある。結果として、貿易収支が+28.4億ドルとなり、前月から4.1億ドル悪化した(図表11)。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品が同1.0%増(前月:同19.5%増)と鈍化した(図表12)。電子製品の内訳を見ると、通信機器(同16.1%増)、ダイオード・トランジスタ(同11.5%増)が前月に続いて増加した一方、PC(同9.2%減)とPC部品(同20.3%減)が低迷、主力のIC(同0.3%減)が小幅に減少した。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学品は同10.7%減(前月:同3.0%減)と3カ月連続のマイナスとなった。化学品の内訳を見ると、医薬品(同13.4%増)が好調だった一方、石油化学製品(同28.1%減)が低迷した。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品が同1.0%増(前月:同19.5%増)と鈍化した(図表12)。電子製品の内訳を見ると、通信機器(同16.1%増)、ダイオード・トランジスタ(同11.5%増)が前月に続いて増加した一方、PC(同9.2%減)とPC部品(同20.3%減)が低迷、主力のIC(同0.3%減)が小幅に減少した。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学品は同10.7%減(前月:同3.0%減)と3カ月連続のマイナスとなった。化学品の内訳を見ると、医薬品(同13.4%増)が好調だった一方、石油化学製品(同28.1%減)が低迷した。
フィリピンの20年7月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比9.6%減となり、前月の同12.5%減からマイナス幅が縮小した。輸出の基調は、今年3月から新型コロナ感染拡大と国内外で実施された活動制限措置の影響が現れて幅広い品目が減少しているが、4月を底に持ち直してきている。また輸入額が前年同月比24.4%減(前月:同23.1%減)と大幅に減少した結果、貿易収支は▲18.3億ドルとなり、前月から4.5億ドル悪化した(図表13)。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の5割強を占める電子製品は同2.6%減(前月:同10.7%減)とマイナス幅が縮小した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同1.8%減)が小幅に減少したが、電子データ処理機(同4.1%増)やオフィス機器(同7.0%増)がプラスに転じた。その他9品目のうち、その他鉱物製品(52.2%増)と製錬銅(同21.3%減)が増加したものの、金(同41.6%減)やイグニッションワイヤーセット(同35.9%減)、機械・輸送用機器(同30.9%減)、生鮮バナナ(同21.6%減)、その他製造品(同16.2%減)、金属部品(同15.2%減)、化学品(同0.8%減)など多くの品目が大幅に減少した。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の5割強を占める電子製品は同2.6%減(前月:同10.7%減)とマイナス幅が縮小した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、主力の半導体デバイス(同1.8%減)が小幅に減少したが、電子データ処理機(同4.1%増)やオフィス機器(同7.0%増)がプラスに転じた。その他9品目のうち、その他鉱物製品(52.2%増)と製錬銅(同21.3%減)が増加したものの、金(同41.6%減)やイグニッションワイヤーセット(同35.9%減)、機械・輸送用機器(同30.9%減)、生鮮バナナ(同21.6%減)、その他製造品(同16.2%減)、金属部品(同15.2%減)、化学品(同0.8%減)など多くの品目が大幅に減少した。
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(2020年09月10日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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