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- 【インドネシアGDP】4-6月期は前年同期比5.32%減~アジア通貨危機以来21年ぶりのマイナス成長
2020年08月05日
インドネシアの2020年4-6月期の実質GDP成長率1は前年同期比(原系列)5.32%減(前期:同2.97%増)と大幅に低下、市場予想2(同▲4.72%)を下回る結果となった。
4-6月期の実質GDPを需要項目別に見ると、主に内需の落ち込みが成長率低下に繋がった(図表1)。
民間消費(対家計民間非営利団体含む)は前年同期比5.57%減(前期:同2.64%増)と大きく低下した。費目別に見ると、住宅設備(同2.36%増)と保健・教育(同2.02%増)が増加傾向を維持したものの、食料・飲料(同0.71%減)や輸送・通信(同15.33%減)、ホテル・レストラン(同16.53%増)が減少した。
政府消費は前年同期比6.90%減となり、前期の同3.75%増から低下した。
総固定資本形成は前年同期比8.61%減と、前期の同1.70%増から一段と低下した。自動車(同34.12%減)をはじめとして、建設投資(同5.26%減)、機械・設備(同12.87%減)がそれぞれ減少した。
純輸出は成長率寄与度が+0.73%ポイントとなり、前期の+0.44%ポイントから拡大した。まず財・サービス輸出は前年同期比11.66%減(前期:同0.23%増)と急低下した。輸出の内訳を見ると、サービス輸出(同52.70%減)が前月に続いて大幅に減少したほか、財輸出(同6.52%減)が非石油・ガス輸出を中心に減少した。また財・サービス輸入は同16.96%減(前期:同2.19%減)とマイナス幅が拡大した。
4-6月期の実質GDPを需要項目別に見ると、主に内需の落ち込みが成長率低下に繋がった(図表1)。
民間消費(対家計民間非営利団体含む)は前年同期比5.57%減(前期:同2.64%増)と大きく低下した。費目別に見ると、住宅設備(同2.36%増)と保健・教育(同2.02%増)が増加傾向を維持したものの、食料・飲料(同0.71%減)や輸送・通信(同15.33%減)、ホテル・レストラン(同16.53%増)が減少した。
政府消費は前年同期比6.90%減となり、前期の同3.75%増から低下した。
総固定資本形成は前年同期比8.61%減と、前期の同1.70%増から一段と低下した。自動車(同34.12%減)をはじめとして、建設投資(同5.26%減)、機械・設備(同12.87%減)がそれぞれ減少した。
純輸出は成長率寄与度が+0.73%ポイントとなり、前期の+0.44%ポイントから拡大した。まず財・サービス輸出は前年同期比11.66%減(前期:同0.23%増)と急低下した。輸出の内訳を見ると、サービス輸出(同52.70%減)が前月に続いて大幅に減少したほか、財輸出(同6.52%減)が非石油・ガス輸出を中心に減少した。また財・サービス輸入は同16.96%減(前期:同2.19%減)とマイナス幅が拡大した。
供給項目別に見ると、第二次、第三次産業を中心に成長率が低下した(図表2)。
まず成長を牽引する第三次産業は前年同期比6.31%減(前期:同4.61%増)と大幅に低下した。内訳を見ると、構成割合の大きい卸売・小売(同7.57%減)をはじめとして、運輸・倉庫(同30.84%減)、ホテル・レストラン(同22.02%減)、ビジネスサービス(同12.09%減)、行政・国防(同3.22%減)など幅広い産業が減少した。一方、情報・通信(同10.88%増)が小幅に加速したほか、金融・保険(同1.03%増)と不動産(同2.30%増)、保健衛生・社会事業(同3.71%増)がプラスの伸びを維持した。
また第二次産業は前年同期比5.30%減(前期:同2.02%増)と低下した。内訳を見ると、構成割合の大きい製造業(同6.19%減)と建設業(同5.39%減)、鉱業(同2.72%減)、電気・ガス供給業(同5.46%減)が軒並み減少した。
第一次産業は前年同期比2.19%増(前期:同0.02%増)と上昇した。
1 2020年8月5日、インドネシア統計局(BPS)が2020年4-6月期の国内総生産(GDP)を公表した。
2 Bloomberg調査
まず成長を牽引する第三次産業は前年同期比6.31%減(前期:同4.61%増)と大幅に低下した。内訳を見ると、構成割合の大きい卸売・小売(同7.57%減)をはじめとして、運輸・倉庫(同30.84%減)、ホテル・レストラン(同22.02%減)、ビジネスサービス(同12.09%減)、行政・国防(同3.22%減)など幅広い産業が減少した。一方、情報・通信(同10.88%増)が小幅に加速したほか、金融・保険(同1.03%増)と不動産(同2.30%増)、保健衛生・社会事業(同3.71%増)がプラスの伸びを維持した。
また第二次産業は前年同期比5.30%減(前期:同2.02%増)と低下した。内訳を見ると、構成割合の大きい製造業(同6.19%減)と建設業(同5.39%減)、鉱業(同2.72%減)、電気・ガス供給業(同5.46%減)が軒並み減少した。
第一次産業は前年同期比2.19%増(前期:同0.02%増)と上昇した。
1 2020年8月5日、インドネシア統計局(BPS)が2020年4-6月期の国内総生産(GDP)を公表した。
2 Bloomberg調査
4-6月期GDPの評価と先行きのポイント
インドネシア経済は昨年まで+5%成長が続いたが、今年に入ると首都圏の洪水被害が続く中、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちとなって景気が減速、4-6月期は新型コロナの封じ込めを目的に国内外で実施された活動制限措置の影響が本格的に現れて内外需要が急減してマイナス成長(同▲5.32%)となった。インドネシアのマイナス成長はアジア通貨危機以来の約21年ぶりとなる。
4-6月期の景気悪化は、国内で実施された活動制限に伴う内需の落ち込みによる影響が大きい。インドネシアは新型コロナの感染拡大に対して全国一律の活動制限ではなく、地方自治体毎に感染状況に応じた制限を実施している。4月3日に大規模な社会的制限(PSBB)が施行されると、ジャカルタ特別州や西ジャワ州などの地方自治体が順次PSBBを発動、違反者に罰則が科される厳しい活動制限を行った。ジャカルタ特別州では新規感染者や死者数が減少し始めたことを踏まえ、6月5日にPSBB解除に向けた移行期間の「フェーズ1」に入ったものの、4-6月期は商業施設の一時閉鎖・入店制限など経済活動の停滞期間が続いたため、民間消費(同▲5.51%)と投資(同▲8.61%)が落ち込んだ。
外需では、サービス輸出(同▲52.70%減)が一段と悪化した。各国政府が実施している海外渡航規制や入国制限措置により、4-6月の外国人旅行者数は新型コロナ流行前の1割強の水準まで縮小(同▲88.2%)している(図表3)。また海外でも実施された活動制限により外需が急減、また物流が混乱した影響もあり、財貨輸出(同▲6.52%)も減少した。もっとも内需の落ち込みにより輸入が減少した影響が大きく、純輸出の成長率寄与度はプラスだった。
7-9月期は景気が底入れに向かうものの、2期連続のマイナス成長となる展開が予想される。各地方自治体が実施したPSBBは6月に制限が緩和され、経済活動は再開したものの、7月以降は新型コロナの新規感染が拡大したために活動制限の更なる緩和が進まない状況が続いているためだ(図表4)。ジャカルタ特別州では、監視や罰則を強化する姿勢をみせており、8月3日から車両のナンバー規制を再開している。
インドネシア政府は7月20日に、新型コロナ対策・国家経済回復委員会を大統領の下に設立することを決定した。経済と医療の双方に対応できる対策本部が編成されたことにより、これまで遅れが目立ったコロナ対策予算(695兆ルピア)の執行など経済回復を加速させるための必要な政策が進む期待がある。
4-6月期の景気悪化は、国内で実施された活動制限に伴う内需の落ち込みによる影響が大きい。インドネシアは新型コロナの感染拡大に対して全国一律の活動制限ではなく、地方自治体毎に感染状況に応じた制限を実施している。4月3日に大規模な社会的制限(PSBB)が施行されると、ジャカルタ特別州や西ジャワ州などの地方自治体が順次PSBBを発動、違反者に罰則が科される厳しい活動制限を行った。ジャカルタ特別州では新規感染者や死者数が減少し始めたことを踏まえ、6月5日にPSBB解除に向けた移行期間の「フェーズ1」に入ったものの、4-6月期は商業施設の一時閉鎖・入店制限など経済活動の停滞期間が続いたため、民間消費(同▲5.51%)と投資(同▲8.61%)が落ち込んだ。
外需では、サービス輸出(同▲52.70%減)が一段と悪化した。各国政府が実施している海外渡航規制や入国制限措置により、4-6月の外国人旅行者数は新型コロナ流行前の1割強の水準まで縮小(同▲88.2%)している(図表3)。また海外でも実施された活動制限により外需が急減、また物流が混乱した影響もあり、財貨輸出(同▲6.52%)も減少した。もっとも内需の落ち込みにより輸入が減少した影響が大きく、純輸出の成長率寄与度はプラスだった。
7-9月期は景気が底入れに向かうものの、2期連続のマイナス成長となる展開が予想される。各地方自治体が実施したPSBBは6月に制限が緩和され、経済活動は再開したものの、7月以降は新型コロナの新規感染が拡大したために活動制限の更なる緩和が進まない状況が続いているためだ(図表4)。ジャカルタ特別州では、監視や罰則を強化する姿勢をみせており、8月3日から車両のナンバー規制を再開している。
インドネシア政府は7月20日に、新型コロナ対策・国家経済回復委員会を大統領の下に設立することを決定した。経済と医療の双方に対応できる対策本部が編成されたことにより、これまで遅れが目立ったコロナ対策予算(695兆ルピア)の執行など経済回復を加速させるための必要な政策が進む期待がある。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年08月05日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
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