2020年07月15日

新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)利用意向が強いのは誰か~普及の鍵は、個人情報取り扱いの安全性と、アプリ利用メリットの更なる周知

保険研究部 准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任   村松 容子

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1――利用意向があるのは全体の4割~60歳代で意向が強い

接触確認アプリの利用意向を尋ねた結果、利用意向がある(「ぜひ利用したい」「場合によっては利用したい」)のは41.3%、利用意向がない(「今のところ利用したくない」「絶対に利用したくない」)のは30.1%だった。「接触確認アプリを知らない・聞いたことがない」のは5.7%だった。

属性別にみると、男性と比べて女性で、若年と比べて高年齢で、利用意向が強く、60歳代では半数近くの利用意向があった。ただし、今回はインターネット調査であるため、アプリ利用意向は国全体の60歳代と比べて強いと思われる。

一方、20代では、「接触確認アプリを知らない・聞いたことがない」が1割を超えていた。地域別にみると、感染者数が多いとされる関東地方、近畿地方、北海道で利用意向が4割を超えて高かった。一方、比較的、感染者数が少ない中国・四国地方では、利用したい計が利用したくない計を下回った。
図表1 属性別 接触確認アプリ(COCOA)利用意向

2――利用意向があるのは、不安を感じていて行動を自粛している人

2――利用意向があるのは、不安を感じていて行動を自粛している人

どういった考え方の人の利用意向が強いのだろうか。

調査対象者を新型コロナウイルスに対する不安の有無、各種行動や行動時間の増減、感染の収束や経済の回復等の展望に対する考え方で分けた6つグループ別に利用意向をみる。

グループ(クラス)分けには、「第1回新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」の質問のうち、不安の有無に関する質問24問、行動や行動時間の増減に関する質問13問、感染の収束や経済回復等への展望に関する質問11問の計48問を使って、潜在クラス分析を行った。クラス分けの詳細は、前稿「新型コロナ感染拡大防止に向けた行動の自粛の状況」をご参照いただきたい。各クラスの概要は図表2のとおりである。
図表2 各クラスの概要
各クラスのアプリ利用意向は図表3のとおりである。新型コロナウイルスに対してあらゆる不安をもち、買い物や移動等の行動の自粛を行っているクラス1、クラス2の利用意向が高く、普段から活動が少ないと思われるクラス3、クラス5の利用意向が低い。あまり不安を感じていない比較的若い人が多いクラス4は、1割程度が「絶対に利用したくない」と回答しており拒絶感があるようだった。また、不安の有無、行動や行動時間の増減、将来展望について「該当しない」「どちらともいえない」と回答していたクラス5、クラス6は、「接触確認アプリを知らない・聞いたことがない」が1割を超えて高くなっていた。
図表3 属性別 接触確認アプリ(COCOA)利用意向

3――個人情報漏洩の不安は、どの程度影響しているか

3――個人情報漏洩の不安は、どの程度影響しているか

接触確認アプリ(COCOA)のさらなる普及に向けては、個人情報漏洩に関する不安の払拭が課題とされている。そこで、上記クラス別に、個人情報漏洩に対する考え方、およびインターネットによるサービスが増加することに対する不安や期待の状況をみると、全体で「個人情報が保護されない事態が生じる不安」を感じているのは、半数程度にのぼった。

特に、クラス1とクラス2で、比較的接触確認アプリの利用意向が強いクラスで不安を感じる割合が高い。クラス1とクラス2は、あらゆる不安が多いクラスであるため、それ以外にも「キャッシュレス決済サービスが使いこなせない不安」「SNSの投稿や閲覧が増えることで、ネット上のトラブルが増える不安」も高かった。ただし、不安に感じている一方で、今後「国や企業のオンライン対応が進み、デジタル化が進展する」と考えている割合は高かった。

接触確認アプリの利用意向が弱いクラス3は、今回の調査で尋ねたあらゆる項目に対して、不安を感じている割合が低く、個人情報漏洩やインターネットによるサービスが増加することへの不安も低い。このクラスは、新型コロナウイルスに対する不安があまりないことから、アプリへの関心が低いと思われる。同じく、利用意向が弱いクラス5も、個人情報漏洩やインターネットによるサービスが増加することへの不安が比較的低い。このクラスは、普段から活動が少ないと考えられるクラスで、「接触確認アプリを知らない・聞いたことがない」の割合も高い。接触確認アプリに関する情報が少ない可能性がある。

「絶対に利用したくない」と回答した割合が高かったクラス4は、個人情報が保護されない事態が生じる不安が特に高いわけではないが、キャッシュレスサービスが使いこなせないことやネット上のトラブルが増えることへの不安は高い。接触確認アプリだけでなく、各種サービスのデジタル化、オンライン化への拒否感を持っている可能性がある。
図表4 個人情報漏洩に対する考え方、およびインターネットによるサービスが増加することに対する不安や期待

4――個人情報の取り扱いの安全性以上にアプリ利用のメリットの周知が必要

4――個人情報の取り扱いの安全性以上にアプリ利用のメリットの周知が必要

以上のとおり、全体の半数程度が、感染状況の公表や厚生労働省によるコロナアプリの開発などによって個人情報が保護されない事態が生じる不安を感じていた。

しかし、特に不安が高いクラス1とクラス2は、アプリ利用意向が強い。クラス1とクラス2は、個人情報漏洩についての不安も高いが、それと同時に、新型コロナウイルス感染拡大や、感染拡大の経済への影響等に不安を感じており、アプリ利用のメリットを優先させたものと考えられる。一方、個人情報漏洩への不安が低いものの、新型コロナウイルス感染拡大や感染拡大の経済への影響への不安も低いと、接触確認アプリを入れるメリットを感じにくい可能性がある。

現状では、アプリの主な利用者は、新型コロナウイルスに対する不安が高く、行動を自粛している人となり、不安を感じておらず、相対的に行動の自粛度合いが弱い人で利用が進まない懸念がある。

今後のさらなる普及のためには、個人情報の取り扱いの安全性の周知以上に、例えば、すでに陽性判定をうけたアプリ利用者1人につき、アプリを通じて何人ぐらいに通知が送られたのか、そのうち何人ぐらいが陽性となったのか、ある1日にどの程度アプリ利用者と接触したのか等の情報等、アプリ利用によってこれまで得られなかった情報が得られるなど、アプリ利用のメリットを感じられる運用を行うことが必要だと考えられる。
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保険研究部   准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

村松 容子 (むらまつ ようこ)

研究・専門分野
健康・医療、生保市場調査

(2020年07月15日「基礎研レター」)

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