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MEGA BIGの当せん確率-1等最高12億円で、リモート応援をヒートアップ

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
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スポーツくじには、いくつかの種類がある。大きく分けると、コンピュータがランダムに試合結果を選択する「BIG」と、くじを買う人が試合結果を予想する「toto」がある。今年2月に登場した「MEGA BIG」は、BIGと同じくコンピュータがランダムに試合結果を選択するタイプだ。
MEGA BIGは、宝くじと同じように、単純にくじとして楽しみたいという人向けのくじだ。対戦する両チームの戦力分析をしたり、過去の対戦成績をみたりしながら、試合結果の予想を楽しみたいという人にはtotoがオススメとなる。
それではMEGA BIGの当せん確率はどれくらいあるのか、少し考えてみることにしたい。なお、あらかじめお断りしておくが、筆者は、スポーツ評論家ではないので特定のチーム戦力や、チーム間の対戦成績などをもとに、専門的な予想を述べることはできない。あくまで、統計的な確率だけを頼りに考えていくことにする。
◆1等当せん金は日本くじ史上最高額!
1つのゲームの合計得点数について、「1点以下=【1】」、「2点=【2】」、「3点=【3】」、「4点以上=【4】」の4通りの試合結果がありうる。12試合すべてについて、コンピュータの選択した結果が、実際の試合結果と一致した場合、1等当せんとなる。MEGA BIGは、1口300円で、1等はキャリーオーバーがない場合は、最高7億円。キャリーオーバーがある場合は、なんと最高12億円となる。
このキャリーオーバー発生時の12億円という当せん金は、公営競技を除いて、これまでの日本くじ史上最高額となっている。
◆1枚の当せん確率は必ずしも同じではない
しかし、MEGA BIGの場合、対象となるサッカーの試合で、【1】【2】【3】【4】の結果が均等に出るとは限らない。コンピュータの選択に応じて、それぞれのくじの当せん確率に違いが出ると考えられるのだ。
では、実際にサッカーの【1】【2】【3】【4】は、どの程度の割合で出現しているのだろうか?
2019年のJリーグのうち、J1のリーグ戦の結果をみてみよう。全306試合のうち、【1】は80試合(26.1%)、【2】は85試合(27.8%)、【3】は63試合(20.6%)、【4】は78試合(25.5%)であった。つまり、合計得点数が1点以下や、2点といったロースコアのゲームが比較的多かった。
そこで、今年も各試合で両チームの合計得点数が【1】【2】【3】【4】となる確率は、この割合のとおり、26.1%、27.8%、20.6%、25.5%であると仮定してみよう。この仮定のもとで、当せん確率が一番高いくじはどういうくじだろうか?
これは当然、全試合が【2】のくじだ。1等当せん確率は、0.0000211%となる。
逆に、当せん確率が一番低いのは、全試合が【3】のくじだ。1等当せん確率は、0.00000058%となる。全試合【2】のくじと比べると、1等当せん確率は、約36分の1になってしまう。
しかし、ここまで読まれた読者は、かなり違和感を感じているかもしれない。
「全試合【2】のくじなんて、当たらないのでは?」
「てきとうに、【1】【3】【4】が混ざっていたほうが、当たりそうな気がするけど……」
【1】【2】【3】【4】の試合数がどういう内訳のくじが当たりやすいのか、ということでいえば、この違和感は正しい。
実際に計算してみると、【1】が3試合、【2】が4試合、【3】が2試合、【4】が3試合という内訳のくじが当せんする確率がもっとも大きい。ただし、くじの対象の12試合がこのような内訳となるパターンは、27万7200通りもある。この中から選ばれた1口のくじが当せんする確率は大変小さい。
◆年末ジャンボと比較した1等当せん確率は?
まず、1等の当せん確率を比較しよう。MEGA BIGでは、当せん確率は、くじによって、0.00000058%~0.0000211%となる。平均は、0.000006%となる。一方、年末ジャンボは1ユニット2000万枚の中から1枚、1等がでる。当せん確率は、0.000005%(=1÷2000万)となる。
MEGA BIGはくじによって当せん確率が異なるため、どちらが高確率かはケースバイケースだが、平均では、当せん確率はMEGA BIGのほうが大きい。
◆1等当せん金は、年末ジャンボより高いことも
MEGA BIGの当せん金が条件次第で変動するため、どちらが高額とは言い切れない。ただし、MEGA BIGでキャリーオーバー発生時には最高12億円の可能性があり、これは年末ジャンボの1等・前後賞合計の10億円よりも高い。
このように、1等については、当せん確率、当せん金額とも、MEGA BIGの魅力は年末ジャンボに匹敵する、あるいはそれを上回っているといえそうだ。
J1のリーグ戦は7月4日に再開された。まず、リモートマッチ(無観客試合に代わる名称)で始まり、10日からは5000人、または収容人数の50%の少ない方を上限に観客を入れた試合が行われている。移動による感染拡大を防ぐため、アウェー席は設置されていない。観客はマスク着用のうえ、間隔を空けて着席するなど、今後は、新たな観戦スタイルが模索されることになりそうだ。
ファンやサポーターは、これまでスタジアムでリアルな応援を繰り広げてきたが、これからはTVやインターネットを通じて、リモートで声援を送るというスタイルも当たり前になるかもしれない。
リアル観戦にせよ、リモート応援にせよ、MEGA BIGなどのスポーツくじでワクワク感を高めれば、スポーツ再開の喜びや楽しみが増していくと思われるが、いかがだろうか。
(2020年07月15日「研究員の眼」)

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
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