コラム
2018年12月10日

多数派の選択肢はあてになるか?-択一式クイズで、答えが全くわからないときの対処法

保険研究部 主席研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任   篠原 拓也

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テレビでは、難問・奇問を含むクイズ番組がたくさん放送されている。そこでよくあるのが、回答を選択肢の中から1つ選ぶ、択一形式の問題だ。択一形式の問題だと、答えが全くわからない人でも、とりあえず何か選択肢を選ぶことができる。このため、参加者や視聴者には、「クイズに参加した」という達成感が残るメリット(?)がある。

最近では、多数の人に同じ択一形式の問題を答えてもらい、その回答の分布をまず示した上で、正解を明らかにする番組もある。こういう問題では、選択した人がもっとも多い選択肢が正解になっていることが多い。どうして多数派の選択肢が正解の場合が多いのか。その仕組みを考えてみよう。

例として、つぎの4択のクイズ問題を考えてみたい。

(クイズ問題)
次の4人はいずれも六歌仙に含まれていますが、この中に、小倉百人一首には入っていない歌人が1人います。誰でしょうか?

(a)僧正遍昭  (b)文屋康秀  (c)喜撰法師  (d)大友黒主

みなさんには、正解がわかっただろうか。まず、先に答えを言ってしまおう。

六歌仙のうち、小倉百人一首に入っていないのは、(d)の大友黒主で、これが正解となる。古文や文学史、カルタに詳しい人であれば、すぐに答えがわかっただろう。六歌仙には、この他に在原業平と、小野小町がおり、この2人も、小倉百人一首に入っている。実は、この問題では一般の人でもなじみの深そうなこの2人を、敢えて選択肢に含めないことで、クイズの難度を引き上げている。

さて、このクイズを、一般の人100人に出題するとしよう。この100人の中には、文学や歴史に詳しい人や、そういう分野にまったく興味がない人など、いろいろな人がいるはずだ。そこで、たとえばつぎのような状態だったとしよう。

― 100人のうち、約3分の2にあたる64人は、まったく答えがわからない。
― 21人は、選択肢の4人のうち、小倉百人一首に入っている人を1人だけは知っている。
― 14人は、選択肢の4人のうち、小倉百人一首に入っている人を2人知っている。
― 最後に残る1人だけが、小倉百人一首に入っている人を3人とも知っていて、正解がわかる。

このとき、100人の回答の分布は、平均的にどうなるだろうか。

まず、全く答えがわからない64人は、とりあえず、あてずっぽうで(a)~(d)の中から1つを選ぶだろう。4つの選択肢に均等に回答が分かれるとすると、それぞれの選択肢に16人ずつ(=64人÷4)の回答となる。(d)を選ぶ人は、平均して、16人となる。(a)、(b)、(c)を選ぶ人も、16人となる。

小倉百人一首に入っている人を1人は知っているという21人は、その1人を除いて、残り3つの選択肢から1つを選ぶだろう。そうすると、(d)を選ぶ人は、平均して、7人(=21人÷3)となる。一方、(a)、(b)、(c)を選ぶ人は、残り14人を3等分して、4.667人(=14人÷3)となる。

小倉百人一首に入っている人を2人知っているという14人は、その2人を除いて、残り2つの選択肢から1つを選ぶ。そうすると、(d)を選ぶ人は、平均して、7人(=14人÷2)となる。一方、(a)、(b)、(c)を選ぶ人は、残り7人を3等分して、2.333人(=7人÷3)となる。
そして、正解を知っている最後の1人は、当然、(d)を選ぶ。

これらを足し算すると、(d)を選ぶ人は、31人(=16人+7人+7人+1人)となる。一方、(a)~(c)の選択肢は、いずれも、23人(=16人+4.667人+2.333人)となる。

これはあくまで、平均的な分布であるが、正解の(d)が多数派となることは、ほぼ間違いないだろう。

100人の状態が少し違っていて、まったく答えがわからないという64人以外の36人も、小倉百人一首に入っている人を1人しか知らなかったとしよう。この場合、36人のうち、(d)を選ぶ人は、平均して、12人(=36人÷3)となる。結局、(d)を選ぶ人は28人(=16人+12人)となり、(a)~(c)の選択肢の各24人(=16人+8人)を上回る。やはり、正解の(d)が多数派となる可能性が高い。

このように、択一形式の問題では、正解を完全には知らない人どうしでも、それぞれが持つ断片的な知識を集めると、正解を選ぶ確率を高めることができる。その結果、多数派の選択肢は正解になりやすいことになる。

通常、学力試験では、他の人の答案を見ることはできない。もしも試験中に見ようとすれば、カンニングになってしまう。この技は役に立たないだろう。でも、別のケースで活用できることがある。

あるパーティーに出席したところ、余興でクイズ大会が開かれることになった。クイズの出題は、択一形式で、パーティーの参加者全員が回答する。正解者が勝ち残って、つぎのクイズに挑戦する。こうして、最後まで勝ち残った1人が優勝者となり、豪華な賞品がもらえる、というものだ。

あなたが、このクイズ大会の参加者だったとしよう。クイズの序盤で、まだ回答者の数がそこそこ残っている場合、今回紹介した「多数派の選択肢を選ぶ」という技が使えるはずだ。

こういうクイズで、答えがわからないときには、とりあえず、最も多くの人が選んだ選択肢を選んでおく。そうすることで、正解を選ぶ可能性は高まると考えられるのだが、いかがだろうか。
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保険研究部   主席研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

篠原 拓也 (しのはら たくや)

研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務

(2018年12月10日「研究員の眼」)

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【多数派の選択肢はあてになるか?-択一式クイズで、答えが全くわからないときの対処法】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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