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薬物乱用の欧米化-マリファナ使用の増加をどう食い止めるか

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
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5――麻薬などの規制の状況
8 グラフには、検挙された人数が示されている。この他に、犯罪が未発覚で検挙されていないケースもあるものと考えられる。
ここで、先進国ごとの各薬物の使用経験について、みてみよう。
欧米では、覚せい剤などの薬物に比べて、大麻の経験率が高い。国や地域によっては、大麻の使用が一部容認されていることが、その背景として考えられる。
たとえば、アメリカは、連邦としては大麻の使用は違法だが、11の州では嗜好用大麻の使用が合法化されている(2020年始時点)。ニューヨーク州では、知事が2020年の年初演説で、その合法化を重要優先課題とすると表明している。合法化による課税で、約3億ドルの税収が州財源にもたらされることや、従来の大麻取締法の有色人種社会への不平等な執行をただすことが目的とされている。
また、オランダでは、ヘロイン、コカイン、覚せい剤、LSDのようなハードドラッグに対して、マリファナや大麻は依存性が低いソフトドラッグと位置づけられており、一定量までの所持や使用が認められている。これは、ハードドラッグを取り扱う密売人や犯罪組織を孤立化させて、麻薬等の薬物禍を全体として抑える、といった狙いがあるものと考えられている。
これまで日本では、使用の多い覚せい剤を中心に、薬物乱用未然防止活動が行われてきた。今後は、これに併せて、若年者に広がるマリファナや大麻を含めて薬物の危険性を周知徹底し、乱用の未然防止に努めていく必要があるものと考えられる。
6――おわりに (私見)
国連により、毎年6月26日は、「国際麻薬乱用撲滅デー」とされている。日本では、厚生労働省、都道府県、公益財団法人 麻薬・覚せい剤乱用防止センターの主催で、6月20日~7月19日の間、「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」が全国で展開される。
これを機会として、麻薬などの薬物乱用の問題への意識を高めて、乱用防止に取り組むことが求められるだろう。引き続き、麻薬等の薬物関連の規制動向に、注視していくこととしたい。
(2020年06月16日「基礎研レター」)

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
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