2019年08月19日

感染症の現状 (後編)-感染症は人類の歴史をどう変えたか?

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也

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■要旨

前稿(前編)では、感染症の概要と、医療関連感染について概観していった。薬剤耐性菌の問題など、感染症対策ならでは課題についてみていった。

本稿では、市中感染を主なテーマとする。過去に発生した感染症のアウトブレイク(感染患者の発生)を簡単に振り返り、そこからいくつかの気づきを抽出していく。また、病気が拡大する様子を表す数理モデルについても簡単に触れていく。その上で、最後に、感染症への対策について、まとめと私見を述べることとしたい。

前稿と本稿を通じて、読者に、感染症対策への関心と理解を深めていただければ、幸いである。

■目次

0――はじめに
1――感染症の歴史
2――大昔からある感染症
  1|ペストは14世紀にヨーロッパで蔓延し、人口減少をもたらした
  2|「結核は過去の病気ではありません」
  3|天然痘は人類が根絶できた唯一の感染症
  4|スペイン・インフルエンザでは、世界で5,000万人が死亡
  5|麻疹は空気感染による感染力が高い
  6|風疹は先天性風疹症候群の防止が必要
  7|梅毒は、男性20~40歳代、女性20歳代で患者報告数が多い
3――近年、猛威を振るっている感染症
  1|マラリアは、薬剤耐性を持つ原虫や、殺虫剤耐性を持つ蚊が出現して対応が困難に
  2|エイズは、発症していきなりエイズ患者であることが判明するケースが約30%と
   高率で推移
  3|コレラは、地球温暖化により海水温が上昇することで、感染拡大のリスクが高まっている
  4|エボラウイルス病は、開発されたワクチンの効果が期待されている
  5|肺炎は高齢化とともに死亡率が上昇し、死因別死亡率の第3位となっている
  6|食中毒は、さまざまな病原微生物 (細菌、ウイルス、寄生虫) により発生する
  7|がんには、病原微生物によって引き起こされるものもある
  8|ウイルス性肝炎のうち、C型肝炎では治癒率の高い抗ウイルス薬が開発されている
4――感染症の数理モデル
  1|感染症の拡大予防には、「集団免疫」が重要
  2|SIRモデルをもとに感染拡大の様子を分析
5――感染拡大防止策と感染予防策
  1|感染症法は、危険性に応じて感染症を分類して、対応や措置を定めている
  2|予防接種は勧奨接種や任意接種としてさまざまなものが行われている
6――おわりに (私見)

(2019年08月19日「基礎研レポート」)

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保険研究部   主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員

篠原 拓也 (しのはら たくや)

研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務

経歴
  • 【職歴】
     1992年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
     ・日本アクチュアリー会 正会員

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